グロースハッカーニーズの高まり●特集「成長戦略 グロースハック」|WD ONLINE

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グロースハッカーニーズの高まり●特集「成長戦略 グロースハック」 グロースハック発祥の地アメリカから学ぶ

グロースハックの概念が生まれたアメリカでは、グロースハックの実践と議論が日本よりもかなり進んだ形で行われてきた。その結果大きく成長したサービスは、私たちにも馴染みのあるものばかりだ。具体的にどのような施策が行われ、またグロースハッカーという職業の登場によって何が変わったのか、紹介していこう。
Illustration:a_p

「グロースハッカー」の肩書きが広まるアメリカのテック業界

これまでは別々の職業であった、エンジニアやマーケター両方の視点が必要だといわれるグロースハッカー。先んじて浸透しているアメリカでは、とてもニーズの高い職業となっている。少しずつグロースハックの国内事例が見られるようになっているところをみると、今後日本でも、グロースハッカーであることが仕事の強みになることは間違いないだろう。

 

アメリカのテック業界では、「グロースハック」という概念は完全に市民権を得たといって良い。多くのテック企業がグロースハックを行うことを専門とする「グロースチーム」を社内に持っていて、彼らによってサービスの成長を実現させている。

また、Linkedinでアメリカ国内のグロースに関連した肩書を名乗っているユーザーを検索してみると、2万5,000人以上がヒットする。同様に「マーケター」を検索すると4万人ほどなので、新しい職種にも関わらず急速に注目が高まっていることがおわかりいただけるだろう。こうした状況を受けてサンフランシスコでは、「Trade Craft」という、12週間でグロースハッカーを育成して、卒業後にUberやDropboxなどのスタートアップに送り込むというプログラムが開催され、人気を博している。筆者も来年の3月から本プログラムに参加する予定だ。

なぜアメリカのテック企業において、これほどまでにグロースハッカーという人材が求められているかといえば、実際に多くの企業がグロースハックを通じて大きな成長を実現してきたからだ。たとえば、Dropboxは、ユーザーが他のユーザーを招待することで容量を付与するという仕組みを用意することで、ネズミ算的にユーザー数が増えていくというサイクルを作り、大きく成長してきた。FacebookやTwitter、Airbnbなど、日本でも知られる世界的なサービスの多くも、グロースハックの概念に基づいた施策が成長の大きな助けとなってきたのである。

弊社でも、こうしたグロースハックへの考え方や事例を参考にグロースハックを重ね、ファッションコーディネートアプリ「iQON」で成果をあげてきた。国内でも近い将来、あちこちの企業でグロースハッカーが活躍するようになるのは間違いないだろう。

 

 

 

Text:梶谷健人
VASILYグロースハッカー。ファッションコーディネートアプリ「iQON」にて早くからグロースハックの実践を行ってきた。そのノウハウをカンファレンスやセミナー、ブログなどで発信をしている。1月にグロースハックに関する国内初の実践書を出版予定。

掲載号

Web Designing 2016年1月号

Web Designing 2016年1月号

2015年12月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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■ 特集:今日から始める“成長戦略”グロースハック
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近年、「グロースハック」という言葉を耳にすることが増えてきました。しかし、その本当の中身を正しく理解している人はあまりいないようです。チップス? テクニック? スタートアップ企業向けの秘密のノウハウ? いえ、そうではないんです。グロースハックとは、これからのデジタル時代に必須の「マーケティングの考え方」のことなのです。今回はさまざざな角度からグロースハックの考え方を紹介していきます。

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「キーワードツール」は、インターネットにおける検索行動量を手早く調査できるツールです。つまり、あるキーワードが「どれくらいのユーザーにリーチするのか」を事前に推定できます。ここでは、ツールの概要とともに、その活用術について解説します。

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