2016.06.22
プロモーションの舞台裏 Web Designing 2016年8月号
Webプロダクションがスイーツブランドにデジタル革命!
大阪に本社がある(株)モンシェールは、「堂島ロール」で有名な洋菓子の製造および販売会社。3月から全面リニューアルしたコーポレートサイトを通じて、確かな成果をもたらしている。コーポレートサイトが販売促進につながった要因は「情報量の制御」にあった。
ここで取りあげている施策の共通クレジット
□クライアント:(株)モンシェール
□企画/制作:Vogaro(株)
約1.4倍の売上増を達成
2003年創業、洋菓子製造と販売の会社「モンシェール」が、コーポレートサイトをブランドサイトとして全面リニューアル。そこを基点に成し遂げたかったのは主に2つの側面で、デジタルを通じた「リブランディング」と「販売促進」だった。その結果は、オンラインショップサイトへの送客数が1.5倍近く増え、売上も約1.4倍増と現れ、現在も堅調に推移するという(01)。
モンシェールが、一躍全国に名を轟かせることとなったのが「堂島ロール」。たっぷりの生クリームを使ったロールケーキが、大阪から全国へと人気が拡がり、一気に企業/商品認知が高まった。
「店頭に比べると、オンラインサイトでの売上が今一つでした。スマートフォン対策も満足にできておらず、デジタルの未整備からくる売上の機会損失が喫緊の課題でした。根本的に問題を洗い出し、自社のデジタル施策を改革したかったのです」(モンシェール・グスタヴィッチむつみ氏)
そこで白羽の矢が立ったのが、WebプロダクションのVogaro(株)だ。
「見映えするサイトに変えただけの、表層的な変化では、とてもクライアントの根本的な課題解決ができないと判断しました。中長期的な観点から、堂島ロールをはじめとする商品と、商品を支えるモンシェールという企業の姿勢がしっかり訴求できるサイト構築をご提案したのです」(Vogaro・豊田恵子氏)
ECサイトへの送客数1.5倍増の背景
リニューアル効果は、早々に目に見える結果をもたらした。要因の一つが、サイト全体の情報構造を徹底的に見直したことだ(02)。
「以前は、メニューや情報がトップページにぎっしり詰め込まれた構成でした。ユーザーからすると、自分の知りたい情報がすぐには見つからず、いらいらさせていたかもしれません。それを完全に改めました」(Vogaro・金山健太郎氏)
リニューアル後は、大きく確保された訴求エリアの要素がパッと目に飛び込んでくるUIに一新した。また、固定ヘッダにあるメニューは数を絞り、情報量を整理。よりコンテンツが見つけやすい構造へと進化した。オンラインショップへの導線もヘッダとプロモーションエリア付近に確保し、送客対策に備えている。
「情報構造にメスを入れたことで、まさしくサイトが“機能”するようになりました。だからこそ、リニューアル公開後、早々に効果が出たと思います」(グスタヴィッチ氏)
情報量の制御を徹底
デジタルを通じたリブランドと販促の両軸は、情報設計の再構築で、顕著に効果を発揮した。それは、各コンテンツページのあり方にも見受けられる(03)。
ヘッダにあるメニューは、モンシェールの顔である「堂島ロール」のほか、企業やブランドについての項目を用意。各ページは、お客様へのあふれる思いや企業スタンスについての内容を凝縮してまとめている。基本が見出しと数行のテキストという構造にすることで、スマホユーザーが短時間で直感的に内容が把握できるように配慮。そこに、スクロールしたくなるストーリー性も加味しながら構成している。
「ブランドや商品に込めた、信頼感ある高い“品質”と“ときめき”を、お客様にお届けしたい。私たちの熱い思いを、たくさんのユーザーに少しでも感じ取っていただけることを目指して、コンテンツを用意しています」(グスタヴィッチ氏)
「ユーザーが負担を感じる前に読み切れる情報量を模索しながら、ブランドや商品に共感できる構成を、試行錯誤と検証を何度も繰り返しながら整理していきました。ここがしっかり機能して、初めてモンシェールというブランド体験の訴求につながるからです。そして、ブランドの理解や購買意欲が高まったユーザーが、迷わずオンラインショップサイトや店舗案内ページへと遷移できる構造にしました」(豊田氏)
スイーツ業界を牽引する存在へ
本誌が発売する直前の6月16日は、今年から“「堂島ロール」の日”として、一般社団法人日本記念日協会から記念日に登録認定された。記念日にあわせて公開されたのが、堂島ロールを想起させるような、通常より長いロールを模したページである(04)。
「これまでの感謝と、今後の私たちへ期待してほしい気持ちの両面を表現しています。モンシェールに込めた“私の大切な方”というブランドコンセプトを体現しながら、これからも多くのみなさんの興味や琴線に触れるデジタルプロモーションを展開していきたいです」(グスタヴィッチ氏)
「今後は多言語対応のほか、オンラインショップサイトや韓国版サイトの全面リニューアルという計画も出ています。さらなるチャレンジが必ず成果をもたらせるように、クライアントやお客様の必要に応えたいです」(豊田氏)
モンシェールの目指すこと。それは、デジタル領域を通じてスイーツ業界を牽引する存在への飛躍である。