2015.09.15
BtoCからBtoBへ。「在庫」が生み出した新需要で、次なる成長を目指す 「てるくにでんき」●特集「EC再強化」 [INTERVIEW 05]価格競争に巻き込まれない差別化
オリジナル商品を扱っていないショップにとって、一番の悩みは競合店との差別化。ともすれば最安値を追い求めて価格競争に巻き込まれるショップが多いなか、老舗ECサイト「てるくにでんき」は、豊富な施工例と、自分たちも予想していなかったプロユース向けの販売で、いまも成長を続けている。
廃業直前からECサイトでV字回復
1978年に創業した「てるくにでんき」はもともと、住宅工務店や町の電気店に、スイッチや配線などの電気工事に必要な資材を販売する電気資材の卸だった。だが、90年代に入ってバブルがはじけた影響もあり、仕事は徐々に減少。会社をたたむことも視野に入れていた1996年にECを開始した。
「お金をかけずにやれることを考えて、行き着いたのがECサイト。本でホームページのつくり方を勉強して、なんとかオープンしました」
だが、オープン直後は情報が整理されておらず、訪れたユーザーがコーポレートサイトなのか、ECサイトなのかも判別できないような状態。当然、売れるはずもなかった。
そこでアドバイスを求めたのが、当時高い人気を誇ったTシャツ通販ショップ「EASY」を運営する岸本栄司氏だ。「得意商品を打ち出すべきだ」とアドバイスを受け、96年の8月から「照明器具専門店」と銘打って、本格的に営業を始めた。
「いろいろと扱っている中で、なぜ照明器具にしたのかというと、マンション購入者に説明会をしたり、実際に施工もしたりするなかで、照明器具に関するお客さんの声をよく聞いていたからなんです。自分たちの知識がある、照明に特化しようと考えました」
とはいえ、照明器具は大手量販店に行けばまったく同じ商品が買えるだけでなく、「実物が見たい」というニーズも高いため、およそ通販に向かない商品だ。そうしたハンデを少しでも減らすために始めたのが、現在のてるくにでんきの強みになっている「ブログ」だ。

照明器具の専門店としてシャンデリアやライト、電球などの一般向け商品のほか、配線器具など施工業者向け商品も取りそろえている。現在は本店のほか、楽天、Yahoo!、Amazonにも出店中。
商品としての「照明器具」の特色は?
大手電器店でも扱われている照明器具。そのため価格競争も厳しく、小規模店での展開は難しい。しかし、その一方で、取り付けを求めている人が多いのも特色の一つ。施工サービスや、取り付け相談などの付加価値サービスを打ち出すことで対抗しているECサイトもある。