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プロモーションの舞台裏 Web Designing 2015年11月号

テーマパークの来場者数増加を呼んだ、サンリオキャラクターが作れるサイト 「ちゃんりおメーカー」が生まれた背景と、その後の経過

東京都多摩市にあるテーマパーク「サンリオピューロランド」の夏キャンペーン用に公開した施策「ちゃんりおメーカー」で、サンリオが大きな話題を生んでいる。そこで、プロジェクトにかかわるメンバーを中心に企画が生まれた背景と、その後の経過についてインタビューを行った。

ちゃんりおメーカー
□クライアント:(株)サンリオエンターテイメント
□企画/制作:(株)博報堂
□制作:面白法人カヤック

中心ターゲット層を振り向かせたい

「ちゃんりおメーカー」は、専用サイト内に設けられた“サンリオキャラクターを作れる装置”のことだ。顔の形や目、鼻、口、服装やアクセサリーなど、各部位に用意された数多くのパーツを選び組み合わせていくと、サンリオキャラクターが作れるというもの。2015年夏限定で行われた、サンリオのテーマパーク「ピューロランド」の来場動機を促すこのプロモーションは、国内外に好評の輪を広げ、公開続行が決定。ピューロランドでの連動したイベントもいまだ盛況である(01)。

毎年の夏、ピューロランドは来場動機を高める目的で、さまざまなメディアを使ったプロモーション施策を行ってきた。12月にOpen25周年を迎える今年は、これまでと違い、ほぼデジタルに特化した施策を敢行した。

「サンリオの主要顧客層は、10代後半から20代という若い女性層ですが、この主要層がなかなかピューロランドに足を運んでくれない課題がありました。このメインターゲット層がもっと来場したくなる訴求を進めたかったのです」(サンリオエンターテイメント・真鍋和弘氏)

明確な課題を克服するには、必然的に主要顧客層がもっとも身近なメディア=デジタルを中心とした施策へと辿りつく。

「なかなかテレビを見ない層でもあるので、テレビ中心のプロモーションでは効果が心配。身近なスマートフォンが基点になる施策にすべきと考え、ご提案しました」(博報堂・大久保重伸氏)

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01 「ちゃんりおメーカー」とは?
専用サイト内に用意されたキャラクター生成装置のこと。顔の形、目や鼻、口などのパーツ、服装などを選ぶと、サンリオキャラクターが自動で作成できる(左/P088)。2015年7月10日~8月31日までの期間限定で公開され、テーマパーク「サンリオピューロランド」の映像イベント(右/P089)にも自分で作成したキャラクターを参加させることができる。国内外で大反響を呼び、9月以降も公開の継続が決定

 

目的
・夏に向けて、サンリオピューロランドへの来場動機を促進
・特に10代~30代女性層へのピューロランド来場への喚起

成果
・SNSを中心に国内外の多大な反響の獲得と来場者数の底上げ
・期間延長が決定、現在も継続する中長期的な取り組みへと飛躍

 

なぜ来場したくなる施策なのか?

今回の施策が反響を呼びつづける背景には、キャラクター生成装置の精度の高さはもちろん、来場動機の促進という根本的な目的を突き詰めた上で、施策ができたことにある(02)。

「ピューロランドというテーマパークが、人を誘って行きたくなる場所だと知ってほしい。誘いたくなるきっかけ作りに『ちゃんりおメーカー』があって、キャラクターを作ってそれを持ってピューロランドに行けば、イベントにも参加できてもっと楽しめるという構造は、私たちが求めていた目的と合致していました。時代の潮流を考慮すれば、デジタルを主軸にしたプロモーションにもどんどん対応していきたい。これら両者の実現を目指しました」(真鍋氏)

「キャラクター作りありきではなく、ピューロランドに行きたくしたいという目的あっての施策です。サンリオ好きなのにピューロランドに縁のないユーザーもたくさんいます。そうした方が行動を起こしたくなる、誘い/誘われる気持ちを喚起できる装置が必要だと考えたわけです。意識するターゲットを10代から30代の女性にまで広げ、自分をモデルにしたサンリオキャラクターが作れれば、相手に教えたくなるのでは? という出発点から、SNSでの拡散も念頭に全体像を設計しました」(大久保氏)

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02 「ちゃんりおメーカー」を巡る全容
最大の目的が、サンリオピューロランドへの来場を喚起すること。ちゃんりおメーカーは公式サイトに公開直後から大きな反響を呼んだが、並行してWeb動画やFacebookのタイムライン広告、バナー広告とデジタルを中心に訴求(一部、交通広告も実施)。生成したキャラクターをエントリーするSNS上での拡散もあり、8月末時点で1,000万人を超えるユニークユーザー数を記録した

