WD Online

集中企画一覧 Web Designing 2015年11月号

ユーザー行動を見える化する「ヒートマップツール」導入ガイド(3/4) Chapter03: 国内のヒートマップツールの搭載機能

ここでは、現在、日本国内で使われている主なヒートマップツールである「Ptengine」「User Insight」「Clicktale」「USERDIVE」について、どのツールにも搭載されている基本的な機能、そして各ツールに特徴的な機能などを見ていこう。

ここまででヒートマップを通して「できること」「活用方法」を把握してきた。これらを念頭に置きながら、次に各社から出ているヒートマップツールの機能の中身について、見ていこう。

 

ヒートマップツールの現状と標準機能

ここからは、国内におけるヒートマップツールの現状について説明しよう。現在、国内において企業が採用している主なヒートマップツールは次の4つだ。

 

・Ptengine(ピーティーエンジン)
・User Insight
・Clicktale(クリックテール)
・USERDIVE

 

これらの主要なヒートマップツールは、クリックやタップの数値計測を行う「クリックヒートマップ」やユーザーの注視度合いを測る「アテンションヒートマップ」などの基本的な機能を共通で持ちあわせている(01)。

 

02abb6d5a165e1087e18030049ae1129.jpg
01 主要ヒートマップツールの機能について。構成として、各社で共通といえる標準機能と、各社の独自性が出るアドバンス機能の両者がある

 

そこで、無料版でも標準機能が利用でき、有償版もリーズナブルな「Ptengine」を軸に解説をしていく。

クリックヒートマップやアテンションヒートマップの標準機能の中身は、1/4で触れている通りだ。ここでは、さらにそれら以外の標準機能に目を向けたい。

まず、クリックヒートマップを補助する機能として、リンクや選択可能なパーツを対象とした「クリック占有率」の計算機能が付いている。

 

7ebb692211553f41ba82ef7c42d0823e.jpg
02 設計意図とクリックの配分割合が合っているかをチェックするといいだろう

 

「クリックの占有率」とは、ページ内の全クリック数のうち、各エリアやパーツへのクリックが何割にあたるのかを示す数値のことである。この機能を使うと、ページの中でリンク・選択可能な各パーツが何パーセントずつ押されているのかをチェックできる(02)。

加えて、何パーセントのユーザーがどの箇所までスクロールしたかを示す「スクロール到達率」の数値算出をする機能も、サーモグラフ表示に加えて、各ヒートマップツールには標準的に搭載されている(03)。

 

f8553d90b056221dfe920707560fb8f2.jpg
03 「スクロール到達率」は、クリックヒートマップやアテンションヒートマップ上に表示が可能。たとえばページの離脱ポイント(到達率の低い箇所)を意識しながら、表示確認できる

 

また、ユーザーの属性別にフィルタをかけることで、ある条件のユーザーの行動データだけに絞った傾向を表示する機能も各ツールが搭載している。たとえば、特定の属性/ターゲット層に強い課題を抱えていたり、根本的な改善、解決を図りたい場合に便利に活用できるだろう。この機能の詳細は次ページで説明する。

 

セグメント・フィルタ機能を活用する

ヒートマップツール上でユーザーセグメントを絞る際の切り口には、さまざまなものがある。Ptengineの場合、セグメント・フィルタ機能には6つの絞り込み条件(訪問回数、流入元、端末、地域、コンバージョン、キャンペーン)を適用できる(04、05)。

 

7f58c685e8e158e299a1deea5052b32a.jpg
04 「訪問回数」「流入元」「端末」「地域」「コンバージョン」「キャンペーン」といったセグメント別に分析可能。対象サイトそれぞれの目的にあわせて、対象ユーザーを絞り込んだ分析に活用したい

 

「訪問回数(訪問の種類)」では、ユーザーがサイトに訪問した回数で絞り込みをかける。たとえば、新規ユーザーと再訪問ユーザーで、ヒートマップの結果傾向が違うかどうかなどを比較することができる。

「流入元」では、検索エンジン、リファラー(参照元)、ソーシャルメディア、ノーリファラー(参照元がわからない)といった流入元の種類や、検索エンジン経由でのキーワード名でのフィルタをかけることができる。たとえば、サイトへの新規ユーザーに対する集客施策として強化している流入の種類や参照元、キーワードなど特定の流入条件にフォーカスしてヒートマップ分析できることは、条件別の細かな対策が可能となるため、効果的だ。

