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データのミカタ Web Designing 2017年2月号

予測を超えるスピードで拡大するスマートフォン動画広告 データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

サイバーエージェントとデジタルインファクトが2015年11月に発表した推計によれば、2016年の動画広告市場は842億円で、2015年の535億円から57%も増加。2020年には2,300億円程度になる見通しだ。

このような推計値は、過去に出た予測を最新のものと比較することで「精度」を評価することができる。過去3年分の予測を一つのグラフにしたのが上図である。

面白いのは、最新推計が過去の予測から上方修正されていることだ。2020年の数字は、2015年発表の予測より300億円も増えている。スマホ向け広告に限ると、1,149億円が1,883億円に増えた。わずか1年で将来推計値がこれほど変わるのは異例である。精度の問題というより、この1年で事業者側の予想を越えるほどに拡大しているためだろう。逆にPC向け広告は、860億円から426億円とほぼ半分に下方修正されており、動画広告は拡大するが、スマホがその中心になるというメッセージが明快だ。

ただ急速なスマホ動画の拡大は諸刃の剣でもある。動画広告の一人あたり接触時間も再生頻度も増えるからだ。スマホはPC以上にパーソナルな空間であり、関心と配信のミスマッチも当然起こる。海外で問題になっているアドブロックの利用拡大にもつながりかねない。

また、ディスプレイやテキストに比べると、感情や共感の喚起やブランディングを目的とするものが多い。単に再生回数や誘導率ではなく、視聴ユーザーの感情や態度の変化をどう計測するかも課題になる。表現のクオリティも問われるはずだ。混沌としながらも確実に拡大する市場の開拓を目指す状況は、ネット広告黎明期の熱気に似たものがある。エージェンシー側にもブランド側にも楽しみな時代が始まったことは間違いない。

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動画広告市場推計(2014年、2015年、2016年時点の予測比較)
出典:サイバーエージェントが運営する研究機関、オンラインビデオ総研ならびに、 (株)デジタルインファクトの調査より
2016年11月9日発表 https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/info/detail/id=12795
2015年10月27日発表 https://www.cyberagent.co.jp/news/press/detail/id=11208
2014年10月21日発表 https://www.cyberagent.co.jp/news/press/detail/id=9392
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Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

掲載号

Web Designing 2017年2月号

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2016年12月17日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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2月号の特集テーマは「Web動画マーケティング」です。

「いまは動画の時代である」と言われはじめてはや数年。インターネットで見られるコンテンツのうち、動画の割合が増えてきたことは言うまでもありません。SNSはもとより、コーポレートサイトなど、目にする機会が多くなった動画は、すでにマーケティングのツールのひとつとして考えるのが当たり前になっています。とはいうものの、いまのビジネスに動画がどんなメリットを与えてくれるの? という方も多いのでは。そんな方のためにも本特集では、利益を伸ばすためのポイント、トラフィックを増やす方法、SNSやYouTubeとの連携など、ビジネスに動画を活用するための知識や方法を、費用対効果に沿った形で解説します。大手企業のマネをするのではなく、自社のビジネスにあった動画の活用方法をお伝えします。


第1部「ここだけはおさえたい! 動画マーケティングの基礎知識」

_実録「マーケティグ動画のできるまで」
実際に中小企業が動画マーケティングのプロに仕事を依頼した一つの案件について、ヒアリングから動画制作、納品、その後の分析/解析まで時系列で紹介。
動画施策の一連の流れを疑似体験してみましょう。

_やさしく解説する「動画マーケティング」
動画マーケティングについて、その考え方、ポイント、留意点などさまざまな点から、動画とマーケティングの関係についてわかりやすく解説します。

_“動画マーケティング”その背景を考える
なぜいまマーケティングに動画が利用されるのでしょうか。写真ではなく、動画であることの理由はたくさんありますが、スマートフォンの普及、それに応じた縦型動画の利用などなど、いま動画がマーケティングとして利用される背景について考えます。

_マーケティング視点で考える動画
動画をマーケティングに利用するということは、単に写真を動画に入れ替えるということではありません。動画にすることの目的は、あくまでも自社の課題を解決するためです。
課題を見つけ、それに応じたKPIを立て、PDCAを回していくという基本的な考え方が必要であることを改めて考えます。

_Facebook、Twitter、Instagram…SNSで展開する動画について
SNSで動画はどのように扱われ、いかにマーケティングに利用できるのでしょうか。各SNSがプラットフォームとして用意する動画との親和性はもとより、利用する側が知っておきたいさまざまな知識について解説します。

_Youtubeで公開する動画について
SNS同様、動画プラットフォームとして確立しているYouTube。広告としてだけでなく実際に動画を配信することで得られるメリット、マーケティングとして利用するための方法についてなど、あらかじめ知っておくべき基礎知識をまとめます。

_動画の効果を測定する方法、その考え方
動画を利用したマーケティングでは、動画つくって終わりではありません。公開した動画がどのように見られているのか、アプローチしたい層に届いているのかなど、その効果を測定しながらさらなる改善が必要になってきます。そのための効果測定について、解説します。


第2部「事例集」
_5つの事例から学ぶ、動画マーケティングの現場からの視点

コラム
_費用対効果で考える自社の動画制作(予算と規模感の相関)
_中小企業が実践すべき動画マーケティング10か条

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