2015.11.24
事例:流行る動画・アイデアの構造「ンダモシタン小林」●特集「動画マーケティング」 「HERO型」動画制作の現場から
「思わず二度見したくなる!」。この夏、大きな話題を呼んだWeb動画「ンダモシタン小林」は、宮崎県小林市が知名度向上と移住促進を狙ってつくった“HERO型動画”だ。なぜこの動画は“バズった”のか。
160万回再生、10億円の広告効果
南九州は宮崎県の南西部に位置する小林市。四方を自然に囲まれた風光明媚な景色が広がる地域ではあるが、特別に有名な観光地があるわけでもなく、けっして知名度が高いとは言えない人口5万人ほどのこの市が、この夏全国で話題を呼んだ。そのきっかけとなったのが、市が公開した1本のネット動画だ。地域への「移住促進」を目的につくられたその動画のタイトルは「ンダモシタン小林」。小林市のある西諸地域でのみ話される「西諸弁(にしもろべん)」が、「まるでフランス語のように聞こえる」という特徴を活用して制作されたこの動画は、「二度見せずにはいられない」との反響を呼び、SNSを中心におおいに拡散した。再生数は160万回に達し(2015年10月現在)、その広告効果は10億円を超えたと言われる。いわゆる「HERO型動画」の目的である、知名度向上に特大の成果をもたらした事例だ。
いいチームにしかできない「絞り込み」
まさに“バズった”、ここまでのヒットを飛ばすことができたポイントを、制作者はどう考えているのだろう。企画を担当した(株)電通九州のCMプランナーである村田俊平氏がまず挙げたのは、意外なことに“制作の前段階”のエピソードだった。