アドビが推し進める3つのクラウドとアプリ|MacFan

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ソフトウェアカンパニーからの大転換

アドビが推し進める3つのクラウドとアプリ

文●大谷和利栗原亮小平淳一氷川りそな松村太郎山下洋一山田井ユウキ写真●黒田彰、Leigh Pratherイラスト●サンビーム、microvector

絶え間なく続くビジネストレンドの変化に敏感に対応し、そして成長を続けてきたアドビ。その中で培われたノウハウは、「クラウド」を企業戦略のベースに据えることで、さらなる革新に進もうとしている。同社におけるクラウドの意義とは一体何なのだろうか。

 

 

クリエイティブの進化は続く

クリエイターのためのデスクトップツールメーカー。多くの人にとって、アドビはそんな印象が強いはずだ。確かにそれは、今も昔も重要な柱に違いない。しかし、時代は変わった。コンピューティングの中心はデスクトップからモバイルへとシフトし、デスクワークにこだわらない自由な作業スタイルが生産性を高めている。

タブレットがポストPCと目され、デスクトップコンピュータの終焉とも呼ばれる時代。アドビもモバイルへと完全な舵を切るのだろうか。確かにアドビ製のモバイルアプリは数多くリリースされており、現在20種類以上もある。そのアプリたちは、従来のデスクトップ製品とは明らかに異なるアプローチをとっている。

たとえばフォトショップ・スケッチやイラストレータ・ドローは、モバイルデバイスの中でも特にタブレットとスタイラスの組み合わせでの利用を想定し、カンバス(アートボード)としての利便性を活かす形で、大きく機能を絞り込んでいる。汎用性は失われたが、操作レスポンスは大きく向上した。また、モバイルならではのユニークなアプリとして、キャプチャCCが挙げられる。iPhoneやiPadで撮影した写真をベクター画像に変換したり、一部を切り取ってブラシのテクスチャとして利用したり、一部のカラーを抽出してカラーテーマやビデオ用のLOOK(グレーディング用のトーンデータ)を作成したりするなど、「作品作りのアシスト」に特化している点が興味深い。

こうしたモバイルアプリで作られたデータの最終地点はあくまでデスクトップであり、これらをシームレスにつなぐのがクリエイティブクラウドだ。最近のアップデートではアセットの同期や共有も可能で、複数台のマシンを使った作業の効率化向上も視野に入れられるなど、ユースケースに沿った機能拡張が図られている点も見逃せない。場所や機材を限定することなく、クリエイターにとって最適の環境を提供すること。それがクリエイティブクラウドの真の目標だといえるだろう。

 

Creative Cloud

クリエイティブ・ソフトウェアを連係するためのクラウドサービス。データをソフト間で共有するためのストレージ、自分のクリエイティブアセットを同期したり共有したりするサービス、デスクトップやWEBで利用できるフォントライブラリ、写真・ビデオ・グラフィックスといった外部素材を取り込むためのストックライブラリ、といった多くの顔を持つ。これまでソフトごとにばらばらだったライセンス管理は、クリエイティブクラウドのアドビIDに一元化された。




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