2018.07.31
最適なインターンシップの実現方法 3年単位で実施してぐっと成果を引き寄せる!
「もっと自社を知ってほしい」「優秀な人材と出会いたい」という理由でインターンシップを検討する企業は少なくありません。多数の企業でインターンシップの企画を手がけている道場啓介さんに実りあるインターンシップのあり方について話をうかがいました。
なぜ「インターンシップ」?不評を買うとマイナス効果
「インターンシップ」とは、「就業体験」のことです。インターンシップを取り組むにあたって、何よりもまずやってほしいのは、「なぜインターンシップをやるのか?」を徹底して追求することです。インターンシップは、企業ブランディングにも関わります。現場を巻き込んだ全社的な取り組みにもなってきますし、中身の乏しいプログラムを実行すれば、学生の不評を買い、逆ブランディングにしかならないからです。
インターンシップを巡る現状を整理すると、3点の背景があります。1点目は、2019年度採用から経団連の倫理憲章が見直されて、1日のみの実施が可能になったことです。これまでは5日以上の就業体験が条件でしたが、だいぶ実施のハードルが下がったと言えます。実際、1Day型の実施が急増しています。
2点目は、経団連の倫理憲章における採用広報解禁が3月、選考解禁が6月と定着し、このスケジュールから逆算して、各企業が開催している点です。
3点目は、有効求人倍率の高止まりという状況。売り手市場の差別化要因として、本採用の母集団形成の一環として、とりあえず1Day型でもやっておこう、という企業も多々見受けられます。
特に、インターンシップに初めて取り組む、もしくは過去に取り組んでみたが失敗したという立場の人事担当者にとって、どうすれば本質的に実行ができるのでしょうか。母集団形成がしやすいという安易な理由ではなく、中長期的な経営戦略として実行するべきです。
そもそもを語れば、インターンシップは日本の新卒一括採用が存在しない欧米各国で主流となる取り組みです。日本型インターンシップは採用解禁までのつなぎ、母集団形成の一環として、本来的な意味とは異なった形で実施されているケースが少なくありません。特に1Day型の場合、企業説明会のような中身となってしまっているケースがあります。これでは、意識が高く、就業体験を期待する学生ほど裏切られた、となってしまいます。
まずはペルソナの明確化を「インターンありき」はNG
インターンシップに参加する学生のインサイトは、実施時期によるとはいえ、本採用を目的にした面接に臨む学生とはまったく違います。就業体験を通じた「学び」や「気づき」を得たくて参加しているのです。早期に母集団形成を図れるからと実施しても、中身の薄いインターンシップなら悪評しか残りません。
一方で、これからインターンシップにチャレンジしたい企業には、1Day型であれば取り組みやすいのも事実でしょう。きちんとコンテンツが用意できれば、企業説明会のようにはならず、有意義に学べる1Day型の実行は可能です。ここからは、特に1Day型でも成果を引き出せるインターンシップに向けて、考えるべきことをまとめていきます。
必須なのが、ペルソナの設定です。1Day型に限らず、インターンシップ全般に言える大前提の出発点です。冒頭での「なぜやるか」にも通じます。どのような学生に参加してほしいのか(本採用にもつながってほしいか)? 自社が取り巻く環境を整理しながら、具体的に求める人物像を明確化しましょう。失敗する要因の1つには、ペルソナを設定していないケースが見られます。何をしていいかが見えないので、結果、企業説明会のようにしかならないわけです。
次に、ペルソナが求める「学び」の中身を検討しましょう。さらに成果を引き寄せるために、自社ビジネスの現場で出てくるケースをモデルに設計すると、リアルな現場を疑似体験してもらいながら、自然と自社の理解にもつながるコンテンツとなるわけです。
実行にあたってのファシリテーターは、主に人事課が担うとして、現場に紐づくコンテンツを実行するなら、現場で関わる部署、部門の協力が欠かせません。その点では、インターンシップがイコールで全社的な取り組みであり、全社的な協力を取りつけておく必要もあります。
主だった留意点をまとめた01を参照しながら、1点でも引っかかることがあれば、無理して強行せず、立ち止まって計画を精査したほうがいいでしょう。