野呂エイシロウの「ケチの美学」第82回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第82回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

逆張りで攻める

昨日も人と熱燗を堪能した。「面倒かな?」とも思ったのだが、男2人がお猪口を傾けると、話が盛り上がって仕事がいくつか決まった。

たとえ面倒だと思っても足を運ぶ。メールやチャットが全盛の時代に、焼き鳥とお猪口。昭和の時代から変わっていない。

昭和は、1989年1月まで続いたから、今から35年も前の話だ。ウィンドウズ95が出たのが、1995年。その頃がインターネットが流行し始めた頃だ。

最近、同業者の若手は空中戦を繰り広げている。「戦」という言葉を使うのが正しいかどうかは別問題として、オンライン上で戦っている。

マーケティングツールを使いこなし、さまざまなアプリを駆使してビジネスの速度を上げている。

そんな時代に、僕のような昭和世代の人間が同じ空中戦を挑むのでは無謀だ。別の戦い方を考えるしかない。

そこで「逆張り」である。昭和のように「地上戦」を繰り広げるのだ。お猪口やグラスを傾け、時にはカラオケのマイクを持ち、地べたをはって進んでいる。人に少しでも会うために、飛行機や新幹線を駆使して移動している。

オンライン上では若者に勝てない。だったらワイングラスにカラオケマイクで日本中を走り回るのだ。

直接会って交渉の連続。一緒に自撮りして、思い出の瞬間をiPhoneに納める。

デジタルの時代だからこそ、鮨を摘み、肉を焼く。

それが僕の戦略である。今年からはいろいろな会にも顔を出す。きっと何かが生まれるだろうと信じる。

人と同じことをやっていてもダメだ。逆張りである。

ケチだから成功する方法を毎日考えている。そこで生み出したのが逆張りだ。

メールの時代だから手紙も毎月200通以上書く。それも万年筆で、だ。

アナログで戦い続ける。鉄砲の時代に、弓矢で勝った武将はいくらでもいる。金もかかるし、体もしんどいが、今日も昭和戦法で前進だ。若者には負けないぞ。

 

 

話題の麻布台ヒルズのBalcony by 6thで地上戦。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。