コンテンツマーケティング7つのメリット●特集「コンテンツマーケティング」|WD ONLINE

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コンテンツマーケティング7つのメリット●特集「コンテンツマーケティング」 成功のための秘訣と効果

買い手側の情報収集能力の向上、それにともなう購買行動プロセスの変化に対応して普及のすすむコンテンツマーケティングだが、実際に取り組むとさまざまなメリットを享受することができる。ここでは7つに絞ってその利点を説明しよう。

メリット1:見込み顧客に効率よくリーチできる

 

 

コンテンツマーケティングの基本の一つは「潜在顧客にとって価値あるコンテンツを継続的に発信する」ことだ。ターゲット(サイトを訪れてほしい)ユーザーの興味関心を考え、彼らの立場に立って有益なコンテンツを用意する。そうすることで、ユーザーは情報を必要とする時に検索エンジンやソーシャルメディアを経由してコンテンツにたどり着き、ニーズを満たせる。そもそも製品やサービスにまったく興味がないユーザーには、コンテンツが届かない(情報収集しない)ため、情報を本当にほしいと思っているユーザー、つまり将来的に顧客となる可能性の高い見込み顧客だけがおのずと集まってくるというわけだ。

テレビCMや雑誌広告などで多くの人に半ば強制的に情報を認知させることでリーチして「母数」を増やす従来の手法はコストが膨らむばかりだが、コンテンツマーケティングにおいては最初から「顧客になりそうな」有望な見込み顧客に絞って情報を届けることができる。したがって、膨大な広告宣伝費をかけることなく、効率的にターゲットにリーチすることが可能なのだ。

 

メリット2:情報を拡散しやすい

 

 

コンテンツマーケティングにおける「優れたコンテンツ」とは、「届けたいユーザー(ターゲット)にとって役立つコンテンツ」である。そして、そのような良質なコンテンツは、読者の「人に伝えたい、シェアしたい」という気持ちを呼び起こし、ソーシャルメディアでの拡散や自分のブログで紹介するといった行動に結び付く。自然な形で情報拡散が起きるというのが、コンテンツマーケティングの大きなメリットだ。

誤解しないでほしいのは、「バズる(バイラルする)コンテンツ=よいコンテンツ」とは限らないということだ。仮にバズを生んだとしても、本当にリーチしたいユーザーに届いていなければ意味はない。法人向けにコンテンツマーケティングサービスを提供する当社が、マーケティングとはほど遠い、例えばサッカー日本代表の話題で一過性のバイラルを生んだところで、どれほどのビジネス上のメリットがあるだろうか? これは極端な例ではあるが、ターゲットとコンテンツの目的を明確に定義した上での拡散戦略が重要であるという点は強調しておきたい。

無理に「バズらせる」のではなく、自然にクチコミを拡げてもらえるような「ユーザーにとって本当に役立つコンテンツ」が何であるかを突き詰めるのが最善策といえる。

 

メリット3:顧客との双方向コミュニケーションを生む

 

かつてGoogleに対してスパム行為を行っていたとするあるWebマーケターの記事には1,000におよぶコメントによる意見が寄せられ、10万近くのシェアを獲得した
http://inbound.org/post/view/confessions-of-a-google-spammer

 

一方通行で企業が伝えたいメッセージを送りつけるテレビCMやダイレクトメールでは、情報の受け手となるユーザーが意見を述べたり、対話に参加することはできない。これは従来型のネット広告も同様だ。しかし、コンテンツを上手に使えば、顧客との双方向のコミュニケーションを生み出すことが可能となる。

コンテンツを発信してソーシャルメディアなどに展開していくと、Facebookの投稿へのコメント、Twitterのリプライやリツイートなど、読者からの反応やフィードバックを得ることができる。ブログ記事にコメント欄を設けて、ユーザーが直接質問を投げかけたり、意見を戦わせている場合も多い。こういった顧客からの反応には、ぜひきちんと対応したい。

コンテンツに対する反応には、ポジティブなものもあればネガティブなものもあるが、ネガティブなフィードバックを恐れて情報発信に消極的になってしまってはもったいない。辛口なコメントや厳しい意見、クレームこそチャンスと捉えよう。製品・サービスの品質向上につながるばかりでなく、ネガティブなフィードバックに対して真摯に対応し、フォローを行うことで、結果として顧客満足の向上につながる例も少なくない。

 

メリット4:オピニオンリーダーになれる

 

River Pools & Spas社のサイト内の「Pool 101」のコンテンツ。「購入してからの10年間のコスト見込み」など、同社のファイバーグラス製だけではなく、競合するビニールライナーやコンクリート製のプールの長所と短所も包み隠さず記載している

 

コンテンツマーケティングの要諦は「継続性」と「一貫性」だ。特定の分野において専門性を活かした情報発信を続けていくと、徐々に読者(フォロワー)が増えていく。そして業界内で一定の認知を得ると同時に、その分野における「第一人者」もしくは「ご意見番」のような信頼を得ることができる。

米国の個人住宅向けプール施工会社River Pool & Spas社(http://www.riverpoolsandspas.com/)は、プール選びに役立つコンテンツを発信し、競合他社との比較をしながら、デメリットを含めて自社工法をわかりやすく公開している。その結果、競合他社を選ぶ人も出てくるが、自社を選んだ顧客は納得した上で買った人ということになる。読者は偏った視点や「売り込み」の気配に敏感だ。どんなに最新の情報を常に発信していても、ポジショントークばかりだと思われれば信頼を築くことはできない

