2016.09.22
One's View コラム Web Designing 2016年10月号
【コラム】“リアル”な空間や体験の価値 今号のお題「オウンドメディア」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
こんにちは! 大阪のちょっとやんちゃな八尾(やお)という地域にある社員35名の老舗石鹸屋で商品企画・広報を担当している峰松です。東京で働いていた私が、縁もゆかりもない関西の、この小さな会社にやってきてちょうど一年が経ちました。
私は「デジタルネイティブ」と呼ばれる(もしくはゆとり世代と揶揄される)世代で、物心ついたときには家にパソコンがあり、インターネットと繋がっていました。子どものころから掲示板やチャットに書き込みをして、会ったことのない相手とのコミュニケーションを楽しんでみたり、HTMLで簡易サイトをつくってみたり。中学生の頃にはmixiがはやり始め、高校生になるとFacebookで留学中に出会った世界中の友人の近況を知ることができるようになりました。自分のことをデジタルネイティブだと認識したことはありませんでしたが、こうして振り返ってみると確かに生まれてからずっとインターネットを使って発信したり、共有したりしてきたわけです。
しかし最近は、わたしたちのような物をつくって売る商売では、店舗やイベントといった「リアルな空間」こそが一番有効なメディアなんじゃないかと考えるようになりました。紙やスクリーンの枠に縛られず、肌で感じ取れる空気感や、その場でしか提供できないリアルな体験をお客様に提供したいのです。ちなみに2016年8月現在、木村石鹸にはリアル店舗はありません。けれども、夢だけはたくさんあります!
わたしたちはお掃除用の洗剤・洗浄剤をつくっていますが、その先には「家事をもっと楽しくする」新しい価値を提案したいという想いがあります。新しいブランドづくりには共通してその想いが込められているわけですが、(お金さえあれば)これをリアルな空間でもやっていきたいのです!
ただ単に商品が陳列された店舗では面白くありません。たとえばカフェ付きのコインランドリー。石鹸のいい匂いに満ちた店内で、ゆっくりとエスプレッソを飲みながら、洗濯したてのお気に入りのTシャツを着てお出かけをするとか。あるいは、小学校の掃除当番を木村石鹸がプロデュースするなんてのもいいかもしれません。その学校に通う子どもたちにとって掃除が楽しいイベントとなって、朝礼から放課後までうずうず、そわそわしっぱなし…なんて風になったら最高です。
とまあ、デジタルだけをオウンドメディアと捉えずに、「空間」や「体験」もメディアのひとつと考えるとコンテンツは無限大に広がりますねえ。