「端末」のフィルタでは、PC、モバイル、タブレットなどの端末の種類やOSの種類、ブラウザのバージョン、解像度によって出力レポートを絞ることができる。デバイス端末ごとで絞ってユーザーの行動傾向を見る機能は、端末ごとの接触シーンを勘案する上でも利用必須だ。

「地域」では、アクセスしたユーザーの国/地域別に、もしくは都道府県別にフィルタリングすることが可能だ。国別・地域別に異なるコンテンツなどを展開している場合は、このフィルタをかけた調査が効果的だろう。

 

718f22719672114cc8c0771dc13abdba.jpg
05 Ptengineの管理画面より。「フィルター選択」画面で、細かくセグメントが指定できるようになっている(左)。そのほか、条件の追加なども簡単に行うことができ(中央、右)、調べたい対象の絞り込み作業などに便利だ

 

「コンバージョン(CV)」フィルタでは、あらかじめ設定したCVポイントを通過したかどうかで、ユーザーを分けて結果を確認することができる。CVユーザーだけに絞ってヒートマップ分析をすると、成功パターンが見えてくることが多いため、効果的なページ作りに有用だ。

最後に「キャンペーン」では、事前登録したキャンペーン別にフィルタリングできる条件だ。広告キャンペーンやサイト内のキャンペーンに接触したユーザーがどのように動いているのかを確認することができる。

 

各社の個性が出るアドバンス機能

以上のような機能は、多少の仕様や充実度の違いはあるものの、基本的に各社のヒートマップツールが備えていると考えてよい。しかしながら、標準機能のほかに加わっているアドバンス機能については、各社のツールで特徴が出てくる。

まずは、国内主要4ツールの比較表を用意したので見てほしい(06)。

 

7977e438ed211e29082c3aa5a4083386.jpg
06 この表では、国内主要4ツールについて、価格帯や搭載機能などを中心にまとめている

 

そこで、各ツールでアドバンス機能に違いがあることを確認しながら、今回は国内でも認知が急増してきたヒートマップツール「USERDIVE」を例に解説しよう。

 

USERDIVEが搭載するアドバンス機能の中でも、インパクトがあるのは次の3つだ。

 

・ユーザー動画
・フォーム分析
・スマホアプリ対応

 

「ユーザー動画」(07)では、ユーザーの操作記録を動画によって確認できる機能だ。再生時間の調整ができるので、分析に使いやすい。サーモグラフィ表示はまとめられた状態を結果として表示するのに対して、ユーザー動画はユーザーの連続した動きを個別に見ていくことが可能だ。

 

1e057dd43330a8ae4d04a25120718162.jpg
07 「ユーザー動画」機能は、ユーザー一人ひとりの操作の軌跡を追いかけることが可能(囲み部分)。立ててきた仮説と実際にユーザーの連続的な動きが合致しているかどうかなどを、検証するのにも有用だ

 

「フォーム分析」(08)は、登録フォームに特化した分析レポートだ。どのフォーム項目の失敗率が多いかを細かいデータとともに分析できるのが強みといえる。

 

53d50098c52ba2044fbc2759c3d4bd0d.jpg
08 各項目の未入力率、入力にかかった時間、再入力の有無などを入力項目単位で確認可能。たとえば、離脱の中身についても(入力せず/入力したが送信せず/送信したが失敗 など)検証できる

 

また、USERDIVEは主要ツールのなかでも唯一、スマートフォンアプリにも対応している。並行して、分析アウトソースのコンサルティングサービスも提供しているため、よりハイエンドな企業のニーズを満たすことができるのがUSERDIVEの特徴だ。

今後も各社のツールは、機能のアップグレードが続いていくはずである。06や各社の展開も確認しながら、自分たちのニーズにあったツールを見つけ、活用していくといいだろう。

 

75b9389fc858bedf3ebd88673a740f58.jpg
Text:野口竜司
(株)イー・エージェンシー 取締役/Optimizelyエバンジェリスト。同社でサービス全般・マーケティング担当の取締役を務める。主な著書に『達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座 売上に貢献するデータ分析がわかる7つのレッスン』『Live! ECサイトカイゼン講座』など。 http://www.e-agency.co.jp/

