2015.12.21
SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる「キーワードツール」活用講座(1/3) Chapter 01:「キーワードツール」で何ができるのか?
「キーワードツール」は、インターネットにおける検索行動量を手早く調査できるツールだ。つまり、あるキーワードが「どれくらいのユーザーにリーチするのか」を事前に推定できるというもの。ここではツールの概要とともに、その活用術について解説する。
まず「キーワードツールでできること」を把握しよう。そのうえで、どれほどインパクトのある成果を引き出せるのか、事例とともに見ていきたい。
テレビ視聴率のようなデータがわかる
「キーワードツール」では、あるキーワードを検索すると、そのワードが「どれほどのユーザーが注目しているのか」「関連する注目度の高いワードが何か」「リスティング広告での競合度はどれほどか」などのデータを取ることができる(01、02)。たとえば、テレビの視聴率にあたるデータが入手できると考えればいい。広告主がテレビの視聴率を重要視するのは、どれくらいの人に広告が行き渡っているのかを試算できるからだが、そうしたデータが簡単な操作で得られるのがキーワードツールだ。
この集中企画では、特に二つの側面にフォーカスしていきたい。一つが、キーワードに関連してどんな単語に人気があるのかを推薦する「仮説発見の価値」という側面。もう一つが、“特定のキーワードがどれほど調べられているか”がわかる「市場検証の価値」についてだ。
キーワードツールでPVが5倍も増加
まずは、実際の活用事例を交えて、キーワードツールの使い方や、もたらされた成果について見てみよう。
筆者のクライアントのなかに、宿泊施設を検索できるという某Webサービスがあり、検索経由の月間ページビュー(PV)を1年間で約80万から約400万にまで改善したというケースがあった。この事例が成功した理由は、「キーワードの発見」であり、それをもたらしたのがキーワードツールの利用方法にあった。
まず、ユーザーが宿泊施設を探す際に使うキーワードは何だろう? たとえば、「ホテル」「旅館」などが思い浮かべやすい。この事例でもすでにそうした単語で検索流入を増やす対策を行っていたが、成果は頭打ちになっていた。
そこでキーワードツールを使って、ユーザーニーズのある他の単語がないかを調べてみることにした(03)。すると、「旅館 ランキング」「熱海 旅館」「旅館 ランキング 秋田」「格安 旅館」などのニーズがあることがわかり(04)、これらの関連性をもとに、4つの観点から再検討することにした(05)。
1. コンテンツをつくるコストは低いか?
2. 予約につながりやすそうか?
3. ある程度の検索ボリュームがあるか?
4. 競合サイトにコンテンツはあるか?
あとは、それぞれの観点にかなったキーワード(の組み合わせ)かどうかを判定していった。その結果、「地域×旅館」「地域×旅館×ランキング」「地域×旅館×条件」というワード群が、先の4つの観点に当てはまるキーワードの組み合わせだと判断。これらに対応したコンテンツをつくることとした。これらは、1つのテンプレートをつくれば、さまざまなキーワードにもあわせたコンテンツが生成しやすくなり、コストパフォーマンスが高いというメリットもある。たとえば、「東京×旅館×ランキング」のテンプレートがあれば、「神奈川×旅館×ランキング」というコンテンツもつくりやすいということだ。ツールで得られた根拠に基づくコンテンツを提供すると、徐々に検索経由の訪問者数は増えていき、1年後に大きな果実(PVの5倍増)を手にすることができた。
つまり、訪問者を増やすためには、「人気のあるキーワードの組み合わせを特定し、それらのキーワードごとにユーザーの課題を解決するコンテンツを用意すればいい」というシンプルな結論にたどりつく。ただし、この方法はコンテンツの企画を立てやすくするが、本当にサイトのコンセプトとマッチしたコンテンツとなるのかを判断する必要がある。マッチしていないコンテンツを大量につくっても、ユーザーが離れていくだけだからだ。