2017.02.06
2年周期を崩した製品戦略
2016年度のiPhoneの販売台数は前年度比8%減の2億 1190万台。iPhone初の前年度割れになったが、深刻な問題ではない。2015年度は画面の大型化と中国市場での発売が重なって特需と呼べるような状況だったからだ。その反動を含む落ち込みであり、重要なのは特需が過ぎ去ったあとを見据えた施策が講じられているかどうかだ。
iPhone 7シリーズで、アップルはiPhoneを「変えずに変えた」。デザイン刷新とマイナーチェンジを1年ごとに繰り返すパターンを崩し、フルモデルチェンジが期待される年にデザインを変更しなかった。iPhone10周年の今年に新デザインを投入するために昨年のフルモデルチェンジを見送ったと見る向きもあるが、現実的には買い替えサイクルの長期化への対応と見るのが妥当だ。買い替えサイクルの長さにデザイン刷新の周期を合わせることで、誰もが最新デザインのiPhoneを使っているという状況を作り出しやすくなる。
問題はデザインを変えずに、それ以外の要素で新しさをアピールできるかだ。iPhone 7は外観こそ変わっていないが、A10フュージョンを搭載し、ロジックボードにも大きな変更が加えられた。7プラスはデュアルカメラを備える。3年目を迎えたデザインのままでも、そうした変化を訴求できるかにかかっている。