掲載号

Web Designing 2015年11月号

Web Designing 2015年11月号

2015年10月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

実践的コンテンツマーケティング講座/ヒートマップツール導入ガイド

サンプルデータはこちらから

■ 特集:Web担当者のための実践的コンテンツマーケティング講座
 手法やツールではない、概念であり戦略だ! その秘訣、教えます。

■ 集中企画:ユーザー行動を可視化する「ヒートマップツール」導入ガイド
 ユーザー行動を探りながら、より来たくなるWebサイトを作ろう

■ WD SELECTION
 WDが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
  写プライズ/それでも、わたし。 - niko and …/MY MINTIA MAKER/BAO BAO MUSIC/リアル脱出ゲーム「呪われたオーディション会場からの脱出」/ロッテ Fit’s presents みんなでつくろう! ウォーリーのせかい!/A DAY WITH THE ANGELS VOGUE GIRL/Hello, New World./SLICE OF HEARTLAND ハートランドビール/光文社創立70周年記念コンテンツ『360° PARTY』/TYO-ID TYO INTERACTIVE DESIGN

 ナビゲーターが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
  [バズ施策]緻密なPR視点がキモ!:The Extreme Minuet?  眞鍋海里
  [デジタルプロモーション]行列エンターテインメント:HelixGame  築地 Roy 良
  [Webサービス]感染する情報:Plug**   仲暁子
  [IoT]実家の課題解決サービス:まごチャンネル  神谷憲司

■マーケティング・プロモーション
 □ サイト改善基礎講座
  アクセスログ解析を使った現状把握で見るべき項目

 □ ハギハラ総研
  国勢調査のオンライン回答率は、なぜ東京が低いのだろうか

 □ デジタルプロモーションの舞台裏
  テーマパークの来場者数増加を呼んだ、サンリオキャラクターが作れるサイト

 □ 行動デザイン塾
  人を動かすための18の「ツボ」

 □ 課題解決のためのU実装講座
  追従要素を工夫してスマホユーザーのストレスを軽減する

 □ 解析ツールの読み方・活かし方
  解析結果からモバイル最適化を行う


■ビジネス・EC
 □ ECサイト業界研究
  オムニチャネル:集客に必要なタッチポイント

 □ 月刊店舗設計
  ぐらこころ:写真をシェアする時代のアイデア商品「おうち写真館」

 □ モバイルビジネス最前線
  MOTTAINAIマーケット:新旧事業の社内ジョイントベンチャーが価値を作る
  
 □ 知的財産権にまつわるエトセトラ
  引用の範疇

 □ Bay Area Startup News
  カギの開け閉めをスマートフォンでワンタッチ! 勤怠管理や入室者制御もできるスマートロック

■クリエイティブ
 □ モノを生むカイシャ
  東京ピストル:「編集力」で遊べる会社!

 □ 清水幹太の「Question the World」
  Zolty(BREAKFAST):NYで最も注目される男との、やたらと落ち着く会話

 □ ツクルヒト
  保坂俊彦(サンドアーティスト):砂から生まれ、砂に還る巨大彫刻

 □ 最果タヒの「詩句ハック」
  第17回 モノローグスタンプ

 □ デザインにできることMonologue
  Vol.142 本をつくる

 □ エキソニモのドーン・オブ・ザ・ボット
  出会った女性はBOTばかり! 情報漏洩事件で判明した悲しき実態とは?


■インフォメーション
 □ Topics
  Illumicap/電撃戦-SPEED CHESS-

 □ Movement&News
  ドイツ銀行の“現代写真”コレクション/杉本博司の大規模展/「原子力」をテーマにしたシャンデリアによるインスタレーション/オモチャや廃材から創り出す“シャンデリアアート”とは?/全長100mもの超絵画大作を披露する村上隆の個展
  Facebookと違うユーザー傾向に注目! Instagramユーザー生態調査/政府が企業の世界進出を支援するフランスの試みとスタートアップたち/Twitterのタイムラインに動画広告、アプリインストールの促進剤に ほか

編集部よりお詫びと訂正のお知らせ

特集「Web担当者のための実践的コンテンツマーケティング講座」にて、P029「情報を拡散しやすい」に誌面のデータに誤りがあり、本文が読めない状態となっていました。お詫びするとともに、以下に正しい内容を掲載いたします。

▼画像をクリックすると拡大表示します。
WD1511_P29.png

また、WDオンライン版では、こちらで該当記事を含むページを無料公開しています。あわせてご参照ください。

編集部からのおすすめ記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています