2016.01.20
キーワード01「スマートトイ」:IoT化した「おもちゃ」の先にあるもの●特集「IoTの現在」 6つのキーワードから知る、さまざまなIoTのカタチ
おもちゃの世界には、昔から専用コントローラーで無線接続できるトイラジコンという分野がある。この市場に、スマートフォンなどと連携する「スマートトイ」が増えている。おもちゃがネットに接続することで、新しい遊び方を提供するだけではなく、教育にも役立てられている。「IoT+おもちゃ」の現在と可能性を探ってみよう。
自由度の高さが魅力的なスマートトイ「Sphero」
スマートトイの例として、まず紹介したいのがロボティックボール「Sphero」(スフィロ)だ。Spheroについては知らなくても、2015年末に公開の映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で新たに登場したドロイド「BB-8」は見たことがあるだろう。あの愛らしい球体のドロイドの製作に携わっているのが米Sphero社だ。映画に登場するBB-8は、CGではないと言われている。
ボール型のSpheroは、スマホアプリで操作して、最高時速7km(秒速2m)で転がり、スピンやドリフトなどもお手のモノ。内蔵しているLEDをさまざまな色に変化させることもできる。おもちゃの域を超えた、まさに小さなロボットだ。Spheroがラジコンや他のおもちゃと異なるのは、ソフトウェアによってさまざまな動きを実現できることだ。SDK(ソフトウェア開発キット)も公開されているので、独自のアプリを作ることができる。
「現在、40種類くらいのアプリが公開されており、自由にダウンロードして遊んでいただけます。Spheroの動きはアプリやゲーム側から検知できるので、コントローラーのようにも使えます。つまり、Spheroを手に持って、画面の中のキャラクターを操作して遊んだりできるということです。可能性は無限大、遊び方はユーザー次第なんです」(スフィロ社広報の望月奈津子氏)
また、Sphero社は、教育環境での活用も精力的に行っている。2013年のバージョンアップ版Sphero 2.0に続いて、2014年には教育向けプロジェクトとして「Sphero SPRK Edition」(以下、SPRK)を発売した。機能はSphero 2.0と同等だが、外装シェルをスケルトンにし、内部構造が見えるように変更されている。子供たちにハードウェアのメカニズムにも興味を持ってもらいたいという意図を形にしたものだ。「学びは遊びに中にある」というのがSphero社の基本理念なのだ。
また、SPRKには、「Sphero SPRK」というSPRKの動きをプログラムできるアプリが用意されている。このアプリは、「命令ブロック」を組み合わせてSPRKの制御が行えるというものだ。プログラミング言語を記述しなくてもいいので、プログラミング初心者や低年齢の子供でも簡単に扱うことができるというのが特徴だ。
すぐに使えるサンプルプログラムも用意されており、プログラミングが初めてでも簡単に動かせる。それだけではなく、実際のコードを画面で確認することもできるため、自分でコードを書いて細かい制御まで行いたいというプログラミングの次の段階にも進みやすい。
「SPRKを動かすためのプログラムやマクロを作成できるアプリも教育部門のスタッフで開発し、無償でダウンロードして使えるようにしています。もちろん、SPRKではないSpheroでも利用可能です。米国だけでなく、日本でもこれらを使ったさまざまなイベントや公開授業が行われています」(望月氏)