費用対効果の高いFacebook広告の運用方法|WD ONLINE

WD Online

プロモーションの舞台裏 Web Designing 2017年2月号

費用対効果の高いFacebook広告の運用方法

Facebook広告は、スモールビジネスからトライしやすい。だからこそ、これから始めたいという人ほど、何を拠り所に始めていいのかわからないのではないだろうか? 今回は、Facebook広告の成功例を参考に、広告予算の立て方について探っていく。

ここで取りあげている施策の共通クレジット
フリーダムアーキテクツデザイン
□広告主:フリーダムアーキテクツデザイン(株)
□企画/制作:(株)ギブリー

 

Fb広告で獲得単価約70%減を実現

Facebook広告(以下Fb広告)を始めるきっかけといえば、少額からのスタートが可能。これまでリーチしてこなかった層へのアプローチが可能なことなどが挙げられる。フリーダムアーキテクツデザイン(以下FAD社)がFb広告を始めた経緯も同様で、リスティング広告やSEOを中心に来場予約や資料請求を獲得してきたが、もっと数字を伸ばすための活路を探していたという。そこで、広告運用のパートナーであるギブリーがFb広告を提案。2013年からスタートし、見事に成果をあげた。

「先にLINE@を始めてCPA(顧客獲得単価)の改善に成功していたので、新たな可能性を模索しやすいタイミングでした。とはいえ当初は懐疑的でした。競合他社も取り組んでいない領域だったからです。だからこそ逆に、他社よりリードできるとご相談しました」(ギブリー・小谷田太河氏)

ギブリーはLINE@の正規代理店として有名だが、ネット広告全般の知見があり、小谷田氏自身がFb広告の運用経験を重ねてきた背景もあって、満を持しての取り組みが結果を生んだ。当時1万円近くだったリスティング広告のCPAは、Fb広告では7,000円から始まり、ある段階から3,000円目安にまで下がったという。

 

繰り返しのA/Bテストが成果を呼ぶ

大きな改善の背景には、これまでリーチしてこなかった接点を活用できたほか、定期的にCPAの変遷を確認し、クリエイティブを改善してきたからである(01)。

01 Facebook広告のクリエイティブの変遷
フリーダムアーキテクツデザインは、関東、中部、関西、九州各地に拠点を置く、デザイン住宅のハウスメーカー。最初は数多くの素材を集約して公開し(左)、次に1枚の大きな画像を配置するように変え(中央)、現状は外観や内観の写真が大きく1枚ずつ再生表示される形になった(右)

「A/Bテストを繰り返しながら、FAD社にとって最適なFb広告表示について模索し続けました。最初のクリエイティブでも通常を下回るCPAながら、そこに止まらず、改善を重ねたことで、さらに半額以下にCPAを抑えられるようになりました」(小谷田氏)

スペースが限られる枠に複数枚掲載しても見られるのか? 画像は一枚使用のほうが理に適っていることを結果が証明し、現在は広告管理画面で内外観の写真を複数枚自動設定して、ローテーションで表示されるようにしている(動画風)。

かくして、Webでのさまざまな接点を活かしたFAD社の集客施策について、Fb広告が加わりながらさらに洗練度を増し、現在もCPAを抑えながら堅調にコンバージョンを上げている(02)。

02 Fb広告を加えてLP経由のコンバージョン強化
主にSEOやリスティング広告での顧客獲得を行ってきた状態から、新たにFb広告をスタート。ランディングページ(LP)経由で資料請求、来場予約を募る。Fb広告導入前から、すでにLINE@登録の導線も確保していた

「成果の担保ができると、月額数十万円スタートから100万円を超えていき、それでいて貢献できているという好循環につながっていく。クライアントへの還元こそ外部パートナーの役割です」(小谷田氏)

 

CPAや獲得件数の目安を持つこと!

Fb広告は、投入する予算額を決めての運用が可能だ。ただし、少額から始められるからこそ、金額や期間設定の手がかりがつかめない運用者も少なくない。その打開策について小谷田氏に聞くと、見通しのつけ方について解説してくれた。

「今回のような予約、資料請求などをコンバージョン(CV)にする場合、CPA基点だと広告運用が考えやすくなります。つまり、広告費用とCVの数から1人あたりのCPAが出せるので、月額で投入できる予算の最大値や、希望の獲得件数、またはリスティング広告など過去の取り組みデータがあるなら、それらのCPAを目安にできると、身近に考えやすくなります」(小谷田氏)

そうした考え方を具現化したのが03である。Fb広告に限らず、施策に対する向き合い方に広く通じるアプローチだ。厳密にはもっと複雑な変数が絡むが、漠然と始めるのではなく、03のような簡単な計算式に現場のリアリティのある数字を絡めて目安を出せると、施策の確度がより上がりやすくなるだろう。

 

