2015.10.22
最果タヒの詩句ハック Web Designing 2015年11月号
第17回「モノローグスタンプ」 詩人が四苦八苦しながら詩をハックする
詩人/小説家の最果タヒさんがデジタルテクノロジーと詩を融合させた作品を毎月公開します。
作品は「shikuhack.jp」で公開中
私の書く言葉は少女漫画によくあるあの、四角い箱に入った「モノローグ」的なのではないか、ということを思ったことがある。(こんにちは、最果タヒです。詩を四苦八苦しながらハックするタイプの詩人です。漫画家の方とコラボした詩集『空が分裂する』が最近文庫化しました。)モノローグ。心の声よりすこし明確だけど、声にはなってないというあの、独特な少女漫画的話法。セリフよりもずっと力が弱く、そしてその言葉を発することで誰かを動かしたいという意図もない。四角い箱にあることで、まるで景色や世界より少しだけ前に出ているように見える。その世界にあるのではなく、その景色を見つめる登場人物の内側に存在している言葉として。その「内側」というありかたが私の書く言葉にもよく似ていた。私の詩は、読む人が見ている景色の上に、ぺたりとモノローグを貼ることに近いのだろう。 だから、今回は詩を写真のモノローグのように変化させるスタンプ画像を作りました。この画像をカメラロールに保存し、写真にスタンプを貼れる加工アプリがあれば、撮った写真にこのスタンプを貼り付けることができます。「aillis(旧LineCamera)」なら、編集画面で「スタンプ>切り取り」を選択し、カメラロールからモノローグの画像を選択すれば写真の上にモノローグを貼ることが可能。(プレビューで真っ黒に表示されることがありますがそのまま進めてみてください。)ぜひ、あなたの景色に詩のモノローグスタンプを貼ってみてください。
- Text:最果タヒ
- 詩人/小説家。第44回現代詩手帖賞、第13回中原中也賞受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(講談社)、『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)。小説に『星か獣になるなる季節』(筑摩書房)、『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』(講談社)