2016.02.15
アドビの「赤い箱」
アドビ製品には常にクリエイティブユーザが驚くような新機能が盛り込まれてきた。これらの画期的なアイデアのうちのいくつかは「キックボックス(Kickbox)」という社内プログラムによって生み出されている。
キックボックスは、アドビ内の開発者を対象に社内イノベーションを起こすためのプログラムとして2012年より北米で開始されたものだ。翌年の2013年には日本でも実施され、現在では全地域で展開されている。そして、イノベーション開発に必要なツールがまとめられた「赤い箱」は、すでに社内で1000個以上が配付されている。
今回実際にキックボックスのプログラムに参加した2人の日本人開発者に話を聞くことができた。社内プロジェクトという性質のため、進行中の具体的な内容については公にすることはできないが、持続的なイノベーションを起こすためにアドビがどのような取り組みを行っているのかについてその一端を知ることができるだろう。
一般的に組織やプロジェクトが巨大化すればするほど、職務の細分化が進んで意思決定が遅れがちとなり、市場に強いインパクトを与える“イノベーティブ”な製品を生み出すことは難しくなる。そうしたいわゆる「大企業病」に陥らないためのヒントが、このキックボックスに込められているように思われる。