CX向上を実現していくための 6つのステップ(前編)|WD ONLINE

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CX向上を実現していくための 6つのステップ(前編) ビジネスを成長させ、社員のモチベーションを高めるノウハウ

Illustration:高橋美紀

[STEP 1]CX向上に取り組むべきか、実践可能かチェックする

01 CXに取り組む価値はあるかチェック

CX向上に本気で取り組むのであれば、どんな業種・業態の企業にも利益はあります。しかし、取り組みのプロセスは手軽ではありません。自社にとって目指す効果が出やすいものか否かをきちんとチェックしてから、取り組むべきかを判断するのがよいでしょう。

まず経営戦略に「優良ファン顧客の獲得・増加、離脱顧客抑制」を掲げているでしょうか。そもそもマーケティング戦略のないチームが「周囲の企業が始めているから」といった理由で取り組んでもうまくいきません。

また、自社で抱えている課題は、CX向上で解決が期待できるものでしょうか。例えば店舗立地による優位性の高い業態であれば、CXだけを向上させても効果は少ないかもしれません。

さらに、CX向上が財務的インパクトを生み出すことを期待できるかどうかも重要です。ファンを獲得したら、利用回数が増える、購入単価が向上する、離脱率が低下するといった経済効果を見込めると誰もが納得するでしょう。

例えば、販売価格が競争の中心となる業界の場合、買い手が価値を見出すのは安さであり、顧客に提供する体験をどのように改善しても価値になりません。CXを高めるために従業員の負担が増えると、人件費を抑える企業努力によって実現してきた低価格という最大の価値の提供が難しくなってしまうなんてこともあるかもしれません。「どこよりも安く!」を基本戦略とするBtoC企業や、すべて入札で受注が決まるBtoB企業にはオススメしません。どちらかというと、競合他社より少し価格は高い企業が、CX向上との相性がよいように思います。

 

02 チーム内でプロジェクトを動かせるかチェック

CX向上は、一時的な取り組みではなく、新しいチーム文化と業務サイクルを企業に導入するものです。プロジェクトを動かすために、他の業務を整理するところから始めるケースもあります。そのため、自社でプロジェクトを動かしていくチームが組めそうか、ということも考慮しなければなりません。

一般的に、CX向上の取り組みに慣れるまでに6カ月程度、手応えを感じ始めるのに1年程、目に見える成果が出るまでに2年ほどかかる場合が多いです。それだけの期間取り組めることが必要となります。ただ、しっかりCX向上に取り組んだ企業は、利益率や離職率が目に見えて変わるなど、はっきりと成果が出ます。こうした変曲点を迎えられると、「CXをやってよかった」「やっていなかったらマズかった」という実感を持つことができ、さらにCX向上を推進していこうという姿勢になっていきます。しかし、「業務が忙しいから、CX向上の取り組みに時間も手間も割けない」というケースでは、期間をかけても好ましい成果にはなりません。

 

03 チーム内でプロジェクトを動かせるかチェック

CX向上のプロジェクトにおいて、誰がリーダーシップを取るのかも大切です。可能であれば、社長や役員クラスが賛同していたり後見人になったりし、各部署のリーダーを巻き込みながら部署を横断して取り組めるのが理想です。試験的にスモールスタートで始める場合にも、その部署の長や店長など、誰かリーダーは必要になります。

また、取り組むのは社内の一部でもよいのですが、例えばECチーム、特定の店舗というように、顧客が接触する一つのまとまりに関わるメンバー全員を巻き込めるような体制をつくりましょう。リーダー1人が頑張っても顧客に提供する体験は変わりません。

 

04 予算を取れるのかチェック

CX向上に向けて予算を取れるのかも大事なポイントです。例えば顧客から集めた声を分析するためのツール、改善のために行う研修費用などが必要になってきます。ただ、ツールも無料版や安価で利用できるものもあります。まずは予算もスモールスタートし、成果に応じて便利なツールを活用していくとよいでしょう。

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掲載号

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最近、Webビジネス界隈では「顧客体験(CX)の重要性」がよく話題に挙がるようになってきました。

「お客様一人ひとりにあった情報やサービスを提供し、顧客満足度をあげる」




この顧客体験は企業の経営層だけの話ではなく、企業の課題を解決するパートナーである制作会社をはじめ、すべてのWebやアプリ制作者、ディレクター、プロデューサーが考えなければいけないものになっています。

とはいえ、顧客体験の提供? 個人単位で接客? どうやってやればいいの? 高価なツールが必要なんでしょ? と考えてしまう企業のWeb担当者もいれば、「ウチはWebサイト制作が生業だから関係ないでしょ」と思う制作サイドの方もいるかもしれません。

いえいえ、今やすべてのビジネスでWebやアプリなど「デジタルの顧客接点」なしでは成り立たない状況の中、その接点が顧客体験向上にはなくてはならない重要な役割になっているのです。

本特集では、顧客体験(CX)が注目される背景から紐解き、実務で実現させるために必要な考え方・進め方をステップバイステップで丁寧に解説します。

本特集を読めば、すべての作業でCXを頭に置いて取り組めるようになるはずです!




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