2016.05.26
データ取得の重要性とその活用法 とにかく「データ」を取得し、「因数分解」して課題解決に導く
Googleアナリティクスなどの膨大なトラッキングデータを取得はしているものの、実は活用していないという人も多いだろう。「迷ったら、100%データに従う」と断言するVASILYの金山裕樹氏に、データ活用の重要性と、その活用方法を聞いた。
Photograph:五味茂雄
データがすべての判断基準
オンラインとオフラインのビジネスを比べたとき、特に大きな違いは、利用者の詳細なデータが容易にとれるか否かにある。女性向けファッションアプリ「iQON」を手がける(株)VASILY代表の金山裕樹氏は、事業戦略から課題発見とその解決まで、あらゆる判断とアクションの裏付けにデータを用い、それを徹底している。
金山氏は、「データがある場合は、100%それを基に判断します。感情や直感には従いません」と断言する。ロジカルに考える性格なのに加えて、前職のYahoo! JAPANでの経験や、「Track EVERYTHING!(全部トラッキングしろ!)」と口を揃える海外のスタートアップ経営者たちと話すうち、自然にデータを重要視するようになったという。
「僕たちのようなWebサービスに関わる企業は、もっとデータを活用するべきだと思います。たとえ100人分しかなくても、データはデータ。分析することで見えてくるものがあるし、課題発見や解決の重要なヒントになります」
ここ最近でこそ、チェックするデータの範囲を少し絞っているものの、トラッキングできるデータは原則的にすべて取得し、改善しなければいけない課題に応じて、関連するデータを紐付け、数値を見ながら改善を進めていくという手法を採用している。ちょうどPDCAサイクルの「P」と「C」にあたる部分の判断基準にデータを用いていると考えればわかりやすいかもしれない。
“因数分解”で見つけた課題にデータを紐付け
データを活用する際に一番重要なのは、「課題と課題に紐付くデータ」をどうやって定義するかだ。たとえば「ユーザーからの投稿数を3カ月で倍にする」というゴールを掲げ、それを達成するための目標を「ユーザーからの投稿数を1日100本にする」に設定したとしよう。この場合、最初に「投稿数を向上させる要因となるデータが何か」を定義することが重要となる。ここで紐付けるデータを間違えてしまうと、その数値が改善しても、結果としてユーザーの投稿数が変わらないという事態を招いてしまう。こうしたミスを避けるために金山氏が実践しているのが、課題の「因数分解」だ。