サンフランシスコの会社訪問!【Udemy】|WD ONLINE

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Bay Area Startup News Web Designing 2017年2月号

サンフランシスコの会社訪問!【Udemy】 これからの仕事に必要なスキルを学ぶ オンライン学習プラットフォーム

海外で起こっている、あるいは起こりつつある新しいビジネスの潮流、近い将来に日本にやってくるであろうビジネストレンドなどを紹介・考察します。米国サンフランシスコ在住の筆者が、サンフランシスコおよびシリコンバレーの「ベイエリア」を中心に、イケてるスタートアップを中心とした会社、サービスを毎月1つ取り上げながら、その背景や目的、今後日本で起こりうるトレンドについて追究します。

プロを養うオンライン学習

マッキンゼー社のリサーチによると、2009年から2012年までの間で仕事に必要とされるスキルの数が5倍に増えたとされています。しかし、時代の急激な変化に対応するためにスキルを身につけることは容易ではありません。そんな現代において、オンラインでの実践的スキルの育成に重きを置いているのが「Udemy(ユーデミー)」。就職や転職のため即戦力としての力が欲しいというユーザーの思いから、米国ベイエリア発の教育系プラットフォームの最大手となっています。

今回は米国サンフランシスコのUdemy本社にて、アジア展開担当として活躍する松方肇さんに同社のプラットフォームに関してのお話をいただきました。

Udemyのコンセプト

---まず、「Udemy」のサービス内容を教えてください。

Udemyとはオンライン教育プラットフォームで、「プロフェッショナルスキル」を身につけたい方への講座を提供しています。現在の受講生の数は1,300万以上で、2万人以上の講師が4万以上のコースを提供しています。現在世界190カ国以上でサービスを展開しており、売上の約半分ほどが米国外からのものとなっています。価格も1講座2,000円程度から2万円ほどとなっています。

---主にどんな方が受講されているのでしょうか?

ターゲティングはシンプルで「仕事のスキルアップを図りたい」人が多く、メインターゲットは転職などを考えるようになる30~40歳代が多く、国としては売上の50%が米国となっています。なぜならUdemyは授業の軸を「プロフェッショナル・スキル・デブロップメント」としており、レッスンはこれに沿ったものが提供されているからです。なので実践的なレッスン(プログラミング・デザイン・マーケティングなど)が非常に多くなっています。

Udemyのサービス

---他のオンライン教育サービスとの違いは?

Udemy自体ではコースの作成を行わず、あくまでプラットフォームとして講師と生徒をつなぐ役割を行なっているというところは特徴の1つでしょう。コースの検索画面内ではユーザーの口コミ・レビュー順に上から並べられるために、バイアスのかからないおすすめコースを使用できるという点が好まれています。日本ではまだオンライン教育は主流となっておらず、まだまだ発展途上ですが、IT教育が非常に進んでいる地域ではこれからの可能性が非常に高く、さらにユーザー数を増やしていくでしょう。

---実際にキャリアップを果たした人はどんな人がいますか?

Udemyの売りの一つがそのスピードです。例えば最新のiOSが発表になる前からβ版を利用したコースがいくつかアップされていたこともあり、正規盤がリリースされる頃には新しいOSを前提としたアプリ開発に関する数多くのコースがアップされていました。実例としては、まったくWeb関連に知識のない文系学生がUdemyのクラスを取って2週間でアプリ開発ができるようになり、そこで開発したものを企業に持って行って内定をもらったというようなケースがあります。

他には外資系の会社に勤めている方で、英語のプレゼンテーション・資料づくりの方法を学ぶ授業をとり、そこからさらに転職してキャリアアップを図られるという方もいます。

Udemyの講師

---クオリティの高い講座や優秀な講師をどうやって確保しているのでしょう?

