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データのミカタ Web Designing 2017年4月号

SNSがもたらす複雑な感情 データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

ソーシャルメディアが引き起こす感情の問題は、ビジネス活用と同じくらい重要で興味深いものである。セキュリティ対策企業のカスペルスキー社が2017年1月に発表した、日本を含む18カ国を対象としたアンケート調査結果は、SNSがもたらすネガティブな感情が身近なものであることを実感させてくれる。

日本でも世界でも、ソーシャルメディアを利用していて「嫌な気持ちになったことがある」という人は約4割を占める。その理由として、世界全体では「迷惑広告」(72%)、「友だち削除」(61%)、「否定的コメント」(59%)など自分に対して行われたことを挙げる人が多いが、日本では「他人の人生(結婚、子ども、旅行、休暇)」(54%)や「友だちの楽しそうな休暇」(43%)など内側の嫉妬感情が上位に並ぶ。隣の芝生が青いのはSNSに限らないものの、毎日SNSを見ていればそういう感情を抱く頻度が増えるのは当然だ。

また全対象者への質問では、「いいね!」が確実に得られるなら「普段は口にしないような意見を強く主張」したり(世界21%、日本6%)、「行っていない場所に行ったふり」をする(世界12%、日本6%)人は少なくない。友人の「恥ずかしい情報」や「秘密の情報」を公開するとの回答もみられた。そうした承認欲求に基づく軽率な行動は、他人や自分に問題となって跳ね返ることは容易に想像がつく。

セキュリティ会社がこのような調査を公表するのは、それが企業や個人にとっての「リスク」につながるからだ。ウイルスと同じくらい人間行動はトラブルのもととなる。幸いにも日本では、こうしたリスク行動は世界平均よりも低い水準にとどまっていた。SNSに現れる問題は、他人の迷惑行為との戦いだけではなく、自分の内面的感情との付き合い方次第であることは意識しておこう。

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日本、米国、ロシア、ドイツなどを含む世界18カ国の16歳以上の男女1万6,750名を対象(日本:1,000名)に行ったオンライン調査。上のグラフは、その中で「ソーシャルメディアで嫌な気分になったことのある人(世界:6,851人、日本:391人)」が対象。実施時期は2016年10月から2016年11月まで、調査会社はToluna
出典:「Kaspersky Labレポート:ソーシャルメディアが人々に及ぼす影響」より

 

Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

掲載号

Web Designing 2017年4月号

Web Designing 2017年4月号

2017年2月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

4月号のテーマは「エンゲージメント」です。

競合他社のひしめく中、顧客に自社商品・サービスを選んでもらい、さらにリピートしてもらうのはなかなか難しい現在。
価格競争に巻き込まれることなく安定した収益を見込むための戦略の1つとして「エンゲージメント(愛着・共感)」向上があります。
顧客に自社商品、ひいては会社自体に興味を持ってもらい、贔屓にしてくれる「上客」を育てるにはどうすればいいのでしょうか。

本書では、「安定した収益を見込むための顧客エンゲージメント向上」をベースに、
顧客エンゲージメントを高めるとどんないいことがあるのか?
エンゲージメント(愛着・共感)を高めるには?
顧客のエンゲージメントは今どうなっているかを把握するには?
現在の顧客の声をデジタルをベースに聞き出すには?

と、段階と施策に分けて丁寧に解説します。



【Chapter01】
安定収入を得るためには?
_エンゲージメントを上げることのメリット
_顧客の共感や満足度を高めること
_顧客の満足度とはどういうことか
…etc

【Chapter02】
共感や満足度を高めるためには?
_カスタマーサクセスで成功のプランを設計する
_顧客を知るためのカスタマージャーニー
…etc

【Chapter03】
現状を知るには?
_指標を持つことの重要性
_NPSで測れること、わかること
_CESで測れること、わかること
_なにを改善するかを理解する
…etc

【Chapter04】
顧客の声を聞くには?
_各種アンケートで顧客の声を聞く
_SNSを利用する
…etc


SNSのエンゲージメント率とは?

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