2018.06.14
One's View コラム Web Designing 2018年6月号
【コラム】「検索できない」ものと巡り合う価値 今号のお題「コンテンツ」
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
今月のテーマは「UX視点でみたコンテンツ」ということで、「UX」も「コンテンツ」もテーマ広すぎ! と思っているのですが(笑)、最近Twitterで見かけて感動したUX体験についてお話しさせてください。
私たちのような小さな組織の場合、いろいろなことを限られた予算の中でこなさなければなりません。既存のブログサービスやSNSなど、専門知識や予算がなくても誰でも気軽に使えるもので戦わなくてはいけないことが多いかと思います。裏を返せば、誰でも同じツールやフォーマットを使う中で、どのように自分たちだけの「特別な体験」をつくり、いかに届けるかを考えなければならないか、ということかと思います。
先日、友人が突然「簡単なアンケートに答えてください。あなたにオススメの本を一冊レコメンドします。」と、ツイートしているのを見かけました。リンクを開くと、「今の気分は?」や「その本を読んだ後にどんな気持ちになりたいか?」「好きな映画は?」など、いくつかの簡単なアンケートが書かれており、それらに匿名で回答するとTwitter上でぴったりの一冊をお勧めしてくれるというものです。
AmazonやGoogleで世界中の本を検索して購入することはできますが、検索できないものに巡り合う機会って、今ってとっても稀有な体験だと思うんです。私も普段から、本や映画、漫画を使ってその時の自分の気持ちや感情を確認したくなる時があります。書店にふらりと寄って、その時どんなジャンルやタイトルに興味が向き、気持ちが惹かれるのか。自分でもわからなくなった時に、探し当てに行くような感覚です。それでもやはり書店に並んでいる本は新作だったり、話題の本だったりして、これ! という答えが見つからないこともしばしば。そんな時に誰かからレコメンドされる、「突拍子もない1冊」との出会いはとても貴重な体験だったのです。
また、時を同じくして、友人が1年前から始めたというクローズドのLINEグループに入れてもらいました。これは自分が読んでいる本を、ただ共有して、みんなで「えらい!」と褒め合うだけなのですが、インターネットや書店ともまた違った本との出会いがあって、自分でも「読んでみよう」となります。
これらの「検索では探せない」価値をビジネスとしてどう活かすかはなかなか難しい訳ですが、一人ひとりにカスタマイズされた体験の流れというのは、今後ビジネスの世界でもどんどん加速していくように感じています。