 

「キャラクターの自動生成」という決断

今回の施策は、目的達成のために、ほぼデジタルに特化したプロモーション展開にするという決断がなされた。さらにもう一点、大きな決断が存在する。それは、長年キャラクターを扱うサンリオが、自動でキャラクターを生成できる装置を提供する、という決断だ(03)。

「サンリオとして保持したいキャラクターイメージがありますし、私たちにとって、キャラクターはとても思い入れがあります。サンリオらしさというイメージをけっして崩さず、全社的に納得できる装置を実現するという大前提を踏まえながら、トライすることを決めました。一つひとつのパーツすべてが、サンリオブランドとして耐久できる品質に仕上がったからこそ、世の中に公開できました」(真鍋氏)

「たとえば、パーツの線の太さにしても、慎重に吟味と検討を重ねて仕上げたものばかりです。誰が作っても、“サンリオっぽいね”と言ってもらえるかわいさや愛嬌のあるキャラクターが生成されるようになっています。サンリオらしさをきちんと担保できたからこそ、利用者数が伸びていったのだと思います」(大久保氏)

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03 キャラクターを生成できる「ちゃんりおメーカー」
性別を選択し、顔の形や髪型をはじめ各部位で用意された多数のパーツを選べば(A~C)、キャラクターを作ることができる。PC版とスマートファン版ともに、いきなり触っても迷わない操作性が特徴。完成イメージのデータのダウンロードや、そのままTwitterやFacebookでの拡散も可能(D、E) 「来場者向けに限定パーツを用意したり、自前のキャラクターをあしらった『ちゃんりおカード』を購入できるなど、来場動機のための仕掛け作りにも苦心しました。多言語対応はしていませんが、使いやすさのおかげで、台湾や香港、アメリカなど欧米圏からも反響が届いています」(博報堂・水野康平氏)

 

「驚くことだらけ」という成果の数々

ファミリー層が目立つ来場層に対して、10代~20代女性にも支持されるように、プロモーションの方向性をシフトチェンジしはじめたのが2年前。去年のデジタル施策で約500万ユニークユーザーを獲得していたが、今年はさらに2倍の1,000万強(2015年8月末時点)、のべ1,700万回の利用という大反響を呼ぶ成果をもたらした。もちろん、ピューロランドでの連携イベントが夏の目玉キャンペーンとして機能し、来場者数の底上げにつながった(04)。

「公開直後からの反響の大きさが想定外でした。当初、公式サイトのみで告知していると、公開2日目にはユーザー数が爆発的に上がり、広告出稿の予定をストップしたほどです。また、台湾や香港、アメリカなど海外から数々の反応があったのも驚きでした」(真鍋氏)

「“友だちのために”“娘のために”“好きなタレントさんのために”といった、人のために作りたいという使い方をするユーザーが想像以上に多く、まさに誘い/誘われるという目的を具現化できた拡がりとなりました」(大久保氏)

「社内で決済を通すのが大変でした」(真鍋氏)という夏向けの施策は、期間を限定しない全社的な取り組みへと進化を遂げていく。

「私たちが本当に嬉しいのが、コミュニケーションアイテムとして根ざしてくれたことです。この拡がりを大切にしたいからこそ、秋以降の公開延長を決めました」(真鍋氏)

「現在、秋以降のパーツを開発中です。今後も飽きがこない、楽しめるサービスとして、継続的なサポートをしていきたいです」(大久保氏)

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04 リアルな体験「ちゃんりおバーチャルパレード」を提供
ピューロランドに来場すると、ちゃんりおメーカーと連携した映像イベント「ちゃんりおバーチャルパレード」を体験できる。キャラクター生成時に配布されるQRコード経由で、現地のパレードに参加できる仕組みだ。 「自分で作ったキャラクターが、実際に動いたりしゃべったりします。来場すれば、イキイキしたキャラクターの姿も体感いただける、という現地で参加したからこその体験を提供するようにしています」(水野氏)

 

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Interview with>>
左から(株)サンリオエンターテイメント/宣伝部の真鍋和弘氏、(株)博報堂の大久保重伸氏と水野康平氏

掲載号

Web Designing 2015年11月号

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編集部よりお詫びと訂正のお知らせ

特集「Web担当者のための実践的コンテンツマーケティング講座」にて、P029「情報を拡散しやすい」に誌面のデータに誤りがあり、本文が読めない状態となっていました。お詫びするとともに、以下に正しい内容を掲載いたします。

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