2015.09.13
シャッター商店にECがもたらした奇跡。「e-子供服ノン」の扉は世界に向けて開いている●特集「EC再強化」 [INTERVIEW 03]小さな子供服店が世界で商売する方法
兵庫県尼崎市にあるレトロな商店街。かつて人で溢れたその通りも、いまではシャッターを下ろした店が半数を占めている。その中の1件が、「e-子供服ノン」だ。小さな商店街の1件が、世界を相手に堂々と商売している。
Photo:梅田彩華
ガラガラと降りていくシャッター後ろはもう崖っぷち
「昔は賑やかだったんです。30軒ほど店があってね。今ではもう10軒ないですよ。みんなシャッター降ろしてしまいましてね」
子供服ノンは、尼崎の昔ながらの商店街の一角に1973年から店舗を構えている。賑わいに陰りが見えはじめたのが2000年頃。郊外に大型ショッピングモールができ、人の流れが大きく変わったことがその理由だ。
当時すでに、母親の後を継いで「子供服ノン」の店主を務めていた南場隆夫さんは、周囲の店のシャッターが降りるのと比例するように、自分の店の売上も落ちていったと、当時を振り返った。
「もう崖っぷちでした。まじめにやってきたつもりだったんですがね。いよいよここまでか、なんて考えた頃に、当時走りだったネットショップを始めたハム屋の友人から、試してみたらどうかと勧められまして。『インターネットで、食べたこともないハムを買う人がいるんだから、子供服を買う人も必ずいるよ』って。よくわからない理屈でしたが(笑)、最後の一手のつもりで始めてみよう、と」
当時、インターネットはもちろん、PCすら触ったことがなかったという南場さんだが、知人の助けを借りながら、なんとか、楽天市場に「e-子供服ノン」を出店した。
「とはいえ、何一つわかっていませんでした。売れるかどうかはもちろん、お金はちゃんと払ってもらえるのか、クレームをどうするのか、もう心配事だらけで。それがね、意外なことに売れたんです。まだライバルが少なかったこともあってか、いきなり数十万円の売上が上がりましてね。決して大きな額とは言えませんが、これで当面は凌げる、と勇気が湧きましたよ」