2016.01.26
キーワード05「ロボット」:すべてのIoTは「ロボット」化する●特集「IoTの現在」 6つのキーワードから知る、さまざまなIoTのカタチ
前項では、人工知能の例としてPapperを取り上げたが、実はロボットの定義は幅広い。2005年に経済産業省のロボット政策研究会が発表した定義は、「『センサー』『知能・制御』『駆動系』の三つの条件が揃っていること」だ。つまり、ロボットとは「知能化した機械システム」とも表現できるが、それはIoTそのものだ。

「ロボットから話しかける」ことを実現しており、指示待ちのロボットと一線を画している。また、持ち主の顔を覚えたり、環境によって成長する方向が変わるなど、経験を積むほどにいろんな言動や行動を変えていくという「成長するロボット」だ
ロボットと人との接点
「ロボット」と言っても、人によってさまざまなイメージがあるだろう。アトムやガンダムといったヒューマノイド型のものが思い浮かぶかもしれないが、実は「センサー」「知能・制御」「駆動系」が備わっていればロボットであり、自動車、家電、携帯電話、住居など、多くのモノは「ロボット」と呼べるのだ。そして、それはとりもなおさず、IoTにほかならない。つまり、その形に関係なく、すべてのIoTはロボット化するといってよいだろう。
コミュニケーションロボット
たとえば、「Palmi」は音声認識と発音機能、顔認識などができるロボットだ。起動したばかりの状態ではPalmiは話す言葉も少なく、動作もぎこちないのだが、ユーザーとの対話によって成長する。最初は二足歩行もできないが、人とコミュニケーションことで、さまざまなことができるようになる。単なるおもちゃの域を越えた本格的なロボットでありながら、家庭内のIoTとして一つの形を提示している。

米国と韓国に拠点を置く企業AKA LLCが発売する、英語学習ロボット。AKAが開発した学習エンジン「Muse」を通して言語情報と画像情報を収集しながら、対話自体を学習していく。家庭内のIoTコントローラーとしても利用が想定されており、利用範囲は英語教育にとどまらない
「Musio」は英語の語学学習用に作られたロボットだが、内部にディープラーニングの機構を盛り込んだということで世界的にも話題となった。語学学習というと、ロボットが問題を出して、人が答えるという単純なものを思い浮かべるかもしれないが、Musioの場合は回答者の発音もネイティブスピーカーのそれと比較することで、正しい発音が身に付くような仕組みになっている。英語表現のパターンを学習サンプルとして用いていることから、発話者が間違った英語を話した場合には、Musioが正しい英語に言い直してくれるのだ。