2018.05.18
[UX3-5]最後はこれで確認を!原稿チェックリスト ユーザー目線で書きましたか?
「なぜ始めるのか?」という根本的な問いから出発し、ユーザーが必要とする「コンテンツ」として練り上げ、公開…。「コンテンツ」は、不安なく公開できる状態になっていますか?最後に、内容の精査からトーン&マナーまで、中身の総点検をチェックリストで行いましょう!
「自力で運営できる」という手応えをつかんでほしい
第3章では、制作する側がチームをつくり、チーム全体でコンテンツをつくり込む重要性を中心に解説してきました。記事を用意する上で困らないための具体的なアクションにも触れました。
コンテンツづくりを「仕組み化」できると、コンテンツが不足するなどのリスクも回避できます。中長期的な運用がしやすくなって、実際に中長期的なビジョンを描けるので、実現したい目的が叶えやすくなります。
だからこそ、公開前の最後のアクションとして、P083で公開するようなチェックリストを自前でつくって、活用してください。常に制作の原点である「なぜコンテンツをつくり、ユーザーに届けるのか」に立ち返ってほしいからです。ここまでの過程を十分に理解していないと、運用に比重が偏り、つくり手都合が強い記事になりがちです。誰のためのコンテンツであるのかについては、公開直前まで問い続けるようにしましょう。
また第3章の内容が機能するのは、あくまで第1章や第2章で伝えている本質を十分に理解していることが前提になっている点を忘れないでください。
仕組み化は、運営する側が楽をしたい、自分/自社のために行うのでしょうか。それ以上に、ユーザーに役立つコンテンツを提供したいという目的を思い出してください。つくり込んだコンテンツが、本当にユーザーが求めているコンテンツとなっているか。ユーザーにとって興味深い内容にまとまっているのか。そうしたユーザーのニーズを確認するための最終フェーズに、自分たちにあったチェックリストをつくってみましょう。
グッドパッチの場合は、(03)のチェックリストのように項目を設けながら、重要な内容をまとめています。(03)のチェックリストを目安にして、リストの中身を変更したり、項目を加えながら、自分たちで考えた(カスタマイズした)リストをつくり上げましょう。
記事公開に慣れてくると、チェックリストを使わずとも運用できる感覚を覚えるかもしれません。そうした時ほどチェックリストに立ち返り、ユーザー視点での運営を心がけてほしいです。
コンテンツは、常にユーザーにとってわかりやすい体裁で
ここからは、(03)のチェックリストの各項目について説明しましょう。
(1)を通じて、コンテンツが端的に伝えられる状態になっているかを確認してください。コンテンツのボリュームが膨らむほど、読みづらくなる可能性が高まります。メインタイトル、文章ごとの区切りに設けられた小見出し、他にも構成次第で冒頭に用意したリードなど、短い言葉、文章量で、おおよそ全体で何を伝えたいのかがわかるようになっているか? リライトなどを繰り返して、落としどころがなく書き続けると、意図せず冗長な構成となってしまう点も気をつけておきましょう。
逆に、わかりやすい見出しで、伝えるべきことがクリアになっていれば、読者が内容を理解しやすいコンテンツになります。公開直前は、つきっきりだったコンテンツを客観的に評価しづらいものです。だからこそ、複数人(チーム)がコンテンツを客観的にチェックできる体制をつくるのが望ましいのです。
(2)でよく見ておきたいのは、記事の見せ方。複数の要素を1つの塊の扱いで並べると、その要素が、ある塊では所感が入っているが、別の塊だと所感がなかったり、他には組まれていない詳細の情報が入っているなら、伝える項目が揃うように改めましょう。まとめ系のコンテンツは、ボリュームが膨らみやすいだけに、項目の構成は統一したいところ(01)。補足事項がある場合は、補足事項だとわかる書き方で掲載するようにしましょう。
読む順番やコンテンツの区切りがわかりやすいように、記号や数字を用いる場合も、自分だけがわかるように付けても意味をなしません。ユーザーが見たときにわかるような記号や数字の付け方、文章のレイヤーが同じもの同士で数字なら数字、アルファベットならアルファベットに揃えて付けるようにしましょう。
ユーザーありきのコンテンツであるのか、最後まで問い続けよう
項目(3)や(4)では、事実関係の確認を挙げています。誤った情報の拡散は避けたいですが、原稿段階では、「後で確認する工程がある」からと、曖昧なまま進めがちです。複数の体制であっても、誰かが見てくれる、という気持ちも湧いてきます。Webだから、間違ってもすぐに修正できるのは確かですが、公開する以上は、きちんとした状態で万全を期しましょう。内容のブラッシュアップによるリライトと、事実誤認とは、修正の意味合いがまったく違います。
各社調査会社、行政機関などのデータを引用する場合も、必ず引用元は記載します。画像を掲載する場合、画像そのものの品質とともに、権利関係がクリアなデータであるかも必ず確認して、出所が曖昧なものや自信がない状況であれば、無理に掲載すべきではありません。見あわせる判断ができる体制をとりましょう。
チェックリストの項目は、今回の特集の内容を踏まえながら、グッドパッチでも運用している内容を参考に、本誌でまとめ直しています。あとは実際に使うみなさんが、必要に応じて項目を加減させて、適宜カスタマイズしてください。例えば、記事が平易な言葉と読む流れを重視した仕上がりとなっているのかを確認するために、声に出して音読する工程を入れておきたいなら、音読による確認という項目を加えましょう。
運用の方針や方法で、チェックリストの数には加減が生じるにしても、最後に必ずみなさんに徹底してほしい項目が(5)です。公開直前だからこそ、「できた」「完成した」という余韻に浸る前に、コンテンツがユーザーありきとなっているかをもう一度確認してください。どうしても、つくり手都合でコンテンツはつくられがちです。つくり手側の都合が強い仕上がりになっていませんか? その傾向が見られれば、改善のために公開を見あわせる判断が求められます(02)。
つくり手の満足よりも、ユーザーが納得できて、興味が喚起されるコンテンツであるかを公開前に必ず確認する工程として、リストを活用しましょう(03)。