2016.11.14
One's View コラム Web Designing 2016年12月号
【コラム】チャットボット広告の可能性 今号のお題「インターネット広告」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
今号のテーマが「ネット広告」ということで、新しい取り組みについてご紹介します。ローソンはLINE公式アカウントを持っており、約2,000万の登録をいただいています。公式アカウントは月2回のプッシュ配信と4回のタイムライン投稿のできるインターネット広告なのですが、配信のない日は動きのないアカウントでした。調べたところ配信のない日にも、毎日数千人が公式アカウントに話しかけてくれていることがわかったものの、返答は定型文のみ、という状況でした。
配信のない日も有効活用できないかなーと悩んでいたところ、米国出張の際にX.ai社の「Amy(エイミー)」というサービスについて聞きました。人工知能をベースにして自分のスケジュールを一手に管理してくれるサービスなのですが「Amyみたいにあきこちゃん(ローソン公式キャラクター)も秘書みたいなことができないかな」と、悶々とする日々を送っていたのです。
そんな折、縁あってマイクロソフトさんの「AIりんなちゃん」(LINE公式アカウント「りんな」。AIによる会話ボットの一つで、リアルなJK感が反映されたマシンガントークと類まれなレスポンス速度が話題を集める)に出会い、この技術をお借りして、あきこちゃんとチャットボット機能で会話ができるようになりました。
りんなちゃんは女子高生ですが、あきこちゃんは20歳の大学2年生なので言葉遣いが少し丁寧で、ローソンの商品のおすすめができるという特徴があります。ローソン公式アカウントは開設以来、FacebookもTwitterもユーザーに返信しないというポリシーでやってきたので、会話ができるようになるのは初めてでした。
毎日、数万から数十万のユーザーがあきこちゃんと会話してくれていますが、なかでも「しりとり機能」ではこれまで40万のユーザーに遊んでもらえたほど。これは、ユーザーが話しかけた言葉に対して、あきこちゃんが必ずローソンの商品名でしりとりするゲームです。
一人が平均12回のやりとりを行うので、「40万×12回×しりとり回数」の商品名がOne to Oneで届けられたことにはなります。情報量が増え、インターネット広告がユーザーに届きにくくなっているいま、ユーザーが自発的に企業の商品名を聞きに来てくれる広告は珍しく、学ぶことも多いです。
今後LINEさんもMass to OneからOne to Oneに届けることができるプラットフォームへの戦略を練られていると聞いています。今はまだゲームができるだけのチャットボットですが、AIなどのテクノロジーで可能になる新しい「ネット広告」には柔軟に対応していきたいと思います。
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- ナビゲーター:白井明子
- (株)ローソン デジタルプラットフォーム部マネジャー。デジタルプラットフォームを用いた施策の構築と企画を担当。「Web人大賞」、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー準大賞」受賞。ACC賞インタラクティブ部門審査員、法政大学イノベーションマネジメント研究センター客員研究員。http://www.lawson.co.jp/