2018.01.17
テクノロジーの飛躍的な発展によって、今デザインが大きく変わろうとしている。アドビはそれを14世紀から始まったルネサンスのようだと表現し、デジタルクリエーションの次のステージへと私たちを誘う。
ルネサンスの再来
クリエイティブは今、大きな転換点を迎えている。2017年10月の「アドビマックス(Adobe MAX)」で、アドビシステムズのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、それを「21世紀におけるルネサンスの幕開け」と表現した。
ナラヤン氏がルネサンスという言葉を選んだのには、ハッキリとした理由がある。14世紀~16世紀のルネサンスでは、芸術だけでなく科学技術も大きな発展を遂げた。レオナルド・ダ・ヴィンチという天才がモナリザを描き、その傍らでヘリコプターのアイデアを発明した時代だ。ルネサンスは、芸術と科学が同時に発展したことで歴史に残る転換期となったが、ナラヤン氏の頭の中には、これと同様のイノベーションが起き始めているという思いがあるのだ。
では、現代において転換の契機となるものは、一体なんだろうか。それはコンピュータテクノロジーの飛躍的な進化であり、実用的なAIの登場にほかならない。テクノロジーとクリエイティブが互いに影響し合うことで、新たな時代が訪れようとしているのだ。
AIがもたらすレバレッジ
「テクノロジーとクリエイティブの間にあるハードルを下げたい」。これは壇上のナラヤン氏が語ったアドビシステムズ(以下アドビ)のスタンスだが、実際、このイベントで披露された最新のアドビCC(Adobe Creative Cloud)は、その言葉を明確に裏づけるものだ。
たとえばそれは、AIを使って画像を解析し、風景写真と3Dモデルを融合させる「ディメンションCC(Dimension CC)」という新しいツールであり、ユーザがアップロードした画像に何が写っているかをAIが判断し、同じ被写体の素材をピックアップしてくれる「アドビストック(Adobe Stock)」というストックフォトサービスだったりする。
アドビは自社のAIテクノロジーを「アドビセンセイ(Adobe Sensei)」と総称しているが、最新のアドビCCには、アドビセンセイの技術がふんだんに取り入れられている。しかも、ユーザは背後にあるテクノロジーのカラクリを意識することなく、望んだ結果に最短距離でたどり着くことができる。まさにアドビCCによってテクノロジーとクリエイティブとの垣根がどんどん取り払われ、クリエイターの表現力を増幅してくれるようになった。