講師の質を高く保つというのは教育業界にとって非常に大きな問題です。そこでUdemyが行っているのは、講師を友達の紹介で増やしていくという手法です。紹介で入ってくると、その関連の分野に精通していることが多く、かつ信頼性が高いです。加えて、紹介者の人と話をしているおかげでUdemyのカルチャーもある程度理解しています。このようにしてネットからだけではなく直にネットワークを広げることで講師の質を保つようにしています。

---Udemyでは講師に気軽に質問ができるというところも大きなポイントですね。

現在Udemyは「オンラインながら講師との交流が可能」という点が魅力の一つとなっていますが、人気講師は質問対応など個人でしていたら追いつけません。しかし、そこまで忙しくなるほどの人気講師とは、Udemyの講師としてだけで生活に困らない程度稼げるようになります。なのでそういった方々は質問対応のためのアルバイトなどを雇って対応を行うようになっています。これは生徒数が1,300万人まで増えたから可能になったことです。

2011年にサービス開始したUdemyは、大学教授など「教育のプロ」が講師を務めるのではなく、「専門知識を持つ一般人」がそのノウハウを提供する“教育のC to Cのモデル”を展開しています。日本には2015年に本格参入し、ベネッセホールディングスがパートナーとしてサポートを担っています
Udemyは社会人向けビジネス限定のサービスというわけでなく、個人向けの教養分野も用意しています。現在の講座数ははプロフェッショナルスキル養成コースが70%、教養コースが30%の割合になっています
受講者は講座をキーワード検索か細分化されたカテゴリから探し、受けたい授業に登録します。Webサイトだけでなくアプリも用意されており、デバイスを選ばず利用することができます
講師はまず無料の講師登録をして、Udemyオリジナルのツールを使いカリキュラムを考え、コースをつくります。審査を通ればコースが公開されるようになります

掲載号

Web Designing 2017年2月号

Web Designing 2017年2月号

2016年12月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

Web動画マーケティングの[最新]勝ちパターン

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

2月号の特集テーマは「Web動画マーケティング」です。

「いまは動画の時代である」と言われはじめてはや数年。インターネットで見られるコンテンツのうち、動画の割合が増えてきたことは言うまでもありません。SNSはもとより、コーポレートサイトなど、目にする機会が多くなった動画は、すでにマーケティングのツールのひとつとして考えるのが当たり前になっています。とはいうものの、いまのビジネスに動画がどんなメリットを与えてくれるの? という方も多いのでは。そんな方のためにも本特集では、利益を伸ばすためのポイント、トラフィックを増やす方法、SNSやYouTubeとの連携など、ビジネスに動画を活用するための知識や方法を、費用対効果に沿った形で解説します。大手企業のマネをするのではなく、自社のビジネスにあった動画の活用方法をお伝えします。


第1部「ここだけはおさえたい! 動画マーケティングの基礎知識」

_実録「マーケティグ動画のできるまで」
実際に中小企業が動画マーケティングのプロに仕事を依頼した一つの案件について、ヒアリングから動画制作、納品、その後の分析/解析まで時系列で紹介。
動画施策の一連の流れを疑似体験してみましょう。

_やさしく解説する「動画マーケティング」
動画マーケティングについて、その考え方、ポイント、留意点などさまざまな点から、動画とマーケティングの関係についてわかりやすく解説します。

_“動画マーケティング”その背景を考える
なぜいまマーケティングに動画が利用されるのでしょうか。写真ではなく、動画であることの理由はたくさんありますが、スマートフォンの普及、それに応じた縦型動画の利用などなど、いま動画がマーケティングとして利用される背景について考えます。

_マーケティング視点で考える動画
動画をマーケティングに利用するということは、単に写真を動画に入れ替えるということではありません。動画にすることの目的は、あくまでも自社の課題を解決するためです。
課題を見つけ、それに応じたKPIを立て、PDCAを回していくという基本的な考え方が必要であることを改めて考えます。

_Facebook、Twitter、Instagram…SNSで展開する動画について
SNSで動画はどのように扱われ、いかにマーケティングに利用できるのでしょうか。各SNSがプラットフォームとして用意する動画との親和性はもとより、利用する側が知っておきたいさまざまな知識について解説します。

_Youtubeで公開する動画について
SNS同様、動画プラットフォームとして確立しているYouTube。広告としてだけでなく実際に動画を配信することで得られるメリット、マーケティングとして利用するための方法についてなど、あらかじめ知っておくべき基礎知識をまとめます。

_動画の効果を測定する方法、その考え方
動画を利用したマーケティングでは、動画つくって終わりではありません。公開した動画がどのように見られているのか、アプローチしたい層に届いているのかなど、その効果を測定しながらさらなる改善が必要になってきます。そのための効果測定について、解説します。


第2部「事例集」
_5つの事例から学ぶ、動画マーケティングの現場からの視点

コラム
_費用対効果で考える自社の動画制作(予算と規模感の相関)
_中小企業が実践すべき動画マーケティング10か条