流入経路別の割合も把握しておこう

03の考え方を基盤に、Fb広告ならではの仕様を掛け合わせることで、より精度を高めたFb広告施策が可能となるはずだ。

「過去にコンバージョンしたユーザーと似た特徴のユーザーに向けてターゲティングする“類似オーディエンス”を設定できたり、広告がどれほどターゲット層に関連性があるかを示す“関連度スコア”など、Fb広告ならではの指標や仕組みが存在します。関連度スコアが下がりすぎないように、03の例2や例3で1日1件と設定する根拠も出てくるわけです」(小谷田氏)

ちなみにFAD社は、さまざまなWeb(スマホ経由含めたネット全般)上の接点から流入するという捉え方のもと、全流入経路に対して目標到達ラインを設定している。この到達ラインの立て方はビジネスによって異なるだろうが、特に慣れていない場合は04で触れているチェックシートを意識的に作成するのも一案だろう。

04 Facebook広告の特徴を引き出して対策する
過去に広告をクリックしたユーザーの類似オーディエンスデータを調整したり、ターゲティングにあっているかをはかる関連度スコア(10が最高点)の推移でクリエイティブや運用を見直す。あとは、流入別に比率を算出し、流入全体で目標ラインを達成するか、各経路で目標ラインを設定するかを決める

「FAD社は、すでにLINEの運用広告も始めていて、一定の成果を出しています。ここでも業界に先んじた実績を上げるようトライ中です。そうしたチャレンジも加味して流入別で獲得比率を把握しておけると、経路ごとの注力具合を俯瞰的に判断できる材料になってくれます」(小谷田氏)

特に今回は、Fb広告を材料に予算への向き合い方に言及した。具体性を持って考える術を身につけておきたい。

掲載号

Web Designing 2017年2月号

Web Designing 2017年2月号

2016年12月17日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

Web動画マーケティングの[最新]勝ちパターン

サンプルデータはこちらから

企業のIT推進担当者やネット運営者に向け、ネットビジネスの課題を解決するノウハウや最新情報をお届け。徹底した現場目線とプロへの取材&事例取材で、デジタルマーケティング施策に取り組む上での悩みや疑問、課題を解決するヒントを紹介します。

2月号の特集テーマは「Web動画マーケティング」です。

「いまは動画の時代である」と言われはじめてはや数年。インターネットで見られるコンテンツのうち、動画の割合が増えてきたことは言うまでもありません。SNSはもとより、コーポレートサイトなど、目にする機会が多くなった動画は、すでにマーケティングのツールのひとつとして考えるのが当たり前になっています。とはいうものの、いまのビジネスに動画がどんなメリットを与えてくれるの? という方も多いのでは。そんな方のためにも本特集では、利益を伸ばすためのポイント、トラフィックを増やす方法、SNSやYouTubeとの連携など、ビジネスに動画を活用するための知識や方法を、費用対効果に沿った形で解説します。大手企業のマネをするのではなく、自社のビジネスにあった動画の活用方法をお伝えします。


第1部「ここだけはおさえたい! 動画マーケティングの基礎知識」

_実録「マーケティグ動画のできるまで」
実際に中小企業が動画マーケティングのプロに仕事を依頼した一つの案件について、ヒアリングから動画制作、納品、その後の分析/解析まで時系列で紹介。
動画施策の一連の流れを疑似体験してみましょう。

_やさしく解説する「動画マーケティング」
動画マーケティングについて、その考え方、ポイント、留意点などさまざまな点から、動画とマーケティングの関係についてわかりやすく解説します。

_“動画マーケティング”その背景を考える
なぜいまマーケティングに動画が利用されるのでしょうか。写真ではなく、動画であることの理由はたくさんありますが、スマートフォンの普及、それに応じた縦型動画の利用などなど、いま動画がマーケティングとして利用される背景について考えます。

_マーケティング視点で考える動画
動画をマーケティングに利用するということは、単に写真を動画に入れ替えるということではありません。動画にすることの目的は、あくまでも自社の課題を解決するためです。
課題を見つけ、それに応じたKPIを立て、PDCAを回していくという基本的な考え方が必要であることを改めて考えます。

_Facebook、Twitter、Instagram…SNSで展開する動画について
SNSで動画はどのように扱われ、いかにマーケティングに利用できるのでしょうか。各SNSがプラットフォームとして用意する動画との親和性はもとより、利用する側が知っておきたいさまざまな知識について解説します。

_Youtubeで公開する動画について
SNS同様、動画プラットフォームとして確立しているYouTube。広告としてだけでなく実際に動画を配信することで得られるメリット、マーケティングとして利用するための方法についてなど、あらかじめ知っておくべき基礎知識をまとめます。

_動画の効果を測定する方法、その考え方
動画を利用したマーケティングでは、動画つくって終わりではありません。公開した動画がどのように見られているのか、アプローチしたい層に届いているのかなど、その効果を測定しながらさらなる改善が必要になってきます。そのための効果測定について、解説します。


第2部「事例集」
_5つの事例から学ぶ、動画マーケティングの現場からの視点

コラム
_費用対効果で考える自社の動画制作(予算と規模感の相関)
_中小企業が実践すべき動画マーケティング10か条