信頼を得られるのは、顧客からだけに留まらない。同業者や関連業界からも「あの人の発言はチェックしておこう」と注目されるようになると、テレビや雑誌などで関連分野の話題を特集する際に意見を求められることも出てくる。こうなれば、もはや多額の広告宣伝費を払わずともメディアへの露出が可能になる。個人や会社に強力なブランドが構築できるので、競合他社に対しての大きなアドバンテージにもなる。

 

メリット5:コンテンツは資産になる

 

コンテンツマーケティングにおけるリード獲得コストの推移
米国で50社あまりを対象に行った調査をもとに、コンテンツマーケティングにおけるリード獲得単価の推移を時間の経過とともに示したもの
(出典:The ROI of Content Marketing, Kapost / Oracle)
http://demand.eloqua.com/LP=3445?elqoffer=KapostEbook&elqchannel=PressRelease

 

コンテンツマーケティングは、続ければ続けるほど効果が増していく。これはコンテンツの「蓄積効果」と言われるものだ。コンテンツを制作する作業には人件費や外注費などがかかってくるが、広告と違ってサイトへの公開そのものにコストはかからない。そして、公開後はサイトがなくならない限りネット上に存在し、コンテンツそのものの情報価値が失われないのであれば、半永久的にサイトへの流入をもたらし続ける。

速報性の高いニュース系記事などの「鮮度が命」のコンテンツは公開から数日で情報価値は下落してしまうが、長期的に価値が下がらないコンテンツも存在する。例えば毎年新社会人が入社する季節になると、「名刺交換の仕方」「ビジネスメールの正しい作法」といったコンテンツへのニーズが高まることは想像に難くないだろう。このような長きにわたって効果が持続する資産価値の高い「鉄板コンテンツ」を「エバーグリーンコンテンツ」と呼ぶ。

このような「蓄積効果」によって、コンテンツマーケティングのROI(Return On Investment:投資対効果)は時間の経過とともに改善していく。広告が「コスト」であるのに対して、コンテンツマーケティングが「長期積立資産」と表現される所以である。

 

メリット6:営業効率が上がる

 

イノーバでは、コンテンツマーケティングを始めとして、ソーシャル、クラウド、モバイルといったデジタルマーケティングに関するさまざまな情報を提供しており、営業ツールとしても機能している

 

BtoBビジネスにおいて、コンテンツマーケティングは営業効率の向上にも寄与する。見込み顧客に対してさまざまなコンテンツを提供することで徐々にニーズを高めているため、いざ商談となった時に買い手側はすでに充分な情報と知識を持っているからだ。いわゆる「ナーチャリング効果」である。

すでに充分な情報を持っているため、初回の訪問時からすぐに具体的な課題のヒアリングや提案に入ることができる。「勢い込んで訪問してみたけれど、まだ情報収集の段階だった」というような「無駄アポ」も減らすことができ、限られた営業リソースを効率的に使えるようになる。

当社では「コンテンツマーケティング」という、比較的新しく、一般には認知度の低いサービスを提供しているが、ブログ記事や自社サイトで配布しているeBook、定期開催している「コンテンツマーケティング入門セミナー」といったコンテンツに接触した上で商談に入った場合、その成約率は高く、
クロージング(成約)までにかかる日数も短くなる傾向が出ている。米国ではブログを30ページ読んでから問い合わせてきた顧客の成約率が業界平均の8倍になったという例もある。

 

メリット7:効果検証ができる

 

BtoB企業におけるコンテンツマーケティングのKPI設定例

直接的に商品やサービスを「売り込まない」コンテンツマーケティングは、その性質ゆえに効果を測定しづらいのではと思われることが多い。しかし、実はそうではない。定期的・継続的に測定することで、その効果を定量化することが可能なのだ。マスメディアで広告を露出するよりも、むしろわかりやすい側面もある。

そのためにはまず、コンテンツマーケティングを通して実現したい目的を明確に定める必要がある。KGI (Key Goal Indicator:重要目標達成指標)などと呼ばれる「施策全体の最終的なゴール」をきちんと定め、そこに向かうために正しい道筋を進んでいるのかをKPI (Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)として定めることが重要だ。

例えば、潜在顧客に対して認知獲得を目的として発信するコンテンツであれば、検索順位流入キーワード、ソーシャルメディアにおけるフォロワー数シェア数などが、興味、関心を抱いて情報収集を行っている見込み顧客に対して検討を促すことを目的とするコンテンツであれば、ページ閲覧数eBookのダウンロード数メルマガ登録数といった項目がKPIとなる。

 

Text:亀山將 (株)イノーバ
米国、欧州でマーケティングを修める。企業向けイベント企画、各種新規事業の立ち上げ支援を経て(株)イノーバに参画。執筆やセミナー登壇を通し、コンテンツマーケティングの認知向上に尽力。著作に『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』(共著/インプレス)がある。 http://innova-jp.com/

掲載号

Web Designing 2015年11月号

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 ナビゲーターが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
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■マーケティング・プロモーション
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 □ デジタルプロモーションの舞台裏
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 □ 行動デザイン塾
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 □ 課題解決のためのU実装講座
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■ビジネス・EC
 □ ECサイト業界研究
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  MOTTAINAIマーケット:新旧事業の社内ジョイントベンチャーが価値を作る
  
 □ 知的財産権にまつわるエトセトラ
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  第17回 モノローグスタンプ

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 □ エキソニモのドーン・オブ・ザ・ボット
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編集部よりお詫びと訂正のお知らせ

特集「Web担当者のための実践的コンテンツマーケティング講座」にて、P029「情報を拡散しやすい」に誌面のデータに誤りがあり、本文が読めない状態となっていました。お詫びするとともに、以下に正しい内容を掲載いたします。

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