2015.10.01
Bay Area Startup News Web Designing 2015年10月号
日本では知る人ぞ知るクチコミサービス「Yelp」。米国で生活の一部にまで浸透した“最上級の使いやすさ”
海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。
最近、アメリカのオンライン動画配信サービス「Netflix」の日本上陸が話題になりましたが、アメリカで普及していて、日本ではあまり利用することがないサービスはまだまだたくさんあります。そのなかでも、アメリカの日常生活に最も密接しているサービスの一つがYelp (イェルプ)です。レストランやバーなどの飲食店をはじめ公共施設といった現地(ローカル)の情報・クチコミがわかるサービスで、Web、モバイルアプリの両方がリリースされており、一貫したエクスペリエンスを実現しています。日本で飲食店探しをするにはぐるなびや食べログが一般的ですが、アメリカではYelpがスタンダードとなっています。
Yelpがアメリカで「生活必需品」と言われるまでに浸透した理由はいくつかありますが、やはりその一番の理由は、その特徴でもある「使いやすさ」です。Yelpのサイトを見た瞬間に、地図にあわせてそのお店の必要な情報が一目でわかります。これはユーザーインターフェイス(UI)におけるコンテンツ配置の妙+ほしい情報に最短距離でたどり着くためのスムーズなナビゲーションを実現した、ユーザーエクスペリエンス(UX)のクオリティの高さが大きな理由となっています。特に地図ベースのUIは使い勝手が良く、お店を探す際には非常に役立ちます。
なかでも、Yelpに備わっているオートコンプリート(入力内容から予測したキーワードが表示される)機能が秀逸。お店を探す際にはページトップの検索ボックスにキーワードを入れることが多いですが、その後の検索結果のページには、お店のリスト上部に、地域、現在地からの距離、クチコミによる★の数、お店の特徴、価格帯、カテゴリなどのフィルタ機能が配置されます。
フィルタのチェックボックスをクリックすることで、検索結果がリアルタイムにページのロードがなくてもアップデートされます。このスムーズさ+ロードの速さは他に類を見ません。ユーザーが必要だと思う情報を瞬時に表示することが可能というわけです。
このYelpは、元PayPalのスタッフにより2004年にサンフランシスコでスタートし、2012年に株式公開を果たしました。現在は全世界30カ国、約1億4,200万人のユーザー規模で展開しています。実は、2014年より日本でもサービスの提供を開始しましたが、掲載されているお店の数がまだまだ少ないので、利用する機会はあまり多くないのが残念です。
一度Yelpに慣れてしまうと、他のサービスを利用してもお店の場所を特定するのが非常に難しく感じてしまいます。一度そのUI /UXを体験してみてください。デザインのヒントが必ずあるはずです。日本でも普及する日を楽しみにしています。