[UX1-3]ユーザー像をはっきりさせるペルソナをつくりあげる|WD ONLINE

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[UX1-3]ユーザー像をはっきりさせるペルソナをつくりあげる ターゲットとなるユーザーはどんな人?

ブログやオウンドメディアの記事を書く場合、誰しも「ユーザー(読者)にマッチしたものを」と考えるでしょう。しかし、そのユーザーのことをあなたは本当に知っているのでしょうか。ユーザーのことを考えて愛を注ぐには、まず、彼らのことを知らなければなりません。ここではその方法を紹介します。

ユーザーを知るとは、どういうことか

情報があふれかえり、さまざまな選択肢が用意されたこの時代に、ユーザーに選ばれ、愛される商品やサービスをつくりあげるためには、彼らのことをよく理解することが必要になります。単に年齢や性別、職業といった部分だけではなく、その行動様式から心の動きに至るまで、徹底して理解するよう努める必要があります。

それはブログ・オウンドメディアであっても同様です。ユーザー像を「30代サラリーマン男性」とか「20代後半の働く女性」といったように、漠然と設定しているケースがありますが、それでは彼らの行動様式も、心の動きも掴みとることはできません。では、どうすればユーザーを深く理解する事ができるのでしょうか。

そのためのアプローチの方法として、ここでは「ペルソナ法」を紹介したいと思います。本誌の読者であれば、少なくともその名称を耳にしたことはあるかと思いますが、ペルソナをプロダクト開発に役立つレベルで作成しているという方は、少ないように思います。そこで今回は、ブログ・オウンドメディアのユーザー像をペルソナ法を使って明らかにしていくプロセスを、グッドパッチの事例を参考にしながら追ってみたいと思います。

ペルソナとは代表的なユーザー像を可視化したもの

UXデザインでは、自分たちのサービスを利用するユーザーがどのように行動し、その背景にどんな心理が働いているのかという点を重視します。自分たちのブログ・オウンドメディアのユーザー(読者)が、本当に目の前にいると感じられるほどに突き詰めて設定するのです。それができれば、どんな記事を、どのように書けばいいのか、その基本的な視点を持つことができるようになります。

そのためには、上で紹介している「ペルソナシート」(02)を作成することがひとつの目標となります。たった1枚の紙ですが(1人のペルソナにつき、1枚作成します)、これをつくりあげるためには、手順を丁寧に踏んでいく必要があります。下の(01)に、その大まかな流れを記載しました。順を追ってみていくことにしましょう。

ペルソナシートを作成しながら人物像を組み立てる

ペルソナ作成のプロセスで、まず確認しておきたいのは、「どんなターゲットにアプローチをするか」という点です。これについては、ここまで紹介してきた、「サイトの目的」を確認するプロセスの中でおおよそのイメージできあがっているのではないかと思います。

グッドパッチの場合は、それ以前からブログに訪れてくれていた、「デザインやUXに対する専門性の高いユーザー」に加えて、新たに「将来的に同社の顧客になるであろう、広い層の人達(グッドバッチのツールに興味を持ってもらえそうな人を含む)に記事を届けることを考えたため、この新たな層の人たちがどんな人たちなのかを探るためにペルソナシートを作成しています。

 では、どんな点を検討していけばいいかというと、以下の4つの点からアプローチをしています。

(1)PROFILE どんな経歴の人物なのか
(2)BEHAVIOR どんな行動様式をとるか
(3)PAIN…どんな課題を抱えているか
(4)GOAL…どんな目的を持っているか

(1)と(2)ではターゲットと考えるユーザーの、典型的な人物像を考えます。まずはどんな会社に勤めているのかに始まり、会社内での役職やポジション、周囲の環境、さらにはどんな考え方を持っているのかを(1)に、その上でコミュニケーションの取り方や情報の収集方法、さらには仕事の仕方についてを(2)に書き込んでいきます。

(3)のPAIN(課題)や(4)のGOAL(目的)は、これからつくりあげようとしているブログ・オウンドメディアの目的と関係してくる内容です。何に対して、どう困っているのか、そしてどうなりたいと感じているのかをそれぞれ書き込んでいきます。

ペルソナに深みを加えるインタビュー

ペルソナ作成の最大の目的は先ほど述べたように、作成した人物が、目の前にいるかのように、さらには何を考えているのかを見通せるまで突き詰めて考えることにあります。そこまでして初めて記事作成に役立つものになるのです。単に、想像しながら書き込んでつくったペルソナシートでは、必要となるリアリティや深みが足りません。

そこでおすすめしたいのが、ターゲットユーザーに近しいであろう人たちに「インタビュー」という形で話を聞く方法です。実際に会ったからこそ聞くことのできる情報を、さらには彼らの心の奥底にある本心までも掴み取ろうというわけです。

