WD Online

Bay Area Startup News Web Designing 2016年1月号

人工知能はWebデザインの領域まで! 画像やテキストを判別して自動でサイトをつくる「The Grid」

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

最近では人工知能に関するニュースが毎日のように伝えられますが、サンフランシスコでは、その最先端のテクノロジーをサイト制作に活用したサービスを提供するスタートアップが話題になっています。

Googleアドセンスのプロダクト部長を務めたBrian Axe氏らが開発する「The Grid」は、ユーザーが管理画面から文字や写真をアップし、カラースキームを決めるだけで、それらのスペックに最適なサイトを“人工知能”で生成する仕組み。アップロードした写真は、システムが最適なサイズで切り抜き、ユーザーが指定したカラースキームにあわせ、テキストのフォントも選定し、デザインを生成してくれるのです。もちろんPCやモバイル、タブレットといったマルチデバイスに対応したレイアウトの調整を自動的に行ってくれます。

The Gridのシステムが提供するのは、サイトのデザインだけではありません。コンテンツ自体も、そのサイトのテーマにあったコンテンツも他のサイトやソーシャルメディアから自動的にピックアップし、サイトに掲載します。これは、概念的にはRSSフィードの自動表示に近いですが、The Gridの場合は、その内容自体もサイトの属性にあわせて分析・選定し、掲載します。

そしてもっとも興味深いのは、いったん生成したサイトを公開した後も、そのサイトにアクセスしたユーザーの動きを分析し、コンバージョン率を上げるために定期的に自動更新する機能があることです。もしこれが実現されれば、現在多くの企業が人力でA/Bテストなどのグロースハック施策を通して行っているサイト改善や最適化を、24時間体制でシステムが行ってくれるのです。コンバージョンの設定も、ソーシャルメディアへのシェア率、問い合わせ率、ECの場合は購入率など、実際のビジネスの結果に繋がる内容です。

とはいえ、実はこのサービス、現在はプレオーダー、クローズドベータ状態です。約1年前にプレローンチキャンペーンとして年間96ドルでユーザーからの事前申し込みを開始しました。すると現在までに6万3,000人以上のユーザーからオーダーを獲得。単純計算でも7億円ほどの資金を獲得しています。ですが、実際のサービスは数百人程度のユーザーに対してしか提供していないため、そのサービスの全容、詳細は明らかにされていません。

もし、このサービスが実現するのであれば、Web制作、マーケティング業界が根本からひっくり返される可能性もあります。最適なサイトの制作・更新・改善を常にシステムが自動的に行うと、Web制作会社の仕事内容のほとんどがテクノロジーによって取って代わられるかもしれず、ひいては人間の仕事が機械に奪われてしまう実例が生まれるかもしれません。

 

2eeb8eec43f2e7dce08172d094d0debd.jpg
 
1c68521289a7a57fbbf716a6b4c65a3c.jpg
人工知能で自動的にWebサイトをつくるサービス「The Grid」は、たとえば写真の人が笑っているなどを判定し、それにあわせたフォントや色を使ったり、コントラストの浅い部分を見つけてそこにテキストを置けるか検討したり、写真全体の色調からカラーパレットを決めたりもします The Grid
0dbe44f02d94f68ac026ff0cabd70bb7.jpg
Text:ブランドン・片山・ヒル
米国サンフランシスコに本社のある日・米市場向けブランディング/マーケティング会社Btrax社CEO。主要クライアントは、カルビー、TOTO、JETRO、伊藤忠商事、Expedia、TripAdvisor等。2010年よりほぼ毎週日本から米国進出を希望する企業からの相談を受け、地元投資関係者やメディアとのやりとりも頻繁。サンフランシスコ、シリコンバレーを中心に、スタートアップの魅力をデザイン、ビジネス、テクノロジー面から解説します。 http://btrax.com/jp/

掲載号

Web Designing 2016年1月号

Web Designing 2016年1月号

2015年12月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

グロースハック/「キーワードツール」活用講座

サンプルデータはこちらから

■ 特集:今日から始める“成長戦略”グロースハック
 世界の急成長サービスが特集 実践するデジタル時代のマーケティング手法

近年、「グロースハック」という言葉を耳にすることが増えてきました。しかし、その本当の中身を正しく理解している人はあまりいないようです。チップス? テクニック? スタートアップ企業向けの秘密のノウハウ? いえ、そうではないんです。グロースハックとは、これからのデジタル時代に必須の「マーケティングの考え方」のことなのです。今回はさまざざな角度からグロースハックの考え方を紹介していきます。

