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One's View コラム Web Designing 2017年6月号

【コラム】「AI=電脳」から解き放たれた瞬間 今号のお題「人工知能」

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

今号のテーマはAIということですが、思い起こすと私はAIについて昔から興味があったなと思います。「好きなアニメは?」と聞かれると、『攻殻機動隊』や『AKIRA』を挙げるくらいです。ここ数年は、ドワンゴさんが主催するプロ棋士とAI棋士棋士の戦い「電王戦」をスポンサーとして見学させてもらったり、「東京大学グローバル消費インテリジェンス寄付講座」でケーススタディをさせていただいたりと、幸運にもAIにまつわる仕事に関わることができました。

とはいえ、サイエンスのスペシャリストたちによる研究を遠くから見ているだけで、相変わらず私にとってAIは遠いものでした。それが、2016年にMicrosoftさんのAIをローソンLINE公式アカウントに移植するというプロジェクトをスタートしたことで意識が変わりました。

「あきこちゃんAI」には、LINE公式アカウントにチャットボットを導入してローソンの商品を事前におススメするという機能があります。2010年につくった「ローソンクルー♪あきこちゃん」というSNS公式キャラクターに会話機能を追加するというもので、実は、世に出るまでに、検討開始から約10カ月掛けたプロジェクトでした。

あきこちゃんには、キャラクターマニュアルがあったものの、TwitterやFacebookでは返信をしないので、会話データがなく、一からデータをつくり込んでいく「AI化」の必要が生じたのです。そこで、AI化してくれるMicrosoftの女子高生AI「りんな」チームのエンジニアさんに、あきこちゃんをつくったきっかけやパーソナリティなど、あきこちゃん「らしさ」についてのエピソードやヒントを一所懸命に説明しました。

たとえば、「ある店舗の夕勤のクルーさんが実際のモデルだった」「笑顔がステキな彼女がいるだけで、お店に会いにくるお客さんがたくさんいた」「クリスマスイブにケーキを買うために大型トラックでUターンしてまで買いにきてくれたお客様がいた」…思い出す限りのことをお伝えしました。

7年前につくったキャラクターですが、ここまで詳細を思い出しながら話したのは久しぶりでしたし、今思えば、単なるデータの蓄積のためではなく、AIに“人格”を与えていたのだなとも思います。

あきこちゃんのキャラクターについて話しはじめた時は心が躍るほどに嬉しく、心のどこかで漠然と思い込んでいた「AI=電脳」というイメージがガラッと変わった瞬間でした。

いまはまだ、ぎこちない会話しかできないあきこちゃんAIですが、「近所のコンビニで夕方に笑顔で働いているクルーさん」を目指しながら「顧客接点にいるAI」として成長していってくれるといいなと思います。

 

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Microsoftさんの女子高生AI りんなちゃんのテクノロジーでコラボレーションした「ローソンクルー♪あきこちゃん」。ローソンLINE公式アカウントでお待ちしておりますので、ぜひ友だち追加してみてくださいね

 

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ナビゲーター:白井明子
(株)ローソン デジタルプラットフォーム部シニアマネジャー。デジタルプラットフォームを用いた施策の構築と企画を担当。「Web人大賞」、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー準大賞」受賞。ACC新事業検討委員会委員、法政大学イノベーションマネジメント研究センター客員研究員。http://www.lawson.co.jp/

掲載号

Web Designing 2017年6月号

Web Designing 2017年6月号

2017年4月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

6月号のテーマは「AI」です。「え!?」と思った人、ぜひ本書ですでに直面している現実をご覧ください。

現在、ビジネスのキーワードとして飛び交っている「AI(人工知能)」。人間の脳の代わりとなり、さまざまな仕事をAIが賄ってくれる未来像がネット上でも飛び交っています。「人間の仕事を奪うのではないか」「人間を支配するのではないか」そういって煽るメディアも多々ありますが、果たして現在のAIとは、本当にそんなSFのような話なのでしょうか?
答えは「今はNO」です。
むしろ、AIはインターネット、そしてSNSといったものと同じ、現在のマーケティングを加速させる「新しいマーケティングツール」なのです。

一方、AIの導入は巨額の開発費を投資できる大手企業の話であり、自分たちのような中小規模の企業には関係ないと思っていませんか?
答えは「NO」です。
むしろ、時代の流れに少なからず影響を受ける中小企業こそ、大手との仕事のため、企業成長のため、正しい理解と認識が必要です。

AIは今すぐに、多額の投資をしなくとも活用できる状況がすでに作られています。
人工知能によってマーケティングにおけるあらゆるコミュニケーションが変わっていく可能性があり、そんな時代はもうすぐそこまで来ています。仕事の効率化、人件費削減など中小企業が抱える長年の課題に対する解決の道筋をつけてくれる可能性が大いに有り得ます。
御社の競合がAIを使った施策を行っている、そう聞いてからでは遅いのです。
本特集では、今、現場で活用できるAI技術を使ったWebマーケティングの方法と、それによるリソース面、予算面のメリットまで追求します。

第1部 【中小企業Web担こそ!】いますぐAIを検討すべき理由
●いますぐ使えるAIの基礎理解
●図解・AIがマーケティングで注目される理由
●AIの仕組み~要するに、何をしてるの?~
●AIをビジネスツールとして活かすには

第2部 AIを現場の即戦力にするメリット
●AI搭載型botでオペレーションコスト低減へ!スモールスタート可能なチャットボット活用法
●AIの機能は「分析」ではなく「分類」だ!AIの導き出す「答えの見方」
●実録・AIでFAQを作る
●こんな身近にある!AIツール

など

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