2018.03.08
「動画」の効果測定のイロハ 迷わず「再生回数」に立ち返れ
動画だけに限らず、効果測定でさまざまに並ぶ指標の数々は、解析に慣れない企業Web担当者、個人事業主を苦しめる。どれを見て、どう評価するといいのか? 最低限押さえておくべき指標を知っていれば、間違いない!
いかに見られているか?「再生回数」が示す明確さ
これから動画マーケティングに取り組もうと考える側にとって、何からどのように手をつけるべきか、用意した動画をどのように評価したらいいのか、迷いどころが多いことだろう。動画初心者が気を使うべき指標とは、何なのか?
動画マーケティングを中心に、規模の大小を問わず手がけるグッドエレファントに尋ねると、真っ先に「再生回数」を挙げた。「再生回数」とだけ聞けば、あまりに単純な指標で肩透かしを食った思いの読者がいることだろう。
「長年、動画マーケティングに取り組んできて、巡り巡った見解が“再生回数こそが何よりの原点”だということ。これほど明確でわかりやすい指標が他にないからです」(村岡雄史さん、以下同)
再生回数自体は、管理画面を見るまでもなく、誰もが目にできる指標だ。わかりやすい指標だからこそ、安易に一喜一憂していいのか、とも思ってしまう。
「動画は主に投稿か広告かで分けられますが、両者に共通しているのは見られてナンボ。ましてや広告展開で利用するなら、なるべく短い動画ですよね、広告なんて長々と見てくれないですから。数秒でも視認できる、目につくことこそ重視すべきなのです」
だからこそ、シンプルに「再生回数」を重視する姿勢を確立しよう。
FacebookページとFacebook広告、どちらにするか?
ここでは具体的なシチュエーションで考えてみよう。例えば、Facebook(Fb)ページへの動画投稿から始めたとして、重視すべき指標は何だろうか。「再生回数」以外だと、具体的にユーザーがアクションしたことが伝わる指標を気にするべきだと村岡さんは語る。例えば「いいね!」や「シェア」、「コメント」の数だ。
「Fbページの管理画面では、ユーザーのアクションにまつわる指標“エンゲージメント率”を用意していますが、慣れないうちはわかったようでわからない指標です。再生回数のほかは、いいね!などの数値ならピンときやすい、ユーザーにリーチしていれば伸びてくる指標です。これらの数字も含めて、見られている度合いを確認すればいいでしょう」
また、Fbページの管理画面では、リーチやクリック数について確認できるページ(メニュー)がある。動画の本数がそれなりに増えてきた場合は、一覧で確認できるので便利だろう。
ただし、動画をやり始めた時期はほとんどのケースで、初速の伸び悩み(再生回数が伸びない)に直面するはず。初速を伸ばしたい場合に、Fb広告という選択肢が出てくるが、採用するかどうかは目的次第だとも村岡さんは語る。
「動画を使ってのマーケティングは、なかなか短期間で一定の成果をつかむのは難しいです。中長期的に見据えて進めるべきですが、あまりにスタートが低調である時、初速をつかむのにFb広告を利用する手はあります。広告経由でいいね!を集めたり、見せたい動画に触れる機会を増やすことはできるので、後はやる以上、少しずつでも継続的に行いましょう。月額5万円などと決めて単発ではなく毎月続けてやることが肝要です。一時的な突貫工事のような対策は効果が持続せず、投じた予算が無駄になりかねないからです」
少額の予算でも、継続して知見を貯めるビジョンを持っておきたいところだ。
動画の「完全視聴率」には気を取られないほうがいい
動画を運用していると、完全視聴率や視聴完了率という指標を目にすることとなる。動画を視聴したユーザーが、対象動画をすべて見た人の割合を示す指標のことだ。他にも「再生50%」(再生時間の半分を視聴)なら何人、というデータが取得できるので、動画のあるページのインプレッション数(もしくはセッション数)に対して、再生回数で割り出せば、訪問者がどれほどの割合で動画を再生したのかも数値化できる。
動画の質を高めるなど、より粒度の高い、きめ細かな対応を志向する場合、完全視聴率にまつわる指標は着目しておきたいが、「これから動画を始める」という人たちには、いたずらに気にする必要がない、と村岡さんは説く。
「動画初心者という人たちが、完全視聴率という指標に捉われ過ぎるのは非効率です。そもそもこの指標は、投稿動画の長さにも左右されます」
スモールビジネスも含めた動画マーケティングを実践してきたからこそ得た見解だという。動画「広告」を例にするとわかりやすい。本来は見たくない(見る気がない)動画を見てもらうためには、短尺(短い秒数で完結する動画)での展開が無難。そうした15秒の短尺動画をどれほどの秒数まで見たか、と細かく解析するメリットはあるだろうか?
「15秒は極端な例ですが、再生回数が伸びていないが完全視聴率が高い動画があったら、それは評価すべきかというと疑問が残ります。リーチできていないにも関わらず、見てくれた人の満足度の高さ(完全視聴率)でつい評価してしまう危険性には注意したいところです」
特に集客目的、認知拡大を目指す場合、スクロール中の最初の数秒で印象に残る動画なら、完全視聴率が高くなくても再生回数が高ければ、評価するべきだろう。完全視聴率に捉われ過ぎるくらいなら、継続的な動画投稿をきちんと守ることに注力していきたい。