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中小企業がWatsonでマーケティングする方法 人間の知能を「拡張」する IBMのビジョン

今やAIの代名詞的存在といえる日本アイ・ビー・エム株式会社のワトソン。実際にはどんな活用方法があって、いくらから使えるのだろうか? ワトソンを始めるための第一歩を伺った。
Photo:黒田彰

日本アイ・ビー・エム株式会社
ワトソン事業部 事業企画推進部長
林克郎 Katsuro Hayashi

ワトソンはほぼすべての業務・業種に対応できる

IBMのワトソン(Watson)がボブ・ディランや渡辺謙、Pepperらと対話するコマーシャルを見て、“近未来”を感じた人も多いのではないだろうか。一方で、実際にワトソンがどのような仕組みになっていて、ビジネスの現場でどのように活用できるのかを理解している人は多くないだろう。

まず、一番多い誤解のひとつが、IBMのAI=ワトソンという認識。しかし、ワトソンはIBMが提供するコグニティブシステムのブランド名の1つであり、他にもさまざまなAI技術があるということを覚えておきたい。IBMのワトソン事業部 事業企画推進部長の林克郎氏は言う。

「ワトソンは発表当初、AIという言葉を使わずにコグニティブ・コンピューティングという言葉を使っていました。現在ではAIという言葉が広まったことで、『Artificial Intelligence(人工知能)』ではなく『Augmented Intelligence(知能を拡張するもの)』と定義して使っています。つまり、人、特にプロフェッショナルの方々を支援するツールという位置づけです」

ワトソンには音声認識や画像認識など、さまざまな技術やサービスが含まれているが、そのなかの特にコアな技術が自然言語、つまり人の話し言葉を理解して回答するQ&Aだ。

その仕組みを簡単に説明すると、まずワトソンに知識となるデータを覚えさせて、次にそれらのデータに「アノテーション」と呼ばれるタグ付けを行う。すると、質問に対して必要なデータをとってきて回答し、もし間違えていた場合には指摘することで、ワトソンがそれを学習していく。さらに、ワトソンの大きな特徴のひとつに、「確信度」がある。これは「ワトソンの自信」を表示するもので、ワトソンに質問を投げかけると、確信度の高い答えを5つ表示するといった具合に使われている。いずれにせよ大事なのは、ワトソンにどんなデータを覚えさせるかということだ。

「私たちはデータを3層のピラミッドに分けて考えています。一番底にあるのがパブリックデータで、誰もがアクセスできる情報。その上にあるのが医療や金融など、業界・業種が持っている情報、そして一番上にあるのが、各企業が固有で持っているデータ。そのなかでも特にIBMは業界固有のデータに強みを持っているので、現在は業界に特化した使い方をワトソンで提案していますが、実際にはワトソンはほとんどすべての業界で、営業や人事、総務など、ほぼあらゆる業務に適用することができます」

みずほ銀行の使用例

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掲載号

Web Designing 2017年6月号

Web Designing 2017年6月号

2017年4月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

6月号のテーマは「AI」です。「え!?」と思った人、ぜひ本書ですでに直面している現実をご覧ください。

現在、ビジネスのキーワードとして飛び交っている「AI(人工知能)」。人間の脳の代わりとなり、さまざまな仕事をAIが賄ってくれる未来像がネット上でも飛び交っています。「人間の仕事を奪うのではないか」「人間を支配するのではないか」そういって煽るメディアも多々ありますが、果たして現在のAIとは、本当にそんなSFのような話なのでしょうか?
答えは「今はNO」です。
むしろ、AIはインターネット、そしてSNSといったものと同じ、現在のマーケティングを加速させる「新しいマーケティングツール」なのです。

一方、AIの導入は巨額の開発費を投資できる大手企業の話であり、自分たちのような中小規模の企業には関係ないと思っていませんか?
答えは「NO」です。
むしろ、時代の流れに少なからず影響を受ける中小企業こそ、大手との仕事のため、企業成長のため、正しい理解と認識が必要です。

AIは今すぐに、多額の投資をしなくとも活用できる状況がすでに作られています。
人工知能によってマーケティングにおけるあらゆるコミュニケーションが変わっていく可能性があり、そんな時代はもうすぐそこまで来ています。仕事の効率化、人件費削減など中小企業が抱える長年の課題に対する解決の道筋をつけてくれる可能性が大いに有り得ます。
御社の競合がAIを使った施策を行っている、そう聞いてからでは遅いのです。
本特集では、今、現場で活用できるAI技術を使ったWebマーケティングの方法と、それによるリソース面、予算面のメリットまで追求します。

第1部 【中小企業Web担こそ!】いますぐAIを検討すべき理由
●いますぐ使えるAIの基礎理解
●図解・AIがマーケティングで注目される理由
●AIの仕組み~要するに、何をしてるの?~
●AIをビジネスツールとして活かすには

第2部 AIを現場の即戦力にするメリット
●AI搭載型botでオペレーションコスト低減へ!スモールスタート可能なチャットボット活用法
●AIの機能は「分析」ではなく「分類」だ!AIの導き出す「答えの見方」
●実録・AIでFAQを作る
●こんな身近にある!AIツール

など