【検索結果】"川口世文 "の一覧
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「それでどうなったの?」
JR桐生駅から、一ノ瀬舞衣の披露宴が行われるレストラン〈ラ・ストラーダ〉に向かうタクシーの後部座席で、花梨は一ノ瀬恵梨に向かって訊ねた。
「どうなったって、何が?」
恵梨はとぼけている。電車のなかでもずっと話があちこちに飛んでばかりだった。 -
週が明けると、正義は〈ほおずき幼稚園〉を監視することにした。園内を外から覗き込んでいるような輩(やから)がいたら、何とか捕まえたいと思っていた。こういうときには「犬」の存在が役に立つ。彼は愛犬のフラットコーテッド・レトリーバー、フレンディを散歩に連れ出した。
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十月中旬に訪れたときにはまだ秋も浅く、紅葉の一つも見つけられなかったのに、それから一ヶ月経つと、〈小石川植物園〉の園内全体が一足飛びに秋を越えて冬になっていた。
木々がすっかり葉を落としているのでやたらと見通しがいい。正門から入って本館に向かう坂道を上がってきた正義は、枯れたソメイヨシノの林を透かして、すぐに浜崎喜一の姿を見つけることができた。 -
翌日の日曜日、不動家に来客があった。シャッターを下ろした店の裏側で留守番をしていた花梨が応対に出ると、扉の外に立っていたのは一ノ瀬恵梨だった。
「エリー──どうして?」
「ごめんねぇ、お休みのところ──お兄さん、いる?」