2015.12.23
One's View コラム Web Designing 2016年1月号
[Webサービス:Meduim]上質な表現の「場」
4人のナビゲーターが、それぞれ自分のジャンルから一つの対象を選んで毎月紹介する「ナビゲーターズコラム」。選んだ対象の目の付け所や特徴など、わかりやすく解説してくれます。
「Medium」というサービスをご存じだろうか?高級な上質紙にずっしりとした万年筆をスルスルと滑らせているような、そんな感覚をWeb上で体験できるブログの進化版サービスだ。
そもそもMediumをつくったEvan Williamsが「ブログ」という言葉を産んだ張本人で、彼はシリアルアントレプレナーのキャリアを通じて、ずっと「人間の表現の自由を強化する」ことに注力している。Blogger(後にGoogleに買収された)からはじまり、Twitter、 Mediumと、人類の個々人が大資本メディアに頼らずとも個々の思想を発信できるようにして、世の中のパワーバランスを大きく塗り替えてきた。ある意味、AirbnbやUber、AIやロボットなんかよりも遥かに人類の「ソフト」面の進化に寄与しているのではないかと思う。
人の表現の場はどんどん増えて、画像、動画、その先はもしかしたら3D動画‥‥と発展していくことだろう。けれども、ていねいな考察を含んだ、人に長期的に影響を与える上質なストーリーを生成して拡大再生産し続けられるメディアという意味で、Mediumは稀有な存在だ。
そしてEvan Williamsがスゴいのは、彼がキャリアを通じて生み出したサービスが、乱暴にいうと基本的にはすべて一緒ということだ。BloggerもTwitterもMediumも、テキスト中心に自分のアイデアをパブリッシュする、それだけだ。それを、時代の変化や使われるデバイスに合わせて、キレイにUIやUXを進化させている。そのUIがことごとくその後のトレンドをセッティングしていっているのは偶然ではない。BloggerもTwitterもMediumも、おそらく世界で数千を越えるクローンサイトを生み出し、Mediumに至ってはその編集UIが至るところで採用されつつある。彼が手がけるMedium以降のプロダクトも、目が離せない。
【Web Service】Medium