■ 集中企画:ネットビジネスを有利にするための「キーワードツール」活用講座
 SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる

「キーワードツール」は、インターネットにおける検索行動量を手早く調査できるツールです。つまり、あるキーワードが「どれくらいのユーザーにリーチするのか」を事前に推定できます。ここでは、ツールの概要とともに、その活用術について解説します。

■ WD SELECTION
 WDが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
GREEN NAME/LIFE IS A GIFT/ORCHESTRE DE PARIS/KAI FACT magazine/Deja vu/くばら あごだしチャレンジ/キリンメッツ スター・ウォーズ/google STARWARS/LACOSTE-F/W OUTWEAR/Christmas Express/めぐみ野 スペシャルコンテンツ「トマトになった男の子」/Japan Sumo Cup/沖縄戦 全記録|NHKオンライン/Typetone

■ ビジネス・EC
 □ ECサイト業界研究
 カンバセーションコマース:Facebook を利用した会話によるEC

 □ 月刊店舗設計
 ULYSSES:適切な場所での情報発信がビジネスの可能性を広げる

 □ モバイルビジネス最前線
 MYALO:禅×脳科学によるストレスコントロール「マインドフルネス」をアプリで学ぶ

 □ 知的財産権にまつわるエトセトラ
 作者以外にも著作権は認められる

 □ Bay Area Startup News
 画像やテキストを判別して自動でサイトをつくる「The Grid」

■ マーケティング・プロモーション
 □ サイト改善基礎講座
 ユーザーインタビューで有効なコンテンツを見定める

 □ ハギハラ総研
 日本人の半分はまだECを利用していない

 □ デジタルプロモーションの舞台裏
 ビジネス展開を見越し運用体制の強化を図った“マーケティングツール”サイト

 □ 行動デザイン塾
 ブームは「なじみの行動」が火付け役に

 □ 課題解決のためのUI実装講座
 カテゴリーが多いスマホサイトで役立つ「スワイプ対応タブメニュー」

 □ 解析ツールの読み方・活かし方
 買収したサイトを最小限のコストでリノベーションする

■ クリエイティブ・コラム
 □ ナビゲーターが選ぶ注目のデジタルコンテンツ
 [バズ施策]誰のためにつくるのか?: John Lewis Christmas Advert 2015 眞鍋海里
 [デジタルプロモーション]「ノーデジタル」の拡散:The Gun Shop 築地 Roy 良
 [Webサービス]上質な表現の「場」:Medium 仲暁子
 [IoT]なんとなくの心地よさ:kizuki. 神谷憲司

 □ モノを生むカイシャ
 1→10drive:「体験」をデザインするプロ集団

 □ 清水幹太の「Question the World」
 Julia Kaganskiy:美人マッドサイエンティストによる、やばい実験計画

 □ ツクルヒト
 榊原澄人:「フレーム」を超えて動き出す世界

 □ 最果タヒの「詩句ハック」
 第19回 あみだく詩゛

 □ デザインにできることMonologue
 Vol.143 パブリッシュ

 □ エキソニモのドーン・オブ・ザ・ボット
 コンピュータに「嗅覚」を与えるチップがインターネットのニオイ体験を可能に!?

■ インフォメーション
 □ Topics
 突破クリエイティブアワード2015/ココノヱPresents らくがきミュージアム/第19回 文化庁メディア芸術祭/BB-8 by Sphero

 □ Movement&News
 水族館+動物園+美術館?!「NIFREL(ニフレル)」オープン!/「スター・ウォーズ」のキャラクターや乗り物を使った作品を発表するフランス人写真家の日本初個展/数万枚もの写真をコラージュして1枚の地図をつくりあげる西野壮平 ほか
 [アドテック東京 2015]属性から個人へ。エンゲージメントを高めるトレンド/[Adobe Falsh Professional]時代とユーザーの潮流にあわせ「Animate CC」として新生/Twitter Japan担当者が語るTwitter広告成功のために必要なこと ほか

編集部からのおすすめ記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています