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ハギハラ総研 Web Designing 2015年11月号

国勢調査のオンライン回答率は、なぜ東京が低いのだろうか データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

今年の国勢調査では、PCまたはスマートフォンによる回答が可能となった。紙とネットのどちらでも自由に選べることから、現在の日本のネットリテラシーが明らかになるのではないかと期待されている。

調査は、まず全世帯にPCやスマホで回答するためのIDとパスワードを配布し、ネットで回答のなかった世帯にのみ紙の調査票を配布する方法で行われた。本番の前の実験調査では、ID・パスワードと紙の調査票を同時に配布する「並行方式」も試みられたが、オンライン回答比率や回答者管理において優位性のある「ネット先行方式」に決定した経緯がある。

9月20日のネット回答期間終了時点での総回答件数は、1,918万世帯。総務省の目標であった1,000万世帯を大きく上回った。入力期間中、大きなシステムトラブルもなく順調だったといえるだろう。

一方、都道府県別に見たオンライン回答率や、オンラインに占めるスマホの選択率は、意外なものであった。オンライン回答率が高かったのは滋賀県48.4%、富山県45.7%、岐阜県45.4%の順で、中部、近畿が高く、東北、九州が低い。東京都は、ネット普及率やリテラシーがトップレベルにもかかわらず、オンライン回答比率がワースト3位の26.0%、オンラインにおけるスマホ比率は30.0%で最低であった。

これは、東京23区のうち半分以上の区が国の調査実施手順に従わず、ID・パスワードと紙の調査票を同時に配布(並行方式で実施)したためとみられる。調査員確保が難しく手間を軽減する目的もあるとのことだが、対象者に混乱を与えることにもなり、個人的には残念だ。先行方式であればオンライン回答率はもっと高かっただろう。

なお、スマホ利用率の上位8位をすべて九州・沖縄が占めていることにも注目したい。PC所有率が相対的に低いなど仮説は浮かぶものの、はっきりした理由はわかっていない。言い方を変えれば、スマホシフトは九州人がもっとも進んでいるということでもある。デジタルマーケターには重要な示唆となるのではないか。

 

円の面積は、オンライン回答世帯数を示す。期間中のインターネット回答数は、1,917万5,769件で、前回の国勢調査の世帯数を基に試算すると、インターネット回答率は36.9%となるという
出典:総務省「平成27年国勢調査 都道府県別インターネット回答世帯数」(9月10日~20日)

 

Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

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