SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる「キーワードツール」活用講座(3/3)|WD ONLINE

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SEOやリスティング広告対策に! 事前にユーザーの検索行動がわかる「キーワードツール」活用講座(3/3) Chapter 03: 「キーワードツール」で陥りがちな罠

ここまでは、キーワードツールの活用方法や得られる価値について説明してきた。最後に、キーワードツールに頼りすぎると起きがちな問題点(罠)とその解決策について、一緒に考えたい。

単一のキーワードツール依存は要注意!

キーワードツールの問題点は、「ボリュームが大きい」と判定されたキーワードを狙いがちになり、検索エンジン経由の流入獲得に失敗することだ。特によく使われるキーワードプランナーやキーワードアドバイスツールの目的は、広告出稿促進なので、クリック単価が大きく、競合性の高いキーワードを中心にレコメンドする。また、レコメンドされたキーワードのSEO的な難易度もよくわからない。goodkeywordなどとの併用について解説してきたのも、単一のツールだけの分析は、ニッチだが対象サイトにふさわしく、ビジネスの成功につながるキーワードが見出しがたいからだ。

また、人気のあるキーワードは競合が多いが、キーワードツールはけっして競合の存在を教えてくれるものでもない。Googleのキーワードプランナーはリスティング広告の競合度は教えてくれるが、自然検索結果における競合度は教えてくれない。では、どうすべきなのか?

 

・ユーザーニーズがあること
・競合がいないこと

 

上記の2項目を満たすキーワードを発見することだ。

 

01 競合他社と重なるワードで勝負するのではなく、自社サイトならではのワードやニーズを探して強化できれば、大きな成果をもたらす可能性が高まる

 

そこで、ある大手引っ越し会社のコンサルティングの事例を取り上げたい。これは、月間2,000件の反響を自然検索経由で獲得して、年間で数億円の売上をインターネット経由で生んだというものだ(01)。

成功のポイントは「キーワードの選定方法」だった。この会社も、「引っ越し」や「引越会社」など、キーワードツール上でボリュームが大きいと判定されたキーワードの流入対策はしていたが、競合が強すぎて集客に失敗していた。

そこで、リスティング広告の結果を分析すると、「新宿 引っ越し」など、地域と関連したキーワードで一定の反響を獲得できていたことがわかった。「さらに細かいキーワードニーズがある」という仮説を立てて、「新宿 ペット 引っ越し」「新宿 一人暮らし 引っ越し」など、引っ越しと生活シーンが連関するコンテンツを用意しつつ、エリアのキーワードを強化した結果、「新宿 引っ越し」などの検索キーワードによる流入ユーザーは全体の2割程度で、残りの8割は3語や4語の組み合わせとなり、成約につながる率も高くなった。ちなみに、広告で効果が出ているキーワードを自然検索で調査すると、ユーザーが満足するコンテンツをどの会社も提供できていないこともわかった。

ほかにも、ユーザーテストの活用や「Yahoo!知恵袋」の投稿を分析するなどして、ユーザーの生の声を集めて解決策に活かすのも有効だ。

 

求められるコンテンツを生む方法とは?

キーワードツールの価値は、キーワードのアイデアを発見するきっかけづくりとなることだ。だが、アイデアはキーワードツール経由で関連するワードを検索する方法以外にもある。最後に、もう少し応用的なツールの使い方について、3つほど紹介したい。

 

02 SEOが完全ではないサイトの場合、流入に至る経緯よりも、来訪後の導線に着目することが、確度の高いヒントをつかめる場合がある

 

1つ目が「サイト内検索キーワード」だ(02)。サイトに流入するキーワードを分析すると、会社名や自社のブランドに関連するキーワードばかりということがよくある。というのも、さまざまなキーワードで流入している状況は「SEOがうまくいっていれば」という前提があっての話なので、十分なSEOを行う前に分析しても意味をなさないことが多い。これを解決するのが、サイト内検索キーワードのデータだ。このデータは、ユーザーがサイトに来訪した際に実際にサイト内で入力したワードなので、着目に値する。それらのワードをキーワードツールで調査していけばいい。

2つ目が「リスティングキーワードデータ」だ。広告を出稿して成果の上がったキーワードに対して、キーワードツールでさらに調査をかけてSEOに活かす方法だ。一度広告出稿して成果の出ているデータなので、ビジネスの結果につながらないという状況を回避できる。たとえば、少額で広告を試し、うまくいったキーワードについて関連ワードを調べていくといいだろう。

 

03 ユーザーテストは、定性面を調査できるメリットがある。ここで判明した内容をキーワードツールで追加調査することで、アイデアの幅がぐっと広がる

 

3つ目が「ユーザーアンケート」だ(03)。ある対象について、どんなキーワードで検索したのかをユーザーにヒアリングするのだ。もちろん、ユーザーの意見をそのまま鵜呑みにしないという前提は必要となる。たとえば、筆者が調査する際は次のような質問項目を用意する。

 

問1 ○○を探す際に、最近どのようなキーワードで検索をしましたか? 思いつくかぎり挙げてください(最低3つ以上)。
問2 問1で挙げたキーワードの中で、あまり満足できる検索結果がでなかった(情報がなかった)言葉はありますか? ある場合は、その言葉を教えてください。
問3 問2で「あまり満足できる検索結果がでなかった」と答えた方に質問です。本当はどのような情報を求めていましたか。また、実際の検索結果は、どのような情報が多かったかを、それぞれ教えてください。

 

特に問2と問3は、ユーザーが探していることと世の中にある情報のギャップを探るのが目的だ。世の中に適切なコンテンツがなければ、自社のチャンスとすべきである。

 

黒須敏行
(株)アルコ取締役。過去10年間にわたり、ベネッセやラクスルなどをはじめとした各企業による大規模サービスのSEOコンサルティングに従事。「女性向けCGMサイトの検索流入数を3倍増加」「検索経由の年商を新規に2億創出」などの実績を出す。http://www.alco.co.jp/

掲載号

Web Designing 2016年1月号

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2015年12月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

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