2017.08.25
越境ECと電子決済 決済を整備して海外販路を狙う!
電子決済の導入にピンと来ない人も、具体的に「顧客や販路の拡大につながる」とわかれば、可能性を感じやすいはず。そこで「越境EC」。「なぜ」というあなたに、電子決済と越境ECとの関係を解説します。
越境ECの市場規模は年々増加 2020年には支出額1兆ドルへ
電子決済の導入メリットは、海外は当たり前に利用され、電子決済手段を持つ海外ユーザーに対応できるようになるからです。まず注目したいのが、世界のBtoC向けEC市場規模。IRCE2017シカゴの様子や、経済産業省、米国eMarketer社、THE PAYPERSの各データをご覧いただけけると、どのエリアにおいても規模が世界的に拡大傾向だと読み解けるはずです。
この背景には、「スマートフォンの普及」「インターネット人口の増加」「マーケットプレイスや物流システムの充実」「決済機能多様化への対応」「オンラインショッピングのインフラ整備」、そして「越境ECの機会増大」などが要因と考えられます。 特に中国、米国の市場は世界的に見ても規模が大きく、とりわけ中国におけるEC市場規模の拡大は目を見張るものがあり、高い成長となっています。
米調査会社eMarketerによると、2016年の中国と米国の2カ国で電子商取引売上高は1兆5,8400億USドル。世界の電子商取引の69.1%を占めるとしています(出典:eMarketer Report、2017年1月18日付)。また、2016年の世界の越境EC市場規模は4,000億USドル。対前年比成長率は、2016年は31.6%の伸びがあり、2020年まで対前年比20~30%と堅調な成長率が見込まれ(01)、2020年には10億人が越境ECを利用し、越境ECの支出額は約1兆USドルの見通しが出ています。
インバウンドマーケティングとのシナジーも期待できる越境EC
越境ECを行う上で、忘れてならない重要なポイントが“インバウンドが与える越境ECへの影響”です。例えば、海外からの旅行客や出張中の人たちが、インバウンド(日本国内)で購入したお菓子や化粧品などのお土産類、電化製品、ゴルフグッズ、子ども服などについて、帰国後にもう1度購入するという還流が起こりえるからです。実際、恩恵の声を私のまわりのECショップからも数多く聞きます。
越境EC大国中国からも興味深いデータが見受けられます。2016年時点で1年間の訪日中国人旅行客数は、JNTO(日本政府観光局)によると637万人、中国のモバイルインターネット人口が約6億9,500万人(出典:CNNIC)、中国における越境EC利用者数は4,000万人以上とされる中、中国ユーザーが越境ECを利用する理由として、「海外で購入した経験があり、自国からリピート購入したい」と答えているユーザーが35.0%※にも昇ります。
JNTOの推計では、2017年5月の訪日外客数は前年同月比で21.2%増の229万5,000人で、5月としては過去最高を記録。5月までの累計値は同17.3%増の1,141万人を超え、昨年より1カ月早く1,000万人台に到達しています。国も2017年からの「観光立国推進基本計画」に則り、2020年までに、訪日外国人旅行者数4,000万人という目標計画を掲げてています。2016年が年間約2,400万人とされるので、計画どおりに推移すれば、インバウンド訪問者が今よりさらに2倍近く増える可能性が出てきます。
あわせて越境ECのポテンシャルを見てみましょう。経済産業省のデータを引用すると、日本から米国への越境EC流通額は2016年の6,156億円から2020年には1兆618億円と1.72倍に、日本から中国への越境EC流通額は2016年の1兆366億円から2020年には1兆9,053億円と1.83倍になるとしています。
つまり、インバウンドと越境ECはともに大きなポテンシャルを抱え、高次元のシナジー効果が期待できる状況です。そうした状況に参入するためにも越境ECへのトライと、その前に海外ユーザーが対応する決済方法の開設準備が求められます。