2018.11.27
インバウンドの主役・中国人の財布は「スマートフォン決済」でつかめ!
訪日旅行者の約1/4を占める中国人は、日本にとって大のお得意様。そんな中国人に商品やサービスを買ってもらうためには、日本と異なる中国特有の決済スタイルを知っておく必要があります。ここでは、中国のモバイルペイメントの状況やその対応策を紹介します。
中国人の購買ポテンシャルは高く今後多業種にビジネスチャンスの可能性が!
近年、日本を訪れる外国人は増加していますが、中でも最も多いのが中国人です。1人当たりの旅行支出も2017年は1位の約23万円で、そのうち約11万円を買い物代(国土交通省観光庁 訪日外国人消費動向調査(2017年))が占めており、日本の小売業やサービス業に大きな影響を与えていることがわかります。ビザの発給条件の緩和などにより、最近は多くの中国人が訪日できるようになりました。日本を再訪する中国人も増えていて、日本での行動の多様化が進んでいることも見逃せません。中国人旅行客の行動範囲が広がっていけば、今後より多くのエリアや業種にビジネスチャンス拡大の可能性があります。
キャッシュレス化が進む中国は、現金払いよりスマートフォン決済が当たり前
日本に来る中国人旅行客に商品やサービスを販売する場合、理解しておきたいのが、中国ならではの決済方法です。いまだに現金払いがメインの日本と違い、キャッシュレス化が大幅に進む中国では、スマートフォンを使った支払い、いわゆるモバイルペイメントが主流になっています。そもそも中国でキャッシュレス化が進んだ背景には、中国の最高額紙幣は100元札で、これは日本円に換算すると約1,640円(2018年9月23日時点)3にしかならず、高額商品を購入する場合、大量の紙幣を持ち歩かなければならないことや、中国は偽札の流通がたびたび報じられていることもあり、中国人は現金決済をあまり好まないという事情があります。そのため、2000年代にはキャッシュカード兼デビットカードの「銀聯(ぎんれん)カード」が普及しました。その後、スマートフォンが爆発的に広がり、より手軽に支払いができて、店側も専用の端末がいらないスマートフォン決済がスタンダードとなりました。
日本は2018年に経済産業省が「キャッシュレス・ビジョン」を掲げ、モバイルペイメントを推進する方向に動いています。しかし、スマートフォン決済への取り組みはまだまだこれからというのが現状です。今は訪日中国人も現金での支払いが多いのですが、買い物のたびに小銭や紙幣を出すのは中国のスタイルからすると面倒。さらに、中国の人民元を両替所で日本円に換金するよりも、スマートフォン決済の方がレートが優遇されることが多いことから、現金決済への不満を持つ中国人は少なくありません。日本の小売店や飲食店、施設なども訪日中国人のスマートフォン決済への対応を考える時期に来ていると言えそうです。