インタビューなどというと、誰に聞けばいいのか、さらにはどう実践すればいいのかわからないという人も多いと思いますが、「誰に」という部分は、例えば知り合いのつてをたどっていくことで、対象ユーザーと近しい相手を見つけることができるでしょうし、対象ユーザーが集まりそうなイベントなどに参加して、話を聞いてみるというのも一つの手です。

「どう」インタビューをすればいいのかという点については、下図(03)にポイントを記しました。仕事などでどんな課題を抱えているのか、それをどう解決して、どうなりたいと思っているのかを探り出すことを主眼に、自由に語ってもらうというのが大事な点です。

 難しいのは、「インタビュー」という場を意識して、本音とは異なる発言をしてしまう人が多いことです。

「こんなこと言ったらかっこ悪いな」

「わがままに思われちゃうかも」

「誰かに迷惑をかけるかもしれない」

などなど、人はいろいろな配慮をしながら言葉を選ぶものです。ですから、答えにくい質問については、聞き方そのものを工夫してみたり、何度も尋ねてみたり、言葉の背後にある本音に注目したりといった工夫が必要になります。

 こうしたインタビューを重ねていくうちに、自分たちがターゲットとするユーザーの姿がより鮮明に、よりリアルになっていきます。

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掲載号

Web Designing 2018年6月号

Web Designing 2018年6月号

2018年4月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

Webビジネスの成功は【UX視点のコンテンツ】にある!

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近年、盛んに「UX」の重要性が叫ばれていますが、それはサイトのデザインだけの話ではありません。
Webに掲載し、ユーザーに読んでもらう・見てもらう「コンテンツ」こそ、Webビジネスの成否を握っていると言えます。

例えば自社の商品を「もっとも必要としている人」に、商品の魅力を十二分に理解してもらい、前向きな反応をしてもらうには、
サイトに載っている情報(キャッチコピーや説明文、ビジュアル、映像など)が刺さらなければ意味がありません。

その確度を上げるために有効なのが、「UX」視点です。
Web Designing 6月号では、より実践的に、UXの考え方を実際のWebビジネスに落とし込むための方法を網羅しました。
誌面を読んで、実際に手を動かしてみてください。

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「質問に答える」「付箋を貼る」「定型書式に書く」だけで、
自社に必要な「ユーザー視点のコンテンツ」が見えてくる!

◆答えるだけ!自社サイトに足りない“愛”診断
質問に答えて、どれだけターゲットになる読者のことを把握しているか、ユーザー目線で見られているか、現状を把握しましょう。


◆貼るだけ!付箋ではっきりさせる課題と方針
自社サイトをユーザーにとって何の役に立つものにしたいか、どんな情報を公開べきかが見えてきます!


●書くだけ!自動化できるテキストコンテンツ制作用フォーマット
定型の書式に書いていくだけで、文章が苦手な人でも効果が期待出来る文章が出来上がります!

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◆ユーザー調査・設定
コンテンツの成功は「ペルソナ」にある!伝えたい「読者像」を浮き彫りにする調査・考察方法

◆コンテンツ戦略設計とKGI/KPI設定
浮き彫りにした対象読者に、[何を][どのように]提供し、[どう感じてもらうか][どういった行動を取ってもらいたいか]の戦略の立て方

◆コンテンツ制作
届けたい相手の「行動変容」を促すユーザー目線(UX視点)の具体的テキスト・コピー・ビジュアルその他の作り方・限られたリソースを有効利用した制作体制の作り方


●これからはSEOに加えて、「SXO」が重要!
いかに検索で行き着いたユーザーの意図を捉えたコンテンツを作成し、検索体験を満足いくものにできるかどうかが今後のWebビジネスには必須になります。そのためには、UX視点での分析・施策が欠かせません。

■コンテンツの見せ方
せっかくのコンテンツ、一生懸命会心の作を作っても、見てもらわなければ意味がありません。コンテンツの「見せ方」も、ユーザー目線を持って考えなければ、「見えてるのに認識されない」「結局記憶に残らない」ということが往々にして起こり得るのです。では、発信するコンテンツを効率的に効果的に見せるにはどんなことを考えればいいのでしょうか。


<こんな方にオススメです>
■中小企業のWeb担当者
 ・自社メディアにかける予算なし
 ・本業の片手間でやらざるをえない
 ・プロジェクトチームを組める余裕はない

■引き継いだ、やる気だけはある未経験の担当者
 ・何書いていいかわからない

■自社メディアを始めてはいるが、停滞期に入っている
 ・PVが下がりもしないけど伸びもせず、サイトが役割を果たしているかわからない

■UXをまずは何から始めていいのかわからない
■UXってデザインだけじゃないの?
■そもそもUXってなにがよくなるの?
■部署を横断して取り組むべきなのはなんとなくわかっているが、説得する自信がない
■理論だけではなく、現場で実践していることが知りたい