2016.07.25
One's View コラム Web Designing 2016年8月号
【コラム】初めてのバズ体験 今号のお題「SNS」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
SNSについてなかなか良いエピソードが浮かばず、しばらく頭を抱えていたところ、ふと、思い出したのです。そして急いで編集部にメールを入れました。「ありました、とっておきのが。しかし、わたしも捨て身の覚悟です」と…。
その瞬間まですっかり忘れていたのですが、あれは今から4年ほど前、大学4年時のエピソードです。当時、現代広告研究というゼミに所属しており、卒論のテーマを何にするかで悩んでいました。気になる商品や広告はあるものの、それをどう論文のテーマへと昇華させるのか。「これだ!」というものを見つけられずにいました。
そんなある日、ひょんなことからアダルトグッズ市場について調べることになり、その流れでTENGAのブランドサイトを見つけたのです。テレビや男子の会話のなかからその名を耳にしたことはありましたが、「最近よく聞くけど、そんなアダルトグッズが流行ってるんだなあ」くらいの印象です。それが、サイトで初めてプロダクトを目にしたときのこと。想像をはるかに超えたスタイリッシュなデザインに、わたしは純粋に感動してしまいました。さらに調べてみると、アダルトグッズというのは規制で広告を打つことができないのに、ものすごく売れているらしい。これは卒論のテーマになるのではないか。いや、しかし文献も少なそうだし、やっぱりちょっとこのテーマは恥ずかしい気も…。そんなことを思いながらTwitterで「【RT願】どなたかTENGAの会社に知り合いいませんか? 卒論書きたいのです(´Д`★)」とつぶやいてみました。
結果から申し上げると、数時間で結構なRT数を獲得し、最終的にはTENGAの会社に声が届きました(笑)。たかが80RTではありましたが、携帯の通知は鳴りやまず、心底驚いたのを思い出します。今でもそうですが、私のTwitterアカウントはさほどフォロワーがおらず、もはや知り合いだけのクローズドコミュニティのよう。しかしこの時だけは「SNSって不特定多数の人と繋がっているんだな…」と痛感させられました。
“女子大生”と“TENGA”の組み合わせがキャッチーだっただけかもしれませんが、「RTのボタンを押せば次に何かおもしろい展開に発展するかも」「自分もその一端を担える」という期待感が多くの人のスイッチを押させたのだと思います。これがキッカケで、しばらくの間“TENGA女子”として面識のない学生にも周知されるという、なんとも言えないオマケもついてきたのでした。