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新刊案内「羽生のミラクル終盤術」~羽生先生によるロジカル終盤講座~

2014.11.17 | 米澤孝至

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おとなになるまで、「大きな会社には必ず庶務二課がある」と信じていました。

まだ見つかりません。
編集部の米澤です。
 
圧倒的終盤力を誇る羽生善治名人。
先日ブログでちらっとお話しましたが、羽生先生が「終盤の基本手筋と考え方」を徹底解説した1冊が、12月に発売されます。
 
カバーが形になりましたので公開します。ドン!
 
 
今にもわれわれに手取り足取り解説してくれそうな表情ですよね?

本書は、平成3年(!)に発売された「ミラクル終盤術」に加え、平成13年に発売された「羽生の新格言集105」の2冊を1冊に収録した、超オトクな文庫本です。
ちなみに羽生先生の四段昇段は昭和60年の12月。
合間には、「修学旅行でスキーを滑ってきた話」、「プロ野球が消化試合ばかりであまりテレビを見ていない話」など、今では聞けないような素朴な話もちらほら。
 
本書では終盤をパターン化し、覚えるべき手筋を一つ一つ詳しく解説しています。
初級者でも理解できる内容から始まりますが、いずれも終盤の急所といえる内容ばかり。
終盤の手筋を論理的に解説している書籍はなかなかありませんので、有段者の方も本書で終盤の必修手筋を確認されてはいかがでしょうか。
「ミラクル終盤術」なんですが、本当に「ロジカル」なんです。
読めば頭の中で漠然としている「終盤」が、すっきりくっきりするはずです。
 
まえがきには、
「プロの実戦の終盤の指し手だけでなく、内容も分かっていただきたいと思い、書いてみました」
とあります。
手筋を学び、最後はプロの指し手の裏側にある膨大な変化に、羽生先生の解説とともに飛び込むことになります。
「終盤が面白い!」と純粋に思える1冊です。
 
今日はその中から、難解な例題を一つご紹介します。
 
 
駒がいろいろぶつかっていてややこしいです。
本文には、「少し工夫しないと寄せ切ることはできません」という、羽生先生のお言葉があるのですが、この一工夫はかなり難しいです。
 
駄目な変化を二つほど紹介。
 
▲4三金△同金(E図)▲2三金(▲2三銀も駄目)△3一玉▲3二銀△4二玉
▲2三銀△同金▲同歩成△同玉▲4三金△4六馬


 
ぱっと見で見える攻め筋は、いずれも玉が捕まりません。
 
さて、どう寄せるのが正解か。
この記事の最後に解説を載せておきます。
ご確認ください。
 
書籍では11手示されていますが、最初の3手がすぐ見えた方はかなり強いと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
★正解
 
 
▲2三銀△同金▲4三金△4六馬
▲3二金打△1二玉▲2三歩成△同玉
▲1六桂(途中図)△6六角▲4四歩(第10図)
 
▲2三銀と捨てて、王手で取れる金をあえて取らず、▲4三金が絶妙の寄せ。
手順を見れば分かりますが、この手順だと上記の変化と違い、▲3二金打を利かすことができます。
そのおかげで、▲1六桂(途中図)が詰めろになるという仕掛けです。
最後△6六角は攻防の一手のようですが、詰めろではないので、▲4四歩で先手の勝ちです。
 
うーん、ここまで読みを掘り下げないといけないんですね…。