2016.11.17
データのミカタ Web Designing 2016年12月号
幅広い年齢層に拡がった「ポケモンGO」 データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム
「ポケモンGO」は、電車や公園で流行が目に見える点がユニークだ。近所の都立公園は人気ポケモンの巣になっており、駐車場に入れない車が行列し、静かな散歩道もトレーナーたちに占拠されている。老若男女を問わずユーザーは幅広い。
流行を裏づける統計や調査結果にも事欠かない。アプリ利用状況データを収集しているヴァリューズによると、国内のダウンロードは1,700万件という。またユニークなところではNTT DocomoのGPSデータベース「モバイル空間統計」によって、出現エリアでの人の流れの増加を可視化した調査も公表されている。
一方、ポケモンGOが他のスマホアプリの利用時間を奪うという憶測もあったが、国内外のデータを見る限り影響は少なく、スマホの利用時間全体を増やすことに貢献していることも明らかになっている。
話題のスマホアプリは、情報に敏感で時間も余裕のある10代や20代がまず飛びつき、その後に中高年層にじわじわと浸透していくのが一般的だ。MMD研究所の定点調査でも、10代、20代での利用率は高いが離脱したユーザーも多いことがわかる。ヴァリューズが毎週測定している利用者属性で見ても、30代以上の構成比率が徐々に上昇している。
初代ポケモンがゲームソフトとして発売されたのは1996年、20年前だ。当時熱中した小学生は30歳前後であり、子どもたちの親世代にもなじみ深い。社会現象であるがゆえに中高年でも抵抗がない。
店舗への集客や地方の観光促進といったビジネス利用も活発である。リアル世界で消費者を動かすことの価値は大きい。出現場所のシャッフルや次世代ポケモンの追加など飽きさせないための打ち手は多く、ほかのスマホゲームに比べても高い水準でプレイ人口は維持されそ

出典:MMD研究所「2016年8月ポケモンGOの利用実態調査」より。小数点以下は四捨五入とした

出典:(株)ヴァリューズ、2016年9月15日配信レポートより http://www.valuesccg.com/topics/detail/id=278
- Text:萩原雅之
- トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/