2016.09.01
オウンドメディアの大変なところと、でもやっぱりやってよかったこと。 担当者だから話せる現場の話を聞いてみました。
オウンドメディアの運用って大変そう…。そんな風に思っているあなたのために、人気のオウンドメディアを運用する3人に「やってみたからこそわかること」を聞いてみることした。社内の説得からネタ探し、KPIの設定にバズの狙い方まで本音で語ってもらいます!
聞き手:小泉森弥 Photo:黒田 彰
それぞれに事情も狙いも異なるオウンドメディア
「木村石鹸 よもやま噺」の峰松加奈さんと「KURANDマガジン」の辻本翔さん。二人のオウンドメディア担当者が訪れたのは、本誌連載でおなじみの未来食堂。ランチタイムのピークを過ぎるまで、まずは二人の話から聞いてみることにする。
─ 峰松さんは、以前から「KURANDマガジン」に注目していたとか。
峰松 読んでいて面白くて、しかも日に何本も記事をアップしているすごいメディアだからです。しかも、どうやら酒屋さんが運営しているようだとわかって、俄然興味が湧いたんです。
辻本 はい、うちはもともとECの酒屋をやっていまして、その宣伝のためにオウンドメディアを始めました。おかげさまで、いまは店舗も手がけるようになり、日本酒中心の「KURAND」、梅酒の「SHUGAR」、焼酎の「HAVESPI」と、それぞれお酒の販売・店舗とメディアを結びつけて運営をしています。さらにはお酒全般の情報を発信する「NOMOOO」というオウンドメディアも手がけています。
峰松 それだけの媒体をどんな体制で動かしているんですか?
辻本 社内は僕一人なんです。もちろん原稿を書くところまではやりきれませんので、執筆は依頼をしています。
峰松 すごいな…。私が担当しているブログなんて、週に1本で精一杯なのに。
─ 木村石鹸のオウンドメディアもスタッフは峰松さん一人なんですよね。そもそもどんな経緯で始めたんですか?
峰松 私は1年ほど前に木村石鹸に転職してきまして、広報とか商品企画とか、いろいろな仕事の一環としてオウンドメディアを担当するようになったんです。
辻本 うちの運営会社(リカー・イノベーション)は起業してわずか3年なんですが、木村石鹸さんには歴史がありますよね。
峰松 家庭用洗剤や工業向け洗浄剤をつくって93年になります。ただ歴史がある反面、ネットを使ったマーケティングとは無縁な会社でした。それが若い副社長の旗振りで、その体制を改めよう、と。でも「お金かける意味があるの?」みたいな声もあって、実現するのは大変だったんです。そのあたりの経緯についてはまとめた記事がありますので、「オウンドメディアをやりたいけど」、と悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいです。
─ さすが広報さん、宣伝がうまい!(笑)
一同 (笑)
目標設定から記事のネタ集めの仕方まで
起業時からメディア戦略を重視したKURANDマガジンと、社内の新しい武器としてオウンドメディアを始めた木村石鹸。対照的な二社である。
─ それぞれ、メディアの目標、KPIをどう設定したんでしょうか。
辻本 メディア開設当初は、お酒に特化した内容で大量に記事をアップし、バズらせて話題を呼ぶことをメインに考えていました。たくさんの人にサイトに来てもらうことで、ECサイトでの販売につなげていこう、と。その目標は、グノシーなどキュレーションサイトに記事を取りあげていただいたこともあって、なんとか達成することができました。いまはそれに加え、開業した飲食店の予約につなげることを重要なKPIと考えています。
峰松 辻本さんのお話と比べてしまうと、小さなことなんですけど、「とにかく更新を続けること」を目標にしました。週に1本でもいいから諦めずにやっていこう、と。いま振り返ると、それが良かったと思います。当時の社内の意識のあり方を考えると、そこで閲覧数や売り上げを目標に掲げて結果を求められていたら、身動きが取れなくなってしまったと思います。
小林 それで1年続けてきて、売り上げは変わったんですか?
峰松 直接オウンドメディアと結びつけていいのかはわからないんですが、楽天での売り上げは3倍になりました。
小林・辻本 すっ、すごい!