2017.04.27
えっ! 「AIがマーケティングを変える」だって!? AIは「便利ツール」が登場した、と捉えよ!
話題のAI。なんだか凄いものが登場してきたみたいだけれど、自分達の仕事には関係ないね、と思っているあなた。それは大間違い。実はAIは、マーケティングを変える新しいツールなんです! アイアクトの西原中也さんが教えてくれます。
1. AIの正体見たり! ただのつながり発見器!?
最近「AI」人工知能に関するニュースがとても多いですよね。車の自動運転と深く関わっているとか、将棋や囲碁で人間に勝利したといったテーマで、毎日のように話題になっています。しかも同時に、「人の仕事を奪う」とか、「人間の知能を超える」といった語られ方をすることが多いこともあって、AIを特別な技術のように感じている方も多いのではないかと思います。
しかし、そういった面ばかりが強調されることで、AI技術の現状やそのメリットといった大事な部分が見えにくくなってているんじゃないかな、と思います。
確かに、AIはこれまでの技術にはない側面を持っていますから、新しいことがどんどん起きることは間違いありません。だからと言ってAIは人間のように何かを「考える」ものではありません。ではAIに何ができるのか。簡単に言うと、モノとモノとの間の「関連性」、つまり「つながり」を見つけ、その度合いを測ること、それだけなんです。しかもこれは特別なことではなく、人間にだってできることです。ただし、それを人間がやるととんでもない時間がかかります。何千年、何万年…。それを、AIはわずかな時間でやってくれるのです。
ではその「つながり」とはどういうものか。それを実感できるのが、IBMの「シェフ・ワトソン」というWebアプリケーションです。これは素材や料理方法などの情報を入力(選択)するだけで、まったく新しいレシピをつくってくれるアプリケーションです。たとえば「豆腐をロシア風に調理して食べたい」とか、「母の日に食べるパスタを豆腐を使って作りたい」といった要望をふまえたレシピを瞬時に、自動的につくりだしてくれます。
なぜそんなことができるのか。シェフ・ワトソンには、あらかじめ数万件にも及ぶ、大量のレシピや素材に関するデータ、その感想などのデータを読み込ませて解析をさせてあります。そのため、すでに「豆腐」が他のどんな素材とつながるのか、つまりどんな素材と合うのか、あるいはどんな素材の代わりとなるのか、また調味料や調理法との相性はどうか、といった膨大なデータを持っています。その一方で、「ロシア風」の料理を実現するための、どんな素材や調味料が必要かといった情報も持っています。
それら独自の「つながり」の情報の中から「豆腐」と「ロシア料理」の両方と関係の深い素材や調味料はあるか…。ワトソンはそんなつながりを探し、見つけ出すことができればそれらを組み合わせたレシピにする、というわけです。
ここで大事なのは、事前のデータ解析ということになるのですが、シェフ・ワトソンは、レシピなどのデータから、いったいどうやって「つながり」を見つけ出しているのでしょうか。
そこで行われているのが文章の解析です。文章の中にある単語同士の関連、たとえば「甘い料理には砂糖が使われている」といったようなことをひたすらに、一つずつ確認していきます。人間だったらうんざりでしょうが、コンピュータ上で動くAIは文句の一つも言わず、徹底的に調べ上げてくれます。そうすることでAという素材とBという素材は一緒に使える(関連性が高い)とか、Aの代わりにCが使えるな、といったことが組み立てられるようになるんです。
シェフ・ワトソンがつくりだしたレシピの中には、これまでの常識から大きく逸脱したような、不思議なものが少なくないので、まるでワトソンが考え出したかのようにも見えるのですが、そうではなく、人間がこれまで知らなかったつながりを活用して、表に出してきただけなんです。
Check!
AIが人間を滅ぼすのでは?新聞やテレビでAIが取り上げられると、必ずそんな疑問が付け加えられます。その「予断」こそが、AIの本当に便利な点を見えにくくしているのです。
Check!
AIが見つけ出すのは、ビッグデータの中にある、個々の項目のつながりとその度合いを測ること。人間には決してできない面倒な作業もすぐにやってくれます。
Check!
シェフ・ワトソンは誰でも 利用できます(英語)。以下サイトを訪れてレシピを作ってみよう。URL:https://www.ibmchefwatson.com/
AIがマーケティングのここを変える

