2018.01.09
[UXプロセス STEP3]02 そのビジネス、本当に成立していますか? 誰にも必要とされない物を作らないためにすべきこと
人間は、なかなか自身のやることを客観的には見られないものです。いま作ろうとしている物はユーザーにも企業にも良い体験をもたらすものなのでしょうか。そのビジネス可能性をきちんと検証しておきましょう。
ユーザーと企業どちらを優先すべきか
どんな企業でも、「これはユーザーに喜んでもらえるだろう(その結果利益も出る)」と思って製品やサービスをリリースしてきたはずです。しかし、実際に継続的に利用されるようになるのは、そのうちほんの1割だと言われています。アメリカの調査会社CB Insightsが2017年9月に発表したスタートアップの失敗原因では、42%を占める1位が「市場にニーズのないものを作ってしまったから」というものでした。そうならないためにも、ここまでに特定したユーザー課題と企業課題の双方を満たす落としどころを見つけていきます。
ただ、場合によっては両方を共存させることが難しい課題が出てくることもあるでしょう。そのとき、どちらを優先すべきかはケースバイケースです。たとえば、企業の課題解決にはアプリの一番上に大きくバナーを出したいけれど、それだとユーザーは使いにくいという場合だとしたら、ジャマなバナーはブランド毀損になり中長期的には不利益と考え、ユーザー体験価値を向上させる方を選択するというように判断してきます。
リーンキャンバスに必要項目を書き出してみる
自分たちがつくろうとしているものがユーザーと企業双方の視点からビジネス的に成り立つのか否かをチェックするためには、「リーンキャンバス」という手法が有効です。これは「ユーザーの持つ問題点と既存の代替手段」「企業が提供する解決策」「ユーザーの評価を知るための主要指標」「事業における独自の価値提案とわかりやすいコンセプト」「事業の圧倒的な優位性」「事業の伝達経路/情報が流れる道筋」「ターゲットにする顧客とアーリーアダプター」「事業のコスト構造」「収入の流れ」という9つの項目を書き出していくというものです。埋められない項目があれば課題特定が十分ではないと言えますし、辻褄の合わない項目があれば事業として成立していないと言えます。