SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる「キーワードツール」活用講座(1/3)|WD ONLINE

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SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる「キーワードツール」活用講座(1/3) Chapter 01:「キーワードツール」で何ができるのか?

「キーワードツール」は、インターネットにおける検索行動量を手早く調査できるツールだ。つまり、あるキーワードが「どれくらいのユーザーにリーチするのか」を事前に推定できるというもの。ここではツールの概要とともに、その活用術について解説する。

まず「キーワードツールでできること」を把握しよう。そのうえで、どれほどインパクトのある成果を引き出せるのか、事例とともに見ていきたい。

 

テレビ視聴率のようなデータがわかる

 

01 Googleが提供する「Google Adwords キーワードプランナー」。特定のキーワードの定量調査のほかに、関連検索キーワードの検索ボリュームの把握もできる
https://adwords.google.co.jp/KeywordPlanner

 

「キーワードツール」では、あるキーワードを検索すると、そのワードが「どれほどのユーザーが注目しているのか」「関連する注目度の高いワードが何か」「リスティング広告での競合度はどれほどか」などのデータを取ることができる(01、02)。たとえば、テレビの視聴率にあたるデータが入手できると考えればいい。広告主がテレビの視聴率を重要視するのは、どれくらいの人に広告が行き渡っているのかを試算できるからだが、そうしたデータが簡単な操作で得られるのがキーワードツールだ。

 

02 「Yahoo!プロモーション広告:キーワードアドバイスツール」。検索ユーザーの性別、年代、エリア、曜日などのユーザーの属性(デモグラフィック)データの収集も可能
http://marketing.yahoo.co.jp/service/promo/

 

この集中企画では、特に二つの側面にフォーカスしていきたい。一つが、キーワードに関連してどんな単語に人気があるのかを推薦する「仮説発見の価値」という側面。もう一つが、“特定のキーワードがどれほど調べられているか”がわかる「市場検証の価値」についてだ。

 

キーワードツールでPVが5倍も増加

まずは、実際の活用事例を交えて、キーワードツールの使い方や、もたらされた成果について見てみよう。

筆者のクライアントのなかに、宿泊施設を検索できるという某Webサービスがあり、検索経由の月間ページビュー(PV)を1年間で約80万から約400万にまで改善したというケースがあった。この事例が成功した理由は、「キーワードの発見」であり、それをもたらしたのがキーワードツールの利用方法にあった。

 

03 ここでは、実際にあった事例を参考に、ダイジェスト的な形で手順を解説していこう。最初に「仮説発見」の作業をスタート。「goodkeyword」や「keyword related」を使って新規キーワードの検索をかけてみる。すると、関連ワードがリスト形式で表示されgoodkeyword(左)
keyword related(右)

 

まず、ユーザーが宿泊施設を探す際に使うキーワードは何だろう? たとえば、「ホテル」「旅館」などが思い浮かべやすい。この事例でもすでにそうした単語で検索流入を増やす対策を行っていたが、成果は頭打ちになっていた。

そこでキーワードツールを使って、ユーザーニーズのある他の単語がないかを調べてみることにした(03)。すると、「旅館 ランキング」「熱海 旅館」「旅館 ランキング 秋田」「格安 旅館」などのニーズがあることがわかり(04)、これらの関連性をもとに、4つの観点から再検討することにした(05)。

 

04 次に「仮説検証」。ニーズの有無を検証するのに長けた03のツールは、定量的な測定はできないため、01や02のツールでボリューム調査をフォローする。各ツールの詳細は次ページを参照
05 03と04を踏まえて、データを分類した表。集めたキーワードデータをカテゴリー化し、各観点で評価。あとは、本文で挙げた4つの観点から、後発でも有利になる可能性の高いカテゴリーを判断して、コンテンツを用意。ここでは「3」と「4」に着目

1. コンテンツをつくるコストは低いか?
2. 予約につながりやすそうか?
3. ある程度の検索ボリュームがあるか?
4. 競合サイトにコンテンツはあるか?

 

あとは、それぞれの観点にかなったキーワード(の組み合わせ)かどうかを判定していった。その結果、「地域×旅館」「地域×旅館×ランキング」「地域×旅館×条件」というワード群が、先の4つの観点に当てはまるキーワードの組み合わせだと判断。これらに対応したコンテンツをつくることとした。これらは、1つのテンプレートをつくれば、さまざまなキーワードにもあわせたコンテンツが生成しやすくなり、コストパフォーマンスが高いというメリットもある。たとえば、「東京×旅館×ランキング」のテンプレートがあれば、「神奈川×旅館×ランキング」というコンテンツもつくりやすいということだ。ツールで得られた根拠に基づくコンテンツを提供すると、徐々に検索経由の訪問者数は増えていき、1年後に大きな果実(PVの5倍増)を手にすることができた。

つまり、訪問者を増やすためには、「人気のあるキーワードの組み合わせを特定し、それらのキーワードごとにユーザーの課題を解決するコンテンツを用意すればいい」というシンプルな結論にたどりつく。ただし、この方法はコンテンツの企画を立てやすくするが、本当にサイトのコンセプトとマッチしたコンテンツとなるのかを判断する必要がある。マッチしていないコンテンツを大量につくっても、ユーザーが離れていくだけだからだ。

 

黒須敏行
(株)アルコ取締役。過去10年間にわたり、ベネッセやラクスルなどをはじめとした各企業による大規模サービスのSEOコンサルティングに従事。「女性向けCGMサイトの検索流入数を3倍増加」「検索経由の年商を新規に2億創出」などの実績を出す。http://www.alco.co.jp/

掲載号

Web Designing 2016年1月号

Web Designing 2016年1月号

2015年12月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

グロースハック/「キーワードツール」活用講座

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「キーワードツール」は、インターネットにおける検索行動量を手早く調査できるツールです。つまり、あるキーワードが「どれくらいのユーザーにリーチするのか」を事前に推定できます。ここでは、ツールの概要とともに、その活用術について解説します。

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