2015.09.12
1度の買い物で2人から愛されるために。「パジャマ屋」の360度高品質戦略●特集「EC再強化」 [INTERVIEW 02]圧倒的な安売り市場に品質で挑む
大手業者による安売り商品が市場を圧倒的に占める「パジャマ」。厳しい市場で生き残るために彼らが選んだのは、すべての面において品質を重視する戦略だった。
ものづくりを真面目に手掛けてきたメーカーだからこそのパジャマ
熊坂雅之さんはかつて、パジャマを仕立てる小さなメーカーを経営していた。
「父から引き継いだ、絵に描いたような下請け企業です。人件費や資材の高騰の波にさらされて、ご多分に漏れず、経営は厳しくなっていきました。1990年代に入ってからは価格を下げるのも限界に来ていましたね」
ECサイト「パジャマ屋」をスタートさせたのは2001年。早期のスタートだ。
「先見の明なんてとんでもない。食うためにどうしたらいいのかを考えていたら辿り着いたのがECだったというだけなんですよ。売上ですか? 開店1カ月目はわずか3万5,000円でした(苦笑)。でも、何のノウハウもないし、そもそも商品が二つしかなかったので仕方ないと思いました。下請けでしたから、オリジナルの商品がそれしかなかったんです」
光が見えたわけではなかった。しかし雅之さんには確信があった。
「安さだけを求めているお客さまばかりではないはず。既存のパジャマの常識を超えるような快適なパジャマを作れば、高くてもきっと受け入れてくださる。他メーカーが安さを競う中、我々はとにかく、よい製品を作ることに徹しよう」
苦戦しつつも、1年半後には徐々に売り上げも上昇。「手応えを感じはじめていた」という雅之さんは、父から引き継いだメーカーを整理し、新たにEC専門の会社を起ち上げる。オリジナルの製品開発に、本格的に乗り出したのはこの時からだ。