2016.01.06
データ分析でメニュー開発やプロモーションを正しい方向へ導く●特集「成長戦略 グロースハック」 3,000店舗のレストランチェーンを擁する「すかいらーく」
サービスの状況をデータ化し、それを分析して改善することはグロースハックの主な手段の一つとなっている。これは何も、Webサービスやアプリなど、デジタル領域だけで有効なわけではない。「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」など多数のファミリーレストランブランドを運営する「すかいらーく」でも実践され、大きな成果をあげている。
Photo:五味茂雄(STRO!ROBO)
スピーディな分析で儲かる施策を増やす
すかいらーくは2014年初頭、マーケティング本部内に分析専門のチーム「インサイト戦略グループ」を立ち上げた。ここでは、レジで入力されるPOSデータなどを元に、日々分析と施策の検証が行われている。同グループの瀬良豊さんに、設立経緯をうかがった。
「2012年に米ベインキャピタル社よる買収があり、経営の見える化の重要性が増しました。さらに会社の改革を進めるなかで、データドリブンな意思決定を推進し、2014年初頭に分析を専門とするインサイト戦略グループができました。分析機能は以前からありましたが、たとえばメニューを開発するチームではメニューを分析するというように、アナリストが各所に偏在している状況を、一つのチームに一元化しました。また、それまでのデータ分析インフラは比較的古いシステムでやっていたものを、クラウド型のデータベースやBIツール、統計解析ツールを導入することで、迅速にデータ解析や複雑な統計解析を行えるようになり、分析の動きが加速していきました」
以前はデータ取得の都合上、分析だけで1~2週間かかるものもあったが、現在は大半の分析が1日もかからず行えるようになった。
「分析・仮説構築・企画・実行のサイクルが短くなると、それだけ年間に多くの施策を試すことができます。分析のリードタイム(所要時間)が短縮されたことにより、数多くのA/Bテストを試せるようになりました。たとえばアナリストの分析打率が2割だったとしたら、年間に10回打席に立つとヒット2本ですが、100回立てば20本ですよね。PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を高速化させるということは、儲かる施策を多く生み出せるようになるということなのです」