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雨宮編集長のコゴト@エントリー制新棋戦

2015.06.06 | 週刊将棋編集部

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3日の記者発表会で「第1期電王戦」と「新棋戦」の開催発表があった。複合棋戦とでもいうような新しい形式だ。「電王戦」は従来通り人間対コンピュータだが、それに出場するプロ棋士を決めるのが「新棋戦」、ソフト代表を決めるのが「将棋電王トーナメント」だ。「新棋戦」は公式戦だが、「電王戦」はイベント対局になる。詳細は日本将棋連盟のホームページを参照してください。

特筆すべきは公式戦初のエントリー制が採用されたこと。女流棋戦ではすでにリコー杯女流王座戦がエントリー制になっているが、男性棋士が出場する棋戦では初めてのケースだ。
現行公式戦の参加形態を整理すると下記のようになる。

竜王戦→全棋士参加
名人戦(順位戦)→フリークラス棋士を除く
王位戦→全棋士参加
王座戦→全棋士参加
棋王戦→全棋士参加
王将戦→全棋士参加
棋聖戦→全棋士参加

朝日杯→全棋士参加
銀河戦→全棋士参加
NHK杯→全棋士参加
日本シリーズ→選抜制
新人王戦→年齢・段位制限制
加古川青流戦→段位制限制

全棋士参加、というのは将棋連盟所属棋士は出場が義務付けられているということであり、公式に休場している棋士以外は必ず対局しなければいけない。
全棋士参加ではない棋戦も、出場資格は明確に定められている。つまり、棋士に出場するかしないかの選択権はないのだ。エントリー制はこれまでの慣習を180度転換することになる。

エントリー制については降って沸いた話ではなく、以前から導入を主張する声はあった。ゴルフなど個人スポーツ競技の分野では一般的な形式であり、不自然なものではない。出場費を払ってエントリーする形式も珍しくないらしい。

さて、今回のエントリー制は、優勝者がコンピュータと2日制2番勝負を指すことが決まっているので、それを容認するかどうかを棋士個人の判断に任せた、という意味がある。3日の発表会では、糸谷哲郎竜王ら13人の棋士がエントリー済みとして発表された。それ以外の棋士は18日に、公募中の棋戦名とともに発表される予定だ。

タイトルホルダーの羽生善治名人、渡辺明棋王、郷田真隆王将は出場するのだろうか。18日に発表に向けてワクワク、ドキドキするなら、新棋戦の最初の狙いは成功だといえる。