2016.01.22
キーワード03「生活と健康」:身に着けるIoTが変える「生活と健康」●特集「IoTの現在」 6つのキーワードから知る、さまざまなIoTのカタチ
体に装着して使うIoTは、人の活動に密着に関わるため、さまざまな課題があるが、IoTを使うことで解決できることもある。具体的な製品を取り上げ、どういった背景があって、どんな課題を、解決したのかを紹介しよう。また、同様の製品の事例やこの業界自体の動きなども紹介することにも触れておきたい。
着るだけで生体情報が取得できる次世代ウェア
(株)ゴールドウィンが開発し、販売している「C3fit IN-pulse」は、「着る心拍計」と銘打っている。ウェア自体がセンサーになっており、胸部に装着した(株)NTTドコモ製のトランスミッター(送信機)で、取得した心拍数をスマートフォンアプリ「Runtastic for docomo」やスポーツウォッチ「POLAR」に転送できる。
運動や日常生活の中で心拍数を計測するには、これまでは不自由なセンサーを心臓のあたりに巻き付けておく必要があった。ウェア型のC3fit IN-pulseなら、違和感なく心拍数を計測することができる。
そのメリットは、装着感と一体感の二つだ。運動の際には、なるべく無駄なものを身につけたいと思わないものであり、多少の「装着物」であっても邪魔に感じる。ウェアであれば、無駄でもなく邪魔でもない。一体感という点では、センサーはある程度体に密着していないと正しい数値が取れないのだが、ウェアと一体となっていることで直接体に触れる面積も大きくなり測定も正確になる。また、どんなに激しく運動してもズレることもない。
これは、東レ(株)とNTTドコモが開発した「hitoe」という素材を胸部の内側に配置することで実現されている。hitoeは、最先端繊維素材であるナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティングし、生体信号を高感度に検出できるようにした機能素材である。したがって、耐久性とフィット感を兼ね備えており、普段のインナー(下着)などに取り付けられる。従来の「巻き付ける」センサーは、どうしても着けていることを意識することになり、日常の生活で心拍数などを計測するにはハードルが高かったが、それが可能になる。つまり、フィットネスの分野だけではなく、さまざまな分野での応用が